乾癬性関節炎

1.乾癬性関節炎とは?(定義)
2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?(疫学・頻度)
3.この病気はどのような人に多いのですか?(男女比・発症年齢)
4.この病気の原因はわかっているのですか?(病因)
5.この病気は遺伝するのですか?(遺伝)
6. この病気ではどのような症状がおきますか?(症状)
7.この病気にはどのような治療法がありますか?(治療)
8.この病気はどういう経過をたどるのですか?(予後)
9.よく聞かれる質問とこたえ(FAQ)



1.乾癬性関節炎とは?(定義)
 

乾癬性関節炎は、皮膚の病気である乾癬に、腫れと痛みを伴う手足などの関節炎を合併する病気で、脊椎関節炎という共通の症状を示すいくつかの病気からなるグループに含まれます。乾癬性関節炎では、関節炎に加えて、腱や靭帯が骨に付く部位の炎症である付着部炎を始めいくつかの関節および関節周囲の症状を示し、どの症状がみられるかは患者さんそれぞれで異なります。



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2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?(疫学・頻度)
 

日本の乾癬患者数は50-60万人といわれ、人口の0.4-0.5%が乾癬であると考えられています。これは欧米の2-3%より少ない数です。乾癬患者さんの15%程度が乾癬性関節炎を発病するとされています。

 





3.この病気はどのような人に多いのですか?(男女比・発症年齢)
 

この病気における男性と女性の割合はほぼ同じです。どの年代にも起こりますが、25~30歳くらいの若い年代で発病することが多いとされています。



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4.この病気の原因はわかっているのですか?(病因)
 

この病気の原因は不明ですが、炎症の病気で免疫の異常によっておこると考えられます。

 





5.この病気は遺伝するのですか?(遺伝)
 

必ず遺伝するわけではありませんが、家族内での発症が多いことから、何らかの遺伝的素因があるものと思われています。実際に、この病気の発病に関連する可能性がある遺伝子(疾患感受性遺伝子)が複数報告されています。


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6.この病気はどのような症状がおきますか?(症状)
 

皮膚疾患である乾癬がある患者さんに関節症状が起こりますが、関節症状が皮膚症状に先行してみられる場合もあります。爪の病変もみられることが少なくありません。関節やその周囲の症状として、手足の関節炎、手足の指の腫れ(指趾炎)、付着部炎、脊椎関節炎などがみられます。関節以外にも眼のぶどう膜炎や炎症性腸疾患がみられることがあります。また乾癬性関節炎では、肥満やメタボリック症候群の患者さんが多くみられ、心筋梗塞のリスクが高いとされているため、食事などの生活習慣にも注意が必要です。




7.この病気にはどのような治療法がありますか?(治療)
 

乾癬性関節炎の治療は、炎症と痛みに対して痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)を用います。抗リウマチ薬も用いられ、特にメトトレキサートは関節炎と皮疹に効果的であるともいわれています。最近の経口薬としては、炎症細胞に働いて炎症を起こす物質を抑えるアプレミラスト(商品名オテズラ)があり、皮疹や比較的軽症の関節症状に用いられることがあります。通常、内服薬で効果が不十分な関節炎、付着部炎、指趾炎、脊椎関節炎には生物学的製剤が用いられます。生物学的製剤は皮膚症状だけの乾癬にも使用されます。

腫瘍壊死因子(TNF)の阻害薬であるインフリキシマブ(商品名レミケード)とアダリムマブ(商品名ヒュミラ)は最も早くから使用されており、長期間での有効性や安全性が認められています。また、乾癬の病態と強く関係するとされるインターロイキン(IL)-17Aの阻害薬であるセクキヌマブ(商品名コセンティクス)、イクセキズマブ(商品名トルツ)、やIL-17受容体A阻害薬ブロダルマブ(商品名ルミセフ)なども最近、用いられています。IL-17の阻害は皮疹に対してはTNF阻害よりも効果がみられると場合があるとされています。また、IL-12とIL-23の阻害薬であるウステキヌマブ(商品名ステラーラ)や、より新しいIL-23阻害薬であるグセルクマブ(商品名トレムフィア)なども治療に用いることが可能です。生物学的製剤の有効性は高いですが、効果がない場合には別の生物学的製剤に切り替えることになりますが、現在はかなり治療の選択肢が増えてきています(表)。ただし、これら生物学的製剤は、感染症などの副作用が問題となることがありますので、使用にあたっては必ず専門医にご相談ください。


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8.この病気はどのような経過をたどるのですか?(予後)
 

乾癬性関節炎では、徐々に関節の破壊が生じ変形が進行します。また、脊椎炎では炎症の結果、背骨がくっついてしまい強直という状態になることがあります。これらによって、関節や身体の動きが障害を受け、日常生活に支障をきたすようになる可能性があります。乾癬性関節炎は診断が遅れることが多く、診断の遅れは関節破壊の進行など悪い経過を招くため、早期からの適切な治療が重要です。皮膚の乾癬があり、関節や関節周囲の痛み、手や足の指の腫れ、首や背中、腰の痛みがある場合にはリウマチ専門医を受診することをお勧めします。前述のTNF阻害薬やIL-17阻害薬は、乾癬性関節炎の症状を改善するだけでなく、骨破壊を抑制することが示されていますので、早めに開始することで病気の進行を抑えられる可能性があります。また、合併しやすい肥満やメタボリック症候群に注意して日常生活を送ることも重要です。




9.よく聞かれる質問とこたえ(FAQ)
  Q1: 皮膚の症状と関節炎の進行と関連がありますか?
  A1: 皮膚症状がよくても関節炎が悪い場合、またその逆の場合もあり関連性はありません。爪の病変は、第一関節(DIP関節)の関節炎や関節炎の重症度に関連するといわれています。
  Q2: 関節が壊れた時には人工関節などをすることができますか?
  A2:

部位にもよりますが、関節リウマチと同じく人工関節手術などが可能です。しかし、乾癬の皮膚は刺激に対して過敏に反応して炎症が起きるため、細心の注意が必要です。


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【情報更新日】平成30年10月10日

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