リウマチを知ろう!

リウマチQ&A

治療について

Q.163生物学的製剤での治療をしてきましたが、金銭的に厳しく中断せざるを得ない状況です。月に5000円が限度です。痛み止めやステロイドだけでなんとかならないですか?リウマトレックスなどの飲み薬は副作用で飲めません。何か良い方法がありますか?

痛み止めやステロイドだけでも、痛みは取れますが、骨の破壊は止められず将来関節が変形していくことになります。また、ステロイドは5年以上長く続けると副腎不全を起こし、また糖尿病や緑内障、骨粗鬆症など多くの合併症を起こす可能性があります。ステロイドはできるだけ少量(3mg以内)にして従来のサラゾスルファピリジン、ブシラミン、イグラチモドを試す価値はありますので、これらを単独あるいは併用して使っていくのが良いと思います。レフルノミド(商品名アラバ)という薬もあり、安くて有効性も高いのですが、副作用が多いことから日本ではほとんど使用されていません。ただアラバは海外ではメトトレキサートに代わる第2選択との位置付けになっており、一部の患者さんでは大変有効ですので、試す価値はあるかと思います。
(令和5年10月)

Q.162生物学的製剤とJAK阻害薬の違いについて教えてください。それぞれのメリットやデメリット、使っている人の割合などが知りたいです。

生物学的製剤は、炎症を引き起こす細胞外分子の働きを抑える作用がある注射製剤で、JAK阻害剤は、炎症を引き起こす細胞内分子を標的とする経口薬です。
いずれも免疫力を低下させる作用も強いため、感染症に気をつける必要があります。特に JAK 阻害薬の感染症の特徴として帯状疱疹が多いため、ワクチンの投与なども推奨されています。
お薬の選択基準は、炎症の強さや骨破壊の程度、患者さんの年齢、腎機能などの生理機能や生活スタイルなどを考慮して治療薬を選択します。

日本のガイドラインでは副作用の観点からまず生物学的製剤を先行して使用することが推奨されています。
詳しくは財団ホームページの「治療」の中の薬物療法を参照ください.。
(令和5年9月)

Q.161JAKと新しい薬ナノゾラとどちらの方が効果が大きいのでしょうか?

今までナノゾラとJAK阻害薬との直接の比較をしたデータはありません。
(令和5年9月)

Q.160メトトレキサート8錠と、シンポニーを打っています。現在20代と若いので、先々の事を考えて少しでも肝臓、腎臓に負担の少ない治療を受けたいと思っています。主治医と相談して減薬を試したいと思いますが、飲み薬のメトトレキサートと注射薬のシンポニーでは肝臓や腎臓に負担が大きいのはどちらでしょうか? また、メトトレキサートの注射薬も出来たとのことですが、そちらについてはどうでしょうか?

薬の機序から考えますと、シンポニーよりメトトレキサートの方が、肝臓や腎臓への負担は大きいです。
メトトレキサートの注射薬による肝障害は、国内の安全性を検討した報告において、内服薬に比べ、肝障害は少ないです。治験のデータも過去の内服薬の頻度より少ないですが、まだ断定するまでには至っていません。腎臓への影響は同程度です。
関節リウマチの寛解(関節炎がないこと)が半年持続しているのであれば、主治医と相談した上で、減量を試みるのはよろしいかと思います。
(令和5年9月)

Q.159メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)のため、メトトレキサートを中止しました。現在はイグラチモド25mgとブレドニゾロン2mgを朝晩、そして週一でオレンシア自己注射で治療しています。MTX-LPDを発症する前くらいまで、良くなったのですが、オレンシアはどのくらい続けた方がよろしいのでしょうか?現状は日常生活や仕事に支障なく、そして痛みもなく生活しています。なにぶん高価なものですから、考えてしまいます。

オレンシアの継続期間に特に決まりはありません。経済的に継続が困難であれば、主治医とご相談され、いつでも中止をすることはできますが、リウマチ再燃のリスクは覚悟しないといけません。もし再燃したら再度オレンシアを再開するか、他の薬剤を使用するか、主治医と相談して決めていただくことになります。
(令和5年9月)

Q.158関節痛があります。 RFは30前後、CRP、CCP抗体、MMP-3は基準値内です。ステロイド少量や痛み止めのみで他の治療をしなかった場合どうなりますか?アレルギーや副作用で抗リウマチ薬が飲めません。高額な治療はできません。

診断が関節リウマチという前提ですが、この病気は、炎症が続くと関節の骨や軟骨が壊れ、だんだんと関節が使いにくくなったり、変形したりします。これらをなるべく抑えるのが抗リウマチ薬です。痛み止めは一時的な効果であり、ステロイド少量はリウマチの進行を抑える効果は少しはあるかもしれませんが、少量でも長期間服用すると副作用のリスクの方が高いと考えられています。ただし、リウマチの進行が速い要素として、関節の腫れや痛みが強い、炎症反応(CRPなど)高値、RFや抗CCP抗体高値、すでに骨にリウマチの変化がみられる、などが知られていますが現在はあまり当てはまるものはないかもしれません。
(令和5年9月)

Q.157関節リウマチ患者です。生物学的製剤やJAK阻害薬を色々使いました。あと、残っていて使えるのがないという状況でナノゾラが出ました。これが使えないと次が本当に無くなりそうです。今開発や治験中の新薬はあるんでしょうか?

関節リウマチの治療薬の開発はほぼ現状で一段落しました。後1つ、現在リツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)が治験中で、海外ではすでに使用されており、他の治療薬で無効の場合期待できる薬剤です。
(令和5年9月)

Q.156生物学的製剤の効果が注射日の数日前にきれるということはありますか?2.3日短縮することはできないのですか?

生物学的製剤の効果は薬剤の血液中の濃度に関係するので、注射日前に効果が切れてしまう可能性はあります。薬剤によっては注射の期間を短縮したり、あるいは1回の量を増やしたりすることが可能です。また、抗リウマチ薬を内服すると生物学的製剤の効果が持続するようになることもあります。主治医とよく相談されてください。
(令和5年9月)

Q.155二次無効が起こるのはなぜですか?リウマトレックスを飲んでいないからですか?体調不良時に休薬するからでしょうか?何度も二次無効を繰り返しています。対策はありますか?

二次無効は、生物学的製剤(特にキメラ抗体)で比較的よく経験します。これはタンパク質製剤ですので、病原体のような異物と認識し、それを排除しようとする生体の自然な反応です。内服の低分子化合物でも頻度は稀ですが同様のことは起こり得ます。対策は薬剤を変更するしかありません。ただし、体調不良で薬を休薬して再燃するのは当然であり、それは二次無効とは言いません。また、リウマチが悪化し二次無効だと思った症状が、他の原因であることもあり得ますので、主治医とよく相談して、本当に薬剤の二次無効なのか、を正しく判断していただく必要があります。
(令和5年9月)

Q.154初期の関節リウマチと診断されてメトトレキサート6mgを毎週服用しましたが指の腫れの改善のないまま3か月たちました。CRPは当初の0.02から0.01と改善しました。全部の指が腫れていて曲げられる指は5本だけ、また腫れが硬くなり始めたように思います。初期対応が重要と聞いていますがこのままの治療でよいのでしょうか?

まず診断が正しいのか、今一度主治医に確認されてはいかがでしょうか?手指の腫れがありながら、むしろ悪化?している状態が続くことはよい状況ではありません。メトトレキサートの量は少なめですが、服用でも改善がないのであれば、診断自体を再度確認した方がよろしいかと思います。炎症反応も陰性で “CRP 0.02が0.01に改善している”と言われたようですが、それは改善とは言いません。さらに抗CCP抗体も高くはなく(低値陽性といいます)、診断自体が関節リウマチでよいのか疑問です。他の疾患(例えば強皮症や乾癬性関節炎、あるいはその他の膠原病など)の可能性もありますので、他の施設にセカンドオピニオンで受診されることをお勧めします。
(令和5年9月)

Q.153メトトレキサートを初めてまだ1週間しか経っていないのですが、メトトレキサートを使っていても手のこわばりや関節の痛み、寒いとこでの痛み、気圧痛などは出ますか?

メトトレキサートの効果が出てくるのには1か月以上かかりますから、今痛いと言って諦めるのは早すぎると思います。
(令和5年9月)

Q.1525年前に関節リウマチと診断されて以来リマチルを服用していますが変化ありません。リマチル服用を続けても大丈夫でしょうか?

リマチルは通常200-300mgを一日2~3回に分けて服用します。それほど強い薬ではないですが、かなり効果が出る人がいることは事実です。そうであるならば継続して使用されることをお勧めしますが。尿に蛋白が出現することがあり、定期的に検尿して調べることが重要です。(令和5年9月)

Q.151関節リウマチで注射の治療や飲み薬を服用しています。痛みはだいぶ無くなりましたが、少しは痛みがあります。特に動いている時や夜は疲れのせいか痛いことが多いです。痛みのある病気ということで付き合っていくしかないのでしょうか?静かに過ごしていれば痛くありませんが、働かなければならないですし、これ以上薬も増やさないと言われました。痛みは我慢するものなのでしょうか。

リウマチの患者さんは、痛みがあると全てリウマチが原因と考える傾向にありますが、痛みの原因はリウマチのみとは限りません。主治医の見解が「リウマチは落ち着いている」ということなら、抗リウマチ薬の増量や変更は不要でしょう。リウマチ以外に使い過ぎによる腱鞘炎や筋肉痛、など色々な原因がありますので、痛みがあるときに適宜鎮痛剤(非ステロイド抗炎症薬など)を使用して様子を見てみるのが妥当な対応だと思います。日常生活で家事や育児、仕事などがあり、痛みがある程度あるのは仕方ないので、あまり薬に頼らずに無理をしないなど、生活上の注意をしながら付き合っていくしかないと思います。

(令和5年6月)

Q.1501年半くらい前に関節リウマチと診断され、そこから薬を飲みつつ仕事をできるようにまでになっていますが、1年ほど前から、朝は特に両指がギチギチ痛み、常に両手首、酷い時は両腕に筋肉痛のような重だるい感じがあります。 痛み止めを飲んでも良くはならず、冬や気圧の関係で痛みが酷くなると 利き手でお箸を持っても掴むことがままならない状態になります。 どうしていいか困っています。

関節リウマチと診断され約1年半治療を続けられているということですが、おそらく抗リウマチ薬という種類の薬を服用され、現在では就労が出来ている状況と思われます。診断に関しては当初の診断が関節リウマチということで抗リウマチ薬が処方されているのであれば、関節リウマチでよいと思います。ただ約1年前から両手を中心としたこわばりのような症状が出ているということですので、以前より関節リウマチの疾患活動性が高くなり、現在のお薬では十分なコントロールが出来ていない可能性も考えられます。
現在の症状や検査データを担当医にしっかりと把握していただき、必要であれば内服薬の種類や量の見直しをお願いしてみてはいかがでしょうか?

(令和5年6月)

Q.149関節リウマチと診断されてから12年目になります。基本メトトレキサート、ブレドニゾロン、ファモチジン、フォリオミンの4種類です。痛みもなく徐々に薬の量を減らしていましたが最近、声がれ、のどの痛みがあり、検査したところメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)と診断され、メトトレキサートが中止となりブレドニゾロンとファモチジンだけになりました。リウマトレックスがなくても大丈夫なのでしょうか。

MTX-LPDは頻度は決して多くはないものの、メトトレキサート(MTX)を多くは2年以上長期に服用している方の中で時々発生します。そのうち約90%はMTXを中止するのみで自然に軽快しますが、一部が悪性リンパ腫に進展して抗がん剤治療が必要になってきます。MTXは今後は使用できません(使用するとMTX-LPDが高い頻度で再発すると思われます)。したがって、リウマチが落ち着いているなら、当面は現在のプレドニゾロンのみで良いと思いますが、プレドニゾロンの長期投与も糖尿病、脂質異常(コレステロールの増加)、高血圧や骨粗鬆症、白内障、緑内障など種々の問題が出てきます。したがって、従来の抗リウマチ薬(アザルフィジン、リマチル、ケアラムなど)で対応するのが良いと思います。これらの薬剤でリウマチが制御できない場合、生物学的製剤を使うことも検討できます。中でもIL-6の阻害薬(アクテムラ、ケブザラ)は比較的安全でかつ効果も期待できると思います。ただし、免疫抑制薬によるリンパ腫のリスクについてはMTXだけではなく、他の免疫抑制薬にも少し可能性はありますので、慎重に薬剤を選んで経過を見ていくことになります。最近注目されているJAK阻害薬(ゼルヤンツ、オルミエント、スマイラフ、リンヴォック、ジセレカ)は避けた方が良いでしょう。(令和5年6月)

Q.148メトトレキサートの量が減ってきましたがフォリアミンはメトトレキサートが少ない時にも飲まなけれがならないのでしょうか?

メトトレキサートを週2mgで処方することはあまりありませんが、フォリアミンは必要ないと思います。また週4㎎とフォリアミンより効果は弱くなると考えられます。減量については担当医とよくご相談ください。(令和5年6月)

Q.147関節リウマチ治療を始めて8年目になります。はじめはメトトレキサート2錠を飲み始めて、こわばりなどもあり現在は5錠飲んでいます。まだ手指や足指など炎症が治らないので6錠にしてほしいと主治医にお願いしたのですが体重が45キロ位だと5錠までしか出せないので生物学的製剤を勧められました。ネットなどで調べると日本人の体型でも8錠までは可能と書いてあります。メトトレキサートは体重制限があるのでしょうか。

特に体重による投与量の決まりはありませんので、「5錠までしか出せない」ということはありません。しかし一般的には体重あたり0.3 mg/週程度が上限の投与量として妥当と考えられており、45kgの方なら、1.35mg(6錠〜7錠)/週となりますが、腎機能やその他の併用薬などいろいろな条件を考慮して投与量を検討します。さらに安全性に重きを置く医師は、先の上限量より少なめに処方する傾向があり、5錠(10 mg)までと考えておられるのは妥当な考えです。(令和5年3月)

Q.146JAK阻害薬を使用して治療しています。比較的落ち着いてはいますが、疲れや冷えなどで痛みが出ることがあります。鎮痛剤はよく効きますが一時的で飲み過ぎになってしまうのも良くないと我慢することも多いです。以前ステロイドを内服していた時は調子も良く痛みもほぼありませんでした。日々、ステロイドを内服するのは良くないのでしょうか?副作用も理解していますが、一時的にでも再び使用するのはどうでしょうか?

ステロイドは一般的に抗リウマチ薬の効果が得られるまでの短期間併用が推奨されています。長期内服による副作用はたくさんありますので慢性的に使用することは避けるべきですが、一時的に再開してその後またJAK阻害薬のみでコントロールすることも可能ですので主治医とも相談してください。しかし、再度ステロイドの減量中止で症状が再発する場合にはJAK阻害薬の変更、他の抗リウマチ薬の併用などの調整を行うことがステロイドの長期服用よりも勧められます。まずは、痛みの原因が関節リウマチの炎症からくるものかに関しても、診察や必要に応じての関節エコー検査などで検討してもらうことも主治医と相談されてはどうでしょうか。(令和5年3月)

Q.14510年ほど前まで、アラバを飲んでいました。アラバは良く効いていました。しかし転院を機に医師からバイオ製剤を勧められましたがどのバイオ製剤も効きませんでした。 またアラバを再開したのですが、何処の処方箋薬局も、1回目は処方できるが、継続して処方するのは難しいと言われ非常に困っております。 継続してアラバを処方してくれる薬局を探すにはどのようにしたらよいのでしょうか。

アラバ錠ですが、製薬会社の製造工場における製造遅延のため、アラバ錠10mgは既に「出荷停止」、アラバ錠20mgは2023年3月下旬に「出荷停止」の予定となっています。現在、通常流通の目処が立っておらず、どこの薬局においても薬剤の確保が困難な状況にあります。リウマチを専門としたクリニックや病院の近隣の薬局には多少の在庫はあるかもしれませんが、個人で確認いただく以外には方法がございません。
お力になれず申し訳ございません。

(令和5年2月)

Q.144治療薬で肝臓に負担のかかる薬だと肝機能が悪化し使えなくなり、腎臓に負担のかかる薬だとすぐ腎機能がダメになります。どちらを優先すべきなのでしょうか。関節リウマチでどちらもクリアできる薬剤はあるのでしょうか?

お薬には主に肝臓で代謝されるお薬と腎臓で排泄されるお薬、そして胆汁排泄されるお薬がありますが、一般的にどのようなお薬でも肝臓や腎臓に全く影響を与えず、副作用が起こらないお薬はありません。リウマチの治療薬も同様です。
単に局所の痛みを軽減するだけであれば、肝機能や腎機能にほとんど影響を与えない貼り薬という手段もありますが、根本的な治療にはなりません。
正しくお薬を使用していても副作用が起こることはありますので、専門医の先生は定期的に血液検査などで肝臓や腎臓の機能のモニタリングを行って、患者さんがどのような状態にあるかを総合的に踏まえて最適な薬剤を処方しています。
薬を使った後に、いつもと違うなど、少しでも好ましくない症状がみられたときには、我慢しないで医師や薬剤師に相談してください。
自己判断でお薬を変えることはしないで、医師の指示通り服用することが大切です。
(令和5年2月)

Q.143リウマトレックスを飲んでいましたが吐き気が酷く中止になりました。他の治療をしていますがだんだん効かなくなり、リウマトレックスを飲んでないとできない治療や効果が続かないものもあると言われ治療が限られています。また、リウマトレックスを試してみることはできないのですか?量を調整することはできないのでしょうか。

メトトレキサート(リウマトレックスの一般名)を少ない量にすれば吐き気は弱くなる可能性がありますが、効果も低下します。最近、メトトレキサートの注射製剤が発売されました(商品名:メトジェクト)。週1回の皮下注射ですが、ご自宅で自分で打つ自己注射も可能です。飲み薬に比べて、吐き気などの消化器症状が出にくいことが知られていますので主治医の先生に相談していただくとよいかと思います。

(令和5年2月)

Q.142今はJAK阻害薬を服用しています。効果無し、副作用等で3種類目です。次は生物学的製剤の注射の治療しかないといわれていますが、どうしても注射は苦手です。他に方法はないのでしょうか?

関節リウマチの治療法は、現在幅広く、一般的な効果と一人一人の患者さんにおける反応は必ずしも同じではありません。まずは、診断や併存疾患の検索も含めて相談してみることも一つの方法と考えられます。

 (令和5年2月)

Q.14188才の母が、2年前にリウマチ性多発筋痛症と診断され、プレドニンを1年以上服用(徐々に減薬)し、今はアクテムラの皮下注射のみを月2回していて、血液検査の結果が良く、変化がなければ、今後は減らしていくようです。アクテムラはいつまで、投与しなければなりませんか?筋肉低下がみられますが、改善方法はありますでしょうか?胸のレントゲンで、胸部大動脈瘤があるかも、と言われ、もし、動脈瘤があった場合、アクテムラは継続して良いのでしょうか?

リウマチ性多発筋痛症にはアクテムラは日本の健康保険での利用はできません。ただし有効であることは国内外の報告でわかっています。特に高齢者ではステロイドの長期投与による骨粗鬆症、糖尿病などの有害事象を回避することができます。本例はステロイドを中止してアクテムラのみでも症状が治まってるとのことですが、いつまで続けるかの決まりはなく、ある程度良い状態が続けば、アクテムラの投与間隔を伸ばして(3〜4週に1回など)、その後に中止できれば良いと思います。
筋力低下はステロイドの長期投与ではステロイドミオパチーと呼ばれるステロイドの副作用で見られます。それ以外では、疼痛であまり動けなかったための廃用性筋萎縮が原因と思われます。回復には大変時間がかかりますがリハビリを丹念に行うしかないと思います。
大動脈瘤については、ほとんどが動脈硬化が原因ですが、リウマチ性多発筋痛症では巨細胞性動脈炎による動脈瘤であった可能性もあります。その場合はしっかりアクテムラを使用して炎症を抑えることが重要です。

Q.140関節リウマチです。生物学的製剤、JAK阻害薬と色々試しJAK阻害薬で落ち着いています。しかし少しずつ痛みが増えて来ました。これまでの流れだと違う治療薬に変更していますが今の薬にしてから初めてこわばりがありません。このままで治療の追加とかはできないのでしょうか?薬が効かなくなってから薬の変更以外にできることはありますか?

JAK阻害薬だけで落ち着いていたのが少し関節リウマチの炎症に再燃傾向が出てきた、ということでしょうか。再燃の場合、いくつか方法があります。①他の抗リウマチ薬を追加併用する②他のJAK阻害薬に変更する、③今まで使用していない生物学的製剤に変更する、などです。軽い再燃なら現在のJAK阻害薬を継続して、非ステロイド抗炎症薬や少量のステロイドを追加併用するのも良いかもしれません。またリウマチの再燃でなく、関節が壊れたりしている場合などは薬でなく外科的な治療法も考えられます。

 (令和5年2月)

Q.13910年ほど前から関節リウマチがありメトトレキサートで治療を受けてきました。最近痛みが増してきたので、先生からエンブレルを薦められ、悩んでいます。エンブレルを使用するとき、現在服用しているメトトレキサートも併用するというお話がありました。メトトレキサートをやめて、エンブレルだけにすることはできますか?

痛みが増してきたとのこと、お辛いかと思います。
今回医師から勧められたエンブレルは、単独使用も可能な薬剤ではありますがが、これまでの臨床データによりますと、メトトレキサートと併用することで、その効果を最大限発揮できるため、エビデンスに基づき、寛解を目指してメトトレキサートを併用することを医師がお勧めしているかと思います。
しかしながら、メトトレキサートの副作用等でどうしても使用継続が困難な場合には、単独使用も可能な薬剤です。
関節リウマチは早期から適切な治療を行えば、症状をコントロールできるため、現在何が一番辛いのかを担当の医師と十分に話し合った上で治療をすすめることが大切と思います。
(令和5年1月)

Q.138母親(70代)が関節リウマチのため、治療開始時からメトトレキサートとプレドニンを約20年間服用しています。また、骨粗鬆症のための注射、胃炎の薬も使用しています。症状は落ち着いた状態が長く続いています。 このように関節リウマチの関節炎や痛みがコントロールされている状態で、数十年という長期間、ステロイドを使用することがあるのでしょうか。

現代においてはリウマチの治療薬が進歩し、ステロイドは少量で使用するとしてもなるべく短期間とすることが推奨されています。もちろんステロイドは使用しなくてすめば、それに越したことはないのですが、他剤の副作用やそのリスクある場合や、経済的理由など、何らかの理由で有効な薬剤が使用できないことがあり、ステロイドを使わざるを得ない場合もあります。また、過去長期間使用されている場合にはなかなか中止できない場合も少なくありません。  (令和5年1月)

Q.137B型肝炎Hbs抗体陽性です。45歳に発症して現在63歳です。いままでメトトレキサートを使って来ましたが、肝臓の数値が悪い状態が1年以上続いているので、肝臓がこれ以上悪くならないか心配です。何か別の治療方法があるのでしょうか?

ご相談の患者さんにみられる肝臓の障害には、メトトレキサート(MTX)が原因の場合とB型肝炎の悪化、そしてMTX以外の薬剤が原因の場合が考えられます。B型肝炎の悪化についてはB型肝炎のDNAを定期的に調べてると思いますので、それを確認すれば良いと思います。葉酸を1錠(5mg)毎週服用してれば葉酸の摂取量は十分であり、葉酸欠乏が原因の肝臓の障害ではありませんので葉酸を増量する必要はありません。むしろMTX自体による肝臓の細胞毒性が原因と思いますので、リウマチの状態が安定しているならMTXを減量(可能なら中止)するのが良いと思います。リウマチの状態もある程度活動性があるなら、MTXは減量して頂き、肝障害のリスクの少ない他の抗リウマチ薬(ブシラミン、タクロリムス、生物学的製剤など)を代わりに投与していただくのが良いと思います。      (令和4年12月)

Q.136関節リウマチで治療中です。ネットで見たのですがリンパ球除去療法(LCAP)という治療は現在も行われていますか。

関節リウマチのリンパ球除去療法(LCAP)につきましては、使用するフィルターの製造が困難となり、2020年3月に製造中止となったことに伴い、現在は行われておりません。また、残念ながら製造再開の見込みはないとのことです。(令和4年12月)

Q.135関節リウマチとアレルギーは関係ありますか?関節リウマチになってから色々な薬にアレルギーが出ることが多くなりました。今後色々な薬を使うことも不安です。

関節リウマチと薬剤アレルギーの関連は特にいわれておりません。ただ、抗リウマチ薬の副作用で、薬疹がみられる場合があります。点滴で投与する生物学的製剤レミケードは投与中や投与後にアレルギー症状がみられることがあり、重篤な場合もあるため、慎重に投与します。内服薬ではアザルフィジンで強い薬疹がみられることがあります。バファリン(アスピリン)で喘息となったことがある場合は、痛み止めは避けることが必要です。その他の薬剤でも薬疹の可能性はありますが、アナフィラキシーなど重篤なアレルギーがみられることはあまりありません。主治医とよく相談し、治療薬を選択するようにしてください。

(令和4年9月)

Q.134なかなか治療が効かない関節リウマチです。副作用やアレルギー、二次無効で生物学的製剤やJAK阻害薬を使い切ってしまった場合今後はどうなるのでしょうでしょうか?痛みを抑えられず痛み止めも多く使っているため腎臓に負担がかかっています。良い方法はありますか?

ご相談の患者様の場合、詳細なデータが分かりませんので正しいコメントはできませんが、全ての薬剤が使えない/無効ということはあまり経験なく、もしリウマチによる痛みならステロイドを使うしかないと思います。しかし、診断が本当に関節リウマチなのか、が気になります。線維筋痛症など精神的ストレスなが背景にあって起こる「痛覚変調性疼痛」のこともあります。またそれ以外の病気も再検討される必要があるかと思います。

(令和4年9月)

Q.1331年半程前から、アクテムラ皮下注射と、ケアラム25mg朝1錠、ファモチジンD10mg朝1錠服用しています。 主治医からケアラムで胃が荒れないようにと言われていますが必ずファモチジンも飲んだ方がいいのでしょうか。 私はやせ形で、体力をつけるため食事に気をつけていますが、全く体重が増えず、胃酸抑制剤が原因のひとつではないかと思っています。

まず、医師から処方されたお薬は、医師の指示通りに服用することが大原則です。それは、医師は診察の際に処方されたお薬をきちんと服用した上での治療効果や副作用などを総合的に判断して治療方針を立てているからです。
現在服用されているケアラム錠には副作用として消化性潰瘍があらわれる可能性があることから、主治医の先生はファモチジンを処方されている意図が読み取れますので、自己判断で中止しないで必ず主治医に相談してください。
(令4年7月)

Q.132私は診断から6年目の関節リウマチ患者で、ずっとメトレートを週一回現在は8mgを服用しています。また約1年前からリンヴォックを服用しています。 最近メトレートを朝に飲むと昼ごろから具合が悪くなり、下痢をするようになりました。排便したもののなかにメトレート(あるいはリンヴォック)の錠剤がそのままの形でありました。この現象が3週くらい続いています。下痢の体調不良は大変辛いですが半日程度で動けるようになり、関節リウマチ自体は良くも悪くもなっていないと感じています。これはよくある副作用なのでしょうか、すぐに主治医に受診したほうがよいでしょうか。

メトレートを服用した後に下痢や気分不快があり、服用しない日はあまり異常が無いならば、メトレートの副作用である可能性が高いと思いますので、主治医に相談してメトレートの減量や中止を検討していただくのが良いと思います。もし、下痢が持続してるなら、メトレートだけでなくリンヴォックも含めた薬剤の有害事象(感染症や悪性腫瘍など)かもしれませんので、やはり主治医に相談して、消化器科の専門医に診療をいらしてもらい、内視鏡などできちんと精査をしてもらうのが良いと思います。

(令和4年7月)

Q.131関節リウマチ歴17年になり、各関節などに変形があります。2週間前に中指の第二関節が脱臼したようなのですが、元に戻す治療はありますか? もうこのまま変形していくのを待つだけなのでしょうか?

「2週間前に第3指第2関節の脱臼した」ということですが、急に脱臼すると激痛になりますので、徐々に亜脱臼が進行していたものが2週間前に判明したということだと考えられます。亜脱臼の程度によりますが、軽度の亜脱臼や関節変形が出現してあまり時間が経っていない状況であれば、関節周囲の軟部組織に対する手術のみで変形が解消する場合があります。一方、中等度の亜脱臼や関節変形が出現して時間が経った関節の場合、人工関節置換術や関節固定術の適応になる場合があります。一度亜脱臼が出現すると、いくら薬物治療を強化しても亜脱臼は解消せず、関節変形が進行する場合がありますので、日常生活に支障がある場合は手術を考慮されてよいと思います。
リウマチの手指関節の手術は専門性が高いため、通常の整形外科では対応不能の場合が多いので、関節リウマチの手術を積極的に行っている、あるいはより具体的に、リウマチ手の手術を行っているという施設を探されるとよいと思います。

(令和4年6月)

Q.130バイオシミラーを使用している施設はどのように探したらよいでしょうか。

バイオシミラーを使用している施設がどこにあるかを調べる方法はありません。しかし多くの施設で導入されていますので担当の先生にご相談ください。

(令和4年6月)

Q.129祖父が関節リウマチと診断されています。肺結核の既往あり。石灰化されていますが胸水もあります。メトトレキサートの禁忌に胸水がありますが、臨床上それを踏まえた上でも第1選択となるのでしょうか?それとも絶対禁忌なのでしょうか?

いわゆる潜在性結核といわれる状態かと思われますが、事前に肺の状態のチェックが必要です。メトトレキサートは禁忌ではないと思われますが、他の免疫抑制が弱い経口抗リウマチ薬で治療できれば安全性は高いと考えられます。メトトレキサートを使用する場合には抗結核薬の事前からの投与が必要となります。投与前の肺の状態の評価や、メトトレキサート投与の是非、治療開始後の経過観察などは呼吸器内科の先生と相談して進めていくことが必要と思われます。
(令和4年5月)

Q.128ケアラム開始を開始して一週間後、寝れない程の痛みが続き鎮痛剤をいただけないかと受診した所、エタネルセプトBSをすすめられました。即効性があり副作用も少ないとの説明を受け注射をしてもらいましたが、後に生物学的製剤は抗リウマチ薬の有効性が見られない場合の次の段階の治療法だと知りました。現在ケアラムの有効性の有無を見ている段階ですが、注射を続ける必要性はありますか?注射は一回で中止しても問題はありませんか?

関節リウマチに対する生物学的製剤は1回注射後であっても中止しても、まったく問題がありません。一方、生物学的製剤はいずれの時期から使用するかについては、以前は従来の経口抗リウマチ薬で十分にコントロールされない場合に生物学的製剤導入が考慮され、使用の適否を患者さんとよく話し合った上で使用されの一般的でした。しかし、最近の生物学的製剤開始の時期については、関節リウマチの関節の破壊・変形はリウマチ発病早期にからすでに強く起こることから、病勢の強い、あるいは急速に関節の破壊が起こることが予測される場合には、従来の経口抗リウマチ薬と同時に生物学的製剤が開始されるようになってきています。したがって、貴方のリウマチが病勢が強く、早期から関節の破壊を予防する必要があるために、ほぼ経口抗リウマチ薬(ケアラム)の使用と同時に生物学的製剤が併用されたものと思われます。生物学的製剤併用によるリウマチの病勢が十分に抑えられ、一定期間コントロール(寛解)された時期が続けば、生物学的製の休薬も可能となることもあります。したがって、自己判断で併用開始となった生物学的製剤を中止するjことなく、担当医とよくご相談頂いて、リウマチ治療の方針を理解され、患者さんと担当医が協働で貴方のリウマチをベストコントロールにもっていきましょう。

(令和4年4月)

Q.127ロキソニンはどのくらい飲んでも大丈夫なんでしょうか? 生物学的製剤を使っていますが痛みがありロキソニンをもっと使ってもいいと言われましたが使い過ぎるのも心配です。どのくらいまでなら大丈夫なのでしょうか?

医師処方のロキソニンは腎臓や肝臓に問題がなければ、1日3回1錠づつの計3錠までは服用できます。しかし、関節リウマチとして生物学的製剤使用中でもまだロキソニンを使わなければならないほどの関節の痛みがあることの原因も考える必要があります。すなわち、生物学的製剤を使用しても、現在もなお関節痛がある原因として、1つは関節リウマチがまだ十分にコントロールされていない可能性があります。その場合には、治療方針の再検討が必要となります。治療法の変更には、他の生物学的製剤に変更するとか、さらに種々の生物学的製剤を使用してきても十分に関節リウマチがコントロールできなければ、ジャック(JAK)阻害剤の経口薬への変更などが行われます。2つ目は、関節リウマチが現在の治療により十分コントロールされているにもかかわらず、リウマチの治療が遅れたとか病勢コントロールまでに長時間要した場合には、リウマチの病勢と関係なく、痛みが慢性化して、いわゆる「慢性疼痛」に変化(痛みの中枢性感作といいます)し、関節の痛みが長期間持続することがあります。この慢性疼痛はロキソニンなどのいわゆる消炎鎮痛剤では効果がなく、慢性疼痛用治療薬 (リリカ、タリージェ、サインバルタン、トラムセット配合錠など)の薬剤で痛みの緩和が行われます。3つ目はこれまでの関節リウマチが進行性であり、関節の変形をきたしている場合は、生物学的製剤によるリウマチ治療でコントールされていても、関節変形に伴う関節痛が残ります。関節変形による痛みは、関節の安静時(関節を動かさない状態)には基本的には関節痛はほとんどありません。治療中にもかかわらず関節痛が残っている場合は、以上のような原因が考えられますので担当医といずれの原因によるかご相談ください。

(令和4年4月)

Q.126乾癬による関節炎でCRPの値が高くなりリウマトレックスを増やしました。 服用を初めて2か月目までは肝機能の数値は変わりなかったのですが、3か月目に上がってしまいました。薬の副作用は服用を初めてどのくらいの期間で出るものなのでしょうか? 肝機能数値は一時的なもので、下がったり上がったりするものでしょうjか。肝機能障害になってしまうことはありますか。 また、食生活で肝機能を上昇してしまうものがあるのでしょうか。

薬自体による肝機能の上昇は3カ月以内に出ることが多いですが、その後でも薬に加えて過労、脂肪肝などの薬事以外の要因などでも異常値になることもあります。一般的にはAST、ALTが正常値の上限の2倍以上になったときにはメトトレキサート(リウマトレックスなど)を減量、3倍以上では一時的に休薬して改善を確認してから減量して再開となることが多いです。肝障害の予防として葉酸を服用することが多いですが、併用にて改善するのは80%程度とされています。長期的に肝機能障害とならないために、定期的に検査を受けていただくこと、生活習慣などで脂肪肝などにも気をつけていただくことは重要です。いずれにせよ、一度肝臓の数値が上がったからといってメトトレキサートがもう服用できないというわけではありませんので、主治医の先生と相談して葉酸の併用、用量の調整などを行っていただくことをお勧めします

(令和4年4月)

Q.125脊椎関節炎と診断され IgA腎症の持病があるのでタクロリムスを処方されました。調べてみると腎機能への影響のある薬を処方されたような気がするのですが、処方された通り飲んでも大丈夫なのでしょうか

脊椎関節炎の治療としてケアラムやタクロリムスを使用することは通常少ないと思われますが、詳しい状況がわからないので何とも言えません。
タクロリムスの副作用として腎障害があり腎機能が低下している場合には慎重に投与する必要がありますが、腎機能が正常でば定期的に検査をすれば大きな問題になることは多くありません。

(令和4年3月)

Q.124現在43歳です。両肩と両手首が順々に痛くなったので血液検査をしたところ、RF22.1 MMP3 57.4 抗CCP抗体72.3 血沈120分19でした。目立った骨の変形はありませんが、年齢相応に骨の隙間が狭くなっていること、肩が少しいびつになっていることを指摘されました。主治医から次回の診察までにリウマトレックスを飲むか否か決めてくるように言われましたが、治療を開始するべきでしょうか。 現在は、半月に一度程度、軽く肩が痛くなります。

RF、抗CCP陽性で両側の手関節(いわゆる小関節)に6週間以上持続する疼痛(関節炎?)がある、となると早期の関節リウマチ(RA)として、リウマトレックス(MTX)を開始するのは妥当です。しかし、120分の血沈が19(通常は60分値が基準でこのケースではおそらく10 mmくらいと推定しますので正常です)、現在は手首は痛まず肩の軽度の疼痛のみとのことで、明らかな関節腫脹がない(できれば関節エコーで確認すべき)ならば、当面はRA疑いとして非ステロイド抗炎症薬のみで経過観察の方が良い思います。
(令和4年3月)

Q.123母が関節リウマチです。 関節リウマチによる手の痛みがあります。 炎症からきているものと思いますが、鎮痛炎症作用のあるフェルビナク軟膏を塗っても大丈夫でしょうか?

局所の治療としては塗っても構いませんが、関節リウマチは全身の病気なので、まず全身の治療をしたうえで治らないところに重点的に塗布されることが大事です。そうでないともぐらたたきになりかねません。(令和4年2月)

Q.122メトトレキサートを服用してから10カ月たち、関節リウマチが収まってきたのですが、2か月に1回くらい痛いことがあり、また自然に治ります。CRPや血沈は正常だと言われます。メトトレキサートを痛いときにのみ服用するのではだめでしょうか?

メトトレキサートは基本的は抗リウマチ薬ですので、疼痛時のみ頓用で服用するという飲み方は正しくありません。疼痛時のみ非ステロイド系抗炎症薬を服用して対応すれば良いと思います。ただ、普段痛みもなく、検査も正常になっている状態であれば、メトトレキサートの減量は可能かもしれませんので主治医にご相談されたらいかがでしょうか?

(令和4年1月)

Q.121間質性肺炎があり、生物学的製剤があまり効かなくて、JAK阻害薬を勧められましたが、顎の癌にかかったことがあります。使っても大丈夫でしょうか?

TNF阻害薬(MTX非併用で使用できるinfliximab以外)もまだ使用歴が無いようですので候補になりますが、IL-6阻害薬(MTX非併用)の方が良いと思います。JAK阻害薬は、現時点では、直近の悪性腫瘍の既往がある場合は避けておくのが賢明と思います。

(令和3年12月)

Q.120アクテムラの皮下注射をしていますが骨破壊の進行が進んでしまいました。骨破壊抑制の為にメトトレキサートを併用する、または手首の炎症を抑えるためステロイドを使用する事は有効なのでしょうか?それとも他の薬剤に変えるべきなのでしょうか?

生物学的製剤を使用しても、骨破壊が進行してしまうことは残念ながら珍しくはありません。特に軽度でも関節破壊をきたしている関節では、修復が起こることもありますが、反対に破壊が進行してしまうこともあります。メトトレキサートの併用が有効な場合もありますが、必ず骨破壊進行を抑制できるとは言えません。血液検査等で病気のコントロールがしっかりとなされていることが確認できれば、関節破壊の進行のリスクは減少しますが、病気のコントロールが不十分な場合はメトトレキサートをはじめとする抗リウマチ剤の併用は意味があると思います。また血液検査では、少数の小さな関節(例えば手指の関節)の炎症までは反映しないことも多く、そのような場合には炎症の残っている関節では関節破壊が進行する危険性がありますので、ステロイドなどを併用した関節注射は関節の炎症を抑えるために有用です。
(令和3年11月)

Q.1194年前、手首の腫れと痛みで検査したところ、抗CCP抗体が329、CRP、RFは正常値でした。リマチルとピリドキサールが処方され、2年間は症状も安定して治った?と思っていましたが、2年後、CRP、RF、MMP3が少し基準値を超え、症状も悪化の一途で、MTXとフォリアミン6mgが追加され1年、さらに8mgになり1年服用。今度は肝機能が全て高値になり、4mgになりました。手足指の関節痛の腫れは良くならないのに減薬して大丈夫なのでしょうか?薬を服用していてもリウマチ は進行していくものなのですか?主治医は、薬が体に慣れてしまうからということですが。

関節リウマチRA)の診断でよいと考えます。発病間もない時期は一時的に軽快することもありますが、RAとして完成しますと、関節炎は持続し、病変関節も次第に拡大していきます。そこで、病変の持続、拡大を抑えるためにMTXが世界標準薬として使用されます。しかし、MTX単独では十分に病勢を抑えられないとか、肝障害などのような副作用で必要量を使用できない、あるいは中止せざるを得ない場合があります。そのような場合は他の抗リウマチ薬に変更ないし、併用療法が行われます。MTXの次に選択される薬剤は生物学的製剤(注射製剤)が一般的です。したがって、一度病変部の関節エコー(超音波)検査を受けられ、病変関節部のRA病勢の評価を行って、生物学的製剤併用療法の導入を考えることが関節機能を障害させないためも必要だと思います。担当医とご相談ください。

(令和3年8月)

Q.118妊娠前はエンブレルで炎症をコントロールしていましたが、産後エンブレル3ヶ月続けましたが効果が現れず、シンポニーとメトトレキサート10ミリに切り替え半年経過しましたがCRPは6のまま高い状態でしたので増量しました。増量して2ヶ月になりますが効果がないのですがこの状態で好転しないのではないかと心配しています。職場復帰もして育児も平日はワンオペ状態なので心身共に限界を感じます。今の病院では取り扱っている注射は3種類らしく転院も視野に入れております。他に効果がありそうな選択薬はないのでしょうか。

エンブレルもシンポニーもTNFという炎症物質を抑える薬剤で、通常はリウマチに非常に効果がありますが、時に効果がでない患者さんもいます。その場合、IL-6という炎症物質を抑える薬剤(アクテムラ、ケブザラの2種類あります)が有効な場合が多いです(前者は4週間隔の点滴と2週間隔の皮下注射、後者は2週間隔の皮下注のみ)。その他、オレンシアという製剤もあります(4週間隔の点滴または毎週の皮下注射)。さらに、内服薬でJAK阻害薬という薬剤も非常に有効性が期待できます(ゼルヤンツは1日2回内服、オルミエント、スマイラフ、リンヴォック、ジセレカの4つは1日1回のみ)。リウマチの薬剤はかなり進歩して、有効性の高い薬剤が出ていますので、これらへの変更を検討していただくのが良いと思います。ただし、いずれも非常に高価(シンポニー50mgと同等)です。どれが適切かは、患者さんの種々の状態で少し変わりますので、主治医とよくご相談して決めて下さい。(令和3年8月)

Q.117MTXを週1回、朝6㎎・夜6㎎飲んでいます。吐き気がするため、フォリアミンを5㎎、翌日と翌々日に飲んでいます。吐き気がしないように、週2回、3日ごとに夜6㎎MTXを飲んだりするのはダメでしょうか?MTX代謝物ポリグルタミン酸は半減期3日と、どこかの論文で読んだのですが、半減期3日であれば週3日ごとに、たとえば月曜日夜6㎎、木曜日夜6㎎MTXを飲んでもよいでしょうか?または、毎日夜2㎎飲んでもよいでしょうか?足指が腫れてきているので、MTXといういい薬を処方してもらっているのを、吐き気無く、倍、効くようにできたらいいなと思っています。

MTXポリグルタミン酸までご存知の患者さんはあまりいないと思いますが、医療関係のかたでしょうか? 関節リウマチの治療において、MTXの服用は1週間分を1〜2日で服用することになっていますが一定ではなく、1回で全て服用しても良いし、2〜3回に分割して12時間ごとに服用しても結構ですが、3日ごとに服用する、というのは用法として正しくありません。フォリアミンは葉酸を補充するだけのもので、肝機能障害や貧血や白血球減少の進行を防止するために必要ですが、吐き気を抑制する作用はありません。従って、MTXを服用する時にドンペリドンなど制吐作用のある薬剤を服用すれば改善すると思います。ただし、吐無理に継続するのは個人的にはあまり推奨しません。またMTXを12 mg/週で服用しても関節炎が抑えられない状態なら、MTXをさらに増量して治療強化するより、生物学的製剤やJAK阻害薬などを併用することをお勧めします。(令和3年7月)

Q.116寛解して5年ほど経ちます。その間も膝の痛みがありますが、痛み止めを服用することで痛みを抑えています。最近、少しその痛みが強くなっている気がしますが、痛み止めで抑えることもできます。 痛み止めで抑えることができる程度であれば、医療機関を受診するほどでもないか、寛解後も受診は必要なのか教えてください。

初期の適切な対処により薬物療法なしで寛解が長期継続されることはありますが、再発した場合に再度長期間寛解を目指す場合は必要に応じた早期の治療が理想的と考えられます。受診して問題なければ安心材料になりますので、症状があれば対症療法のみで経過観察し続けることと、念の為でも再受診することの利点と不利益をよく考えて判断されることをお勧めします。(令和3年7月)

Q.11520代前半です。昨年、膝が突然腫れて病院を受診したところ、リウマトイド因子の出ない偽陰性リウマチの診断を受けました。現在、メトトレキサート10mg、ケアラム25mg、アザルフィジン、フォリアミン、ロキソプロフェン、ランソプラゾールを服用しています。まだ膝に多少の違和感はあるものの、服用前に比べて症状はかなり落ち着きましたが、常に胃部不快感があり吐気で寝付けないこともしばしばあります。このような症状はこれらの薬を服用しているとよくあることなのでしょうか?また、胃部不快感に対する対処法や予防法はなにかありませんか?

胃部不快感に関してですが、現在服用されている中で、消化器系のお薬であるランソプラゾールは別として、ほぼ全てのお薬に消化器系の副作用があります。
メトトレキサートによる重篤な副作用対策としてのフォリアミンの併用やプロドラッグであるロキソプロフェンNaなど副作用に対する配慮はなされているものの、現在の症状からいたしますと薬剤の休薬や投与量の変更、あるいは他のお薬への変更などを必要とする場合も考えられます。
特にケアラムは消化性潰瘍のある患者さんは服用できません。
吐気で寝付けないこともしばしばあることから、早めに医師の診断が必要かと思います。

(令和3年7月)

Q.114五年前に出産により関節リウマチを発症。 メトトレキサート、フォリアミンを使用していますが5錠/週を3〜4ヶ月続けると脱毛が始まります。5錠飲んでる時のリウマチ症状はほとんどなく体調もよいです。減薬すれば脱毛は収まりますが脱毛が収まるまで減薬するので症状は悪化していきます。 よって薬を変えてメトトレキサート4錠/週とタクロリムス2mg/日、フォリアミンにしたところやはり3〜4ヶ月で脱毛が始まりました。減薬で脱毛は収まりましたがやはり症状は悪化しました。 この悪化の時は痛みがでてとてもつらいです。脱毛以外の副作用はないのでどうにかしてこの脱毛を防ぎたいです。脱毛が始まる前に薬の量を調整して脱毛を回避できる様な指針となる血液検査の項目や他の方法などないでしょうか? 因みに白血球数は変化はありませんでした。

脱毛がひどいようでしたら、メトトレキサートを増やさない治療を検討するしかないように思われます。主治医とご相談いただき、別の抗リウマチ薬を検討してもらってはいかがでしょうか。リウマチの炎症が強い場合は生物学的製剤などが必要になることもあるかと思います。また、肝機能異常とともに脱毛が出てくるなどがない場合は、残念ながら血液検査で脱毛の指標となる項目はないかと思います。

(令和3年7月)

Q.113関節リウマチの患者で、手指、足指に腱鞘炎が出ています。生物学的製剤は腱鞘炎の症状も改善させるのでしょうか?

一般的な(機械的刺激による)腱鞘炎とは違い、関節リウマチ患者さんでの腱鞘炎は“腱鞘滑膜の炎症”による腱鞘滑膜炎であることが多いため、生物学的製剤は有効なことが多いと思います。
(令和3年 5月)

Q.112リウマチの診断を受けたのはもう20年以上前ですが初診を最後に通院を辞め痛みを堪えながら仕事をし生活をしてきました。今年に入り両腕を切り捨てたい程の痺れと強ばりが出てきましたがそれでも病院に行くのを躊躇い痛みをガマンしています。私のような人が他にもいるのでしょうか。

20年前とは診断も治療も大きく進歩しました。疼痛はかなりコントロールできるようになっています。
リウマチ専門医、登録医の先生にもう一度受診することをおすすめします。
(令和3年 5月)

Q.111私はB型肝炎の無症候キャリアで半年に1度定期健診を受けています。 3月に手指の痛みがあり診察を受け関節リウマチと診断されました。 リウマトイド因子が20で腎臓や関節に異常はありません。 最近は痛みもあまり気にならないので痛み止めもほとんど飲まずに生活しています。 リウマトレックスを飲むことになったのですが薬を飲むにあたり肝臓にも影響があるとのことで同じ総合病院内の整形外科と内科を行ったり来たりして私が整形の先生と内科の先生に双方の話を説明して整形からリウマトレックス、内科から抗ウイルス薬のエンテカビルを処方してもらうことになったのですが肝臓に対してのリスクを考えると症状がほとんどないため薬を飲むのを延期してもらうことにしました。 できれば1人の先生に肝炎の状況も把握しながらリウマチの治療をしてもらうのが理想的ではないかとも思っていますがどうでしょうか?

当初関節痛があり、リウマチと診断されてリウマトレックスで効果があり、痛みも無くなったということですね。肝臓の専門医からエンテカビルを処方されている、ということはB型肝炎のキャリアだと思いますので、これは継続しておいた方が良いと思います。リウマトレックスは確かに長期投与で肝障害など、色々副作用が出てくる可能性がありますので、長期間良い状態が続いているなら、減量や中止を検討しても良いと思います。ただ、中止をするとリウマチが再燃する可能性はあります。 一人の医師がリウマチとウイルス肝炎を管理するのは理想的ですが、肝臓の専門医はリウマチを診療できません。リウマチを専門とする整形外科医も、ウイルス肝炎の管理が十分にできない場合が多いと思いますが、よく理解してくれる先生もいると思います。肝臓も見ながらリウマチ診療を行う医師が理想的ですが、そのような医師はどこでもいるわけではなく、現在の肝臓の専門医とリウマチ専門医にかかるのは、少し面倒かもしれませんが、医師間の連携がうまく取れていれば良いと思います。

(令和3年 4月)

Q.110関節リウマチ と診断されて薬を飲む事になりました。不安でネットで検索したら薬は飲み始めの飲み方によってひどい副作用がでる事があると書いてありましたがどんな飲み方がよくないのかは具体的になく薬を飲むのが不安になりました。本当にその様な事があるのでしょうか? また今は熱はないのですが喉が痛くて少し風邪気味です。この様な状態でも薬を始めてもいいのでしょうか?

どんな薬剤もアレルギーや消化器症状などの副作用は早期に出ることが多いです。また、新たに薬剤を服用したことによる不安感から、精神的な面による種々の症状も初期には出やすいです。逆に2週間以上服用しても大丈夫な場合は、その後も安全に継続できます。もちろん、抗リウマチ薬によっては、長期間の服用後に出てくる副作用もあり、それは主治医がしっかりわかって管理しているはずですので、患者さんはあまり心配しないで良いと思います。リウマチに使用する薬では、きちんと用法用量を守って服用していれば、細かい飲み方の違い(例えば、食後直後と1時間後に服用など、)で副作用の出方が変わる、ということはありません。軽度の感冒のみであれば、抗リウマチ薬はそのまま服用を続けても問題ないと思います。明らかな感染症を起こしている場合などでは、主治医と相談され、一時的に休薬するのが良いと思います。あまり細かいことにとらわれず、用法と用量をきちんと守って指示通りに服用していれば、まず大きな問題はないと思います。

(令和3年 4月)

Q.109一か月前、関節リウマチと診断され、メトトレキサート2mg、フォリアミン錠を飲み始めました、2回目の血液検査でRFが405.CRPが0,50です、前回は572と1,15でした、少し下がったようですが、MMP−3が45.0とあります、整形外科で治療をしていますが、専門医に行ったほうがいいでしょうか?年齢は82歳です。

現在受診されている施設の先生が日本リウマチ財団の登録医、日本リウマチ学会の認定する“リウマチ専門医”、あるいは日本整形外科学会の認定する“リウマチ医”であれば、問題ありません。
もしそうでない場合で、治療に満足している(治療の効果を感じる)のであれば、転医する必要はないと思います。治療に対して満足していない場合は、他の施設に紹介していただく、あるいは自ら転医することも一案かと思います。ちなみにMMP-3 45.0は正常範囲内の値です。(令和3年 4月)

Q.108生物学製剤へ移行する基準はありますか?CRP1.0が続いてます。

生物学的製剤に移行する基準は特にありません。主治医が現在の治療で不十分と判断したら、次のステップの治療を考慮します。CRPが1.0が持続しているとのことで、効果が十分とは言えないようです(寛解ではないと言えます)が、その場合も必ずしも生物学的製剤を使うとは限りません。患者さんの状態(肺や腎臓が悪くないか)、注射製剤が使えるかどうか(適応があるかどうか)、経済的負担、患者さんの好み、など種々の条件を鑑みて、患者さんに納得していただいた上で、生物学的製剤にするか、従来の抗リウマチ薬を併用するか、などを決定します。主治医と今後の治療をどうするか、よくご相談ください。

(令和3年 2月)

Q.107関節リウマチで、乳がんも治療中です。関節リウマチがコントロールできないのでリウマチの主治医からリウマトレックスをアクテムラにかえることを勧められましたが、乳がんの主治医は再発のリスクが高くなると心配しています。どうしたらよいのでしょう。 

この量のリウマトレックスに乳がんを抑える効果があるのかは疑問です。一方でリウマトレックスが癌を誘発するという報告もありますが、これについても意見が分かれています。またアクテムラを使うときにリウマトレックスをそのまま併用することもできます。リウマチの医師と乳がんの医師でよく話し合っていただくようにお勧めします。

(令和3年 2月)

Q.106線維筋痛症の患者です。 長い間何種類も薬を服用しており、現在は8種類処方されています。 調べてみるとてんかん薬や、胃薬のようなものもいただいているようなのです。どうして痛み対する薬でなく抗てんかん薬や胃の薬を服用したり、多数の薬が使用されるのでしょうか?また、薬は減らすことはできないでしょうか?

線維筋痛症は原因不明の病気であり、原因療法ができないために、主症状であるつらい全身の痛みを和らげる(緩和)慢性疼痛治療薬が使われます。線維筋痛症の痛みは、痛みを感じる神経が、痛みを感じる場所(例えば腕や背中など)にまったく異常がなく、その部位の痛みを感じる神経が、自然に過剰に興奮しているために感じる痛みです。急性の痛みの薬剤(ロキソニン_など)はまったく効果がなく、痛みの過剰興奮を抑えるために、薬の分類としては本来は抗てんかん薬と分類される薬剤(リリカ_など)が使われます。十分な効果が得られない場合は、時には他の抗てんかん薬(デパケン_、リボトリール_など)を併用したり、抗うつ薬(サインバルタ_など)なども使用されます。ですから線維筋痛症に抗てんかん薬を使うのはてんかん発作を抑えるためではありません。一方、線維筋痛症では精神・心理療法(認知行動療法など)、運動療法も行われることがあります。さらに、線維筋痛症では痛み以外に、随伴症状として抑うつ気分、疲労、睡眠障害や脱力症状など多彩な症状があり、これらに対しても対症療法として、いくつかの薬剤(ドグマチール_など)が、しばしば追加されることがあり、結果的に多数の薬剤の服用(ポリファーマシー)となります。しかし、線維筋痛症の中心症状である身体の広範囲の痛みが緩和・軽減されれば、上記の随伴症状も改善し、薬剤を減らすことも可能です。
 線維筋痛症は痛みと多彩な随伴症状があっても、改善すれば、後遺症はまったく残しません。したがって、ご自身なりに、線維筋痛症とうまく付き合う無理のないライフスタイルを工夫され、軽い運動を定期に行い、症状の改善がみられれば、服用する薬剤を一つでも減らせ、気分もよくなり、さらなる好循環で薬剤の減量につながります。

(令和3年 1月)

Q.1052年前より総合病院の整形外科で、右膝の変形性膝関節炎の治療を受けていましたが、改善が見られない事から内科転科で検査の結果、昨年、関節リウマチと診断されました。薬の服用により、血液検査の数値は正常値になりましたが、関節の症状に改善は見られません。先月のレントゲンでは膝関節の破壊が進んでいるとの診断を受けて、エンブレル投与が開始されました。丁度一か月が経ちますが、症状に改善がありません。むしろ、これまで唯一、右手中指にだけあった痛みが今は他の指にも広がり、強ばりがあります。このまま、内科で治療を続けるべきか悩みとても不安です。

現在の治療については、エンブレルを導入されても症状の軽快・消失がなく、逆に他の手指の症状やこわばり感の増強があるということですので、エンブレルの効果の判定(効いているのかいないのか?)やエンブレル以外の内服薬の変更などを主治医にまずご相談されてはいかがでしょうか?
関節リウマチの関節痛には主に二つの原因があります。一つは“関節の炎症(関節炎)”による痛みで、もう一つは“関節の変形・破壊”による痛みです。ご相談いただいた膝関節に関しては、元々“関節の炎症”による痛みよりは、“関節の変形・破壊”による痛みの方が強かったのではないかと考えます。“関節の炎症”による痛みのみであれば、エンブレルや他の薬剤に効果があればある程度治まるはずですが、今回の場合症状に改善がないということですので、エンブレルを含めた薬剤が効いていないか、あるいは“関節の変形・破壊”による痛みの方が強いのではないかと考えます。
小さな関節であれば生物学的製剤には関節修復の効果も期待できることがありますが、膝関節のような大きな関節では一般的に修復は望めません。“関節の変形・破壊”の程度にもよりますが、手術治療が必要となる場合もあります。

(令和3年 1月)

Q.104この1月初旬から起床時に両手の指(第2、第3関節)にこわばりの症状が出始め、マッサージをすると5分くらいで治る感じです。でも毎日なので心配で今、検査をしてもらおうと考えています。 関節リウマチと診断された場合どのような治療が始まるのでしょうか? 現在ジョギングで週末10kmほど走っていますが、やめた方が良いでしょうか?治療しうまく寛解状態になったとしたら、どのくらいまで運動しても大丈夫でしょうか?これまでトレッキングもしていましたが続けることは出来ますか?

① ご相談いただいた症状からは関節リウマチの可能性が高いと思われます。なるべく早くリウマチ専門医の診断を受けた方がよいと考えます。
② 仮に関節リウマチの診断がなされた場合、治療に関しては内服の薬剤による治療が開始になると思います。その他関節保護や日常生活動作の指導なども必要になります。薬物治療の詳細に関しては、様々な選択がありますので主治医の先生と十分な話し合いをして決めていただくことが大切です。
③ 関節変形や関節破壊がなければ、元々運動をされていた方は寛解状態にあれば、元の運動レベルに戻してよいと考えます。
(令和3年 1月)

Q.103母が2年前からリウマチの治療を受けており、現在シェーグレン症候群と間質性肺炎を併発しています。 薬はメトトレキサートを服用中です。 今年の7月に関節の痛みが酷くなり、かかりつけの病院を受診したところ、関節リウマチが急激に悪化していると診断され、アクテムラの皮下注射を週に1回、5週分処方して頂きました。 しかし、アクテムラの副作用の項目に間質性肺炎と書かれており、既に間質性肺炎を患っている母がアクテムラを打つ事により、病状が悪化するのではないかと心配です。

間質性肺炎は何らかのきっかけで炎症が一気に悪化することがあり、命に関わる非常に危険な状態であるため、何よりも早期発見が大切となっています。    

アクテムラを使用の際には間質性肺炎に気を付けなければならないのは確かですが、抗リウマチ薬には少なからず間質性肺炎への注意喚起がなされております。現在メソトレキサートを内服中とのことですが、この薬剤も(むしろ本剤の方が)同様に間質性肺炎について注意が必要な薬剤であります。            

大切なのは、肺炎の症状が悪化した時にしっかりと対応できることを考え、かかりつけの医師(呼吸器科の先生やリウマチの先生)に使用している薬剤と自覚症状の報告をきちんとしてフォローしてもらえるようにしてください。自覚症状は空咳が増えたり、倦怠感があったりしますが、自覚しづらい場合があるため、普段からお母様が呼吸を苦しそうにしていないか注意して観察するようにしてください。   

薬の影響のみならず、病態の影響があることを理解して、症状が悪化したときに自身が対応できる方法(普段から相談できるかかりつけ医や薬剤師などに相談)を検討ください。

(令和2年 10月)

Q.102シェーグレン症候群と強皮症の未病といわれ、さらに関節が痛いのは血液学的陰性リウマチと言われて、たくさんの薬剤を処方されたが服用しなければならないのでしょうか?(メトトレキサート、プレドニン、フォリアミン、ネキシウム、ボンビバ、エディロール)

あなたの場合はいくつかの病気が合併しているように見えますが、これらはお互いに関係があり、もともとは同じ一つの病気から出ている症状と考えたほうがご理解いただけるものと思います。それらの症状に対していろいろな薬剤が必要になりますし、これらの薬の副作用を予防するためにあらかじめ葉酸、胃薬や骨粗鬆症の薬が必要になります。拝見したところ処方内容に医師としては違和感はありませんが、薬が多いというのであれば医師にそれぞれの薬の必要性を確認されてはいかがでしょうか?

(令和2年 7月)

Q.101子供を出産後手のこわばりが強まり、検査で関節リウマチと診断されて治療していますが、数値が低いので医師は強い治療は控えています。しかし痛みが強いので注射を始めたほうが良いのか迷っています。注射をはじめて効かなくなったらとも思うと不安になります。

痛みが強いのは困りましたが、だから注射を使うというのではなく、医師は治療の方針を関節リウマチの病気の勢いを症状や検査の値から数値化してその判断をしています。注射(バイオ製剤)は単なる痛みどめではなく、病気をコントロールすることで痛みが消失するのです。また効かなくなる心配よりも使わないでいて関節が壊れてしまう方が心配です。リウマチの治療は多くの新しい薬が次々でてきており、効かなくなるのを心配して使わないという不安はありません。
(令和2年 7月)

Q.100右中指第2関節の痛みと腫れが気になり健康診断でリウマトイド因子を調べて貰ったところRF数値が148となっており、再検査を勧められ リウマチ科を受診。 再度詳細な血液検査をしたところRf153. MMP3は24、血沈17,抗ccp抗体0.5未満でした。 生物学的製剤での治療を勧められたたのですが迷っています。 リウマトイド因子があるのは確実かと思いますが今のところは日常生活には支障はありませんが早目にから治療開始した方が良いのでしょうか?

右第2近位指節間関節に腫れと痛みがあり、検査ではリウマトイド因子がそれなりに高値陽性であることから、発症早期の関節リウマチ(RA)であろうと評価されます。RAの治療方針は関節の構造的破壊を起こさないために、早期診断、早期治療が原則です。したがって、現在の関節炎症状で日常生活に影響がないから様子をみることは、好ましいことではありません。しかし生物学的製剤をはじめから使用することは現時点では推奨されていません。発病早期であればあるほど従来型の抗リウマチ薬でも十分な効果が期待でき、使用可能な方にはメソトレキサート(MTX)が第一選択薬とされています。生物学的製剤は次の段階での使用薬剤と分類されています。そこで、現在の担当医と開始すべき薬剤とについて相談頂くことが必要ではないかと思います。(令和2年 6月)

Q.99東京医科歯科大学の研究で乳がんの治療薬CDK阻害剤がリウマチを根本から治す可能性があるとの記事を見ました。私は生物学的製剤4種類の効果なし&二次無効であまり後がない状態です。このお薬の治験や認可は進んでいるのでしょうか、また今後の発売される予定の新薬はどれくらいあるのかお解りになれば教えてください。

乳がん治療にすでに使用されているCDK(サイクリン依存性キナーゼ)阻害薬は、簡単に言うと細胞の増殖(分裂して増えること)を抑制する薬剤です。したがって、癌細胞の様に異常に増殖する細胞を抑える、ということで効果を発揮しています。関節リウマチは、関節の滑膜に炎症を起こす疾患で、癌ではありませんが、炎症を起こしている細胞があたかも「癌細胞」の様に増殖し、いろいろな炎症性サイトカイン(TNFアルファや、インターロイキン6など)を出して滑膜炎を起こします。したがって、この様な増殖する細胞を抑える、という観点から、理論的には抗癌剤はある程度関節リウマチに有効です。実際、関節リウマチの第1選択薬であるメトトレキサートは抗癌剤です。しかし、CDK阻害薬は現時点で乳がんだけに保険適用である様に、すべての癌に効く訳ではありません。まして癌ではない関節リウマチに本当に効果があるかどうかは、「治験」をきちんとしないとわかりません。医科歯科大学では、当初動物モデルや、患者の滑膜から得た細胞を使って基礎実験として、関節リウマチに効く「可能性」を指摘してきました。しかし、まだ実際にリウマチ患者に投与する様な治験は行われていません。これからに期待はしたいと思いますが、関節リウマチの新薬として使用できるまでの道のりは長く、そして簡単なものではないでしょう。ただ、最近では、JAK阻害薬が、生物学的製剤に勝とも劣らない有効性があることがわかってきました。開発も進み、2013年に発売されたゼルヤンツを皮切りに、2017年オルミエント、2019年スマイラフ、2020年にリンヴォックが発売されました。さらに9月頃に5番目のJAK阻害薬が製造承認される予定で、大変期待されています。安全性についても大きな問題はないことが徐々にわかってきました。JAK阻害薬は、生物学的製剤とは異なり、内服薬であり、現在の第1選択であるメトトレキサートより有効性が高いことも明らかになっていますので、今後のリウマチ治療の大きな柱になることが期待されています。(令和2年 6月)

Q.98扁桃病巣感染症として、扁桃摘出術をすることで一部の関節リウマチに改善が見られたという情報を知り、かかりつけ医に扁桃摘出の了承を得たところです。 扁桃摘出後にリウマチの症状が改善された症例がどのくらいあるのか教えてください。

関節リウマチでは歯周病や腸内細菌が関連しているということが言われていますが、扁桃の病巣感染との関連は一般的ではないと思われます。扁桃摘出は、皮膚の掌蹠膿疱症という病気に伴う骨関節炎や、扁桃炎後にみられる溶連菌感染後反応性関節炎という病気では有効性が報告され、行われることがあります。関節リウマチに対して扁桃摘出が行われることは通常はありません。
(令和2年6月)

Q.97悪性リウマチを10年以上患っています。 生物学的製剤も、レミケード、アクテムラをしましたが、足だけでしたが、右手も腫れて、物が持てなくなったので、オルミエントにかえて2ヶ月になろうとしていますが、膝から下の浮腫が酷く、靴が履けないくらいになり不安になっています。 足首からリウマチが始まっているので、足に薬が効果を出しているのでしょうか? 手の腫れはましになりましたが、足が浮腫み不安です。

悪性リウマチというのは悪性関節リウマチ(血管炎を伴い全身の臓器障害を伴う関節リウマチ)のことでしょうか?そうであれば心臓や腎臓にも影響を及ぼして、特に下肢(足)のむくみがでることがあります。また多くの薬剤の関連で浮腫むこともあります。さらに関節自身が腫れていてむくみになることもあります。これらのことを主治医の先生に鑑別していただき、どのような治療をするのかを考えていただくようにご相談ください。(令和2年4月)

Q.96リウマチとがんの因果関係についてお尋ねしたいことがあります。 最近では、関節リウマチだからといってがんになる可能性が高くなるわけではないというふうに聞きますが、その真偽はどうなんでしょうか? またその逆、がんが原因で、あるいはその治療の影響で、関節リウマチになることやリウマチになる可能性はあるのでしょうか?

現在のところ、血液のがんのひとつである悪性リンパ腫に関しては、関節リウマチの患者さんで一般人口と比べて多いとされ、肺がんに関しても、若干、その傾向があることが報告されています。しかし、がん全体でみると、関節リウマチと一般人口でほとんど差はないとされています。がん患者さんの一部では、関節痛が起こることがあります(腫瘍随伴症候群)。また、ニボルマブ(商品名オプジーボ)などの免疫チェックポイント阻害薬といわれる薬剤では、副作用として関節炎が起こることがあります。しかし、一般的には、がんやその治療薬が原因で関節リウマチが起こるとは考えられていません。(令和2年4月)

Q.9510か月前に右足指の付け根が痛くなり、半年前に血液検査をしたとろ、RF:150,CRP:0.04,MMP3:64.6,抗CCP:75.5、白血球:3400という結果が出て、関節リウマチの診断を受けました。 4か月間ほどリウマトレックスを週に4錠服用した結果、痛みは軽減されたのですが、全くなくなるということはありませんでした。薬服用後の血液検査の結果は,RF:66,CRP:0.03,MMP3:43.2,白血球:3200となりました。初期であることと、白血球が少ないことから主治医に生物学的製剤への変更を提案されたのですが、高額なことと痛みが一か所ということもあり迷っています。

右足趾の付け根(MTP関節と言います)1箇所のみの関節痛で、CRPも陰性であり、現時点で関節リウマチとは診断できないと思います。関節リウマチの可能性も完全い否定はできませんが、関節エコーやMRIなどで本当に関節炎があるのか確認をした方が良いと思います。治療については、関節リウマチと確定したらメトトレキサート(リウマトレックスなど)で治療を開始するべきですが、疑い状態でメトトレキサートによる治療を開始することは、有用性がないことが臨床試験で言われています(van Aken Jら;Ann Rheum Dis 73: 396、2014年)。まして、生物学的製剤はおっしゃるように高価でもあり、「疑い」の状態で使用するべきではありません。まずは、本当に関節リウマチなのかどうか、セカンドオピニオンで他の専門医のご意見を訊くのが良いように思います。(令和2年4月)

Q.94膠原病でトシリズマブを3回打ったあと、左右のお尻が歩けないほど急に痛くなり、帯状疱疹のような発疹が臀部に出現しました。かかりつけ医では、神経痛と診断され、ロキソニンとリリカを痛みどめで処方されました。これは、トシリズマブの副作用ではないでしょうか。もし副作用だった場合には、生物学的製剤を中止しすれば、痛みや発疹はなくなりますか。

トシリズマブによって帯状疱疹が起こることは一定頻度で知られていますが、他の生物学的製剤とほぼ同等です。トシリズマブ自体で神経痛を起こすことはほとんど知られていません。やめてみて改善するものではないように考えます。
(令和2年2月)

Q.93関節リウマチと診断されて3年、リウマトレックス週10mgから始めて8mgに減薬、フォリアミンは10mgを服用しています。 投薬開始以降、治めはこわばりや痛みの症状はなかったのですが、夏頃から足裏のむくみ、足膝裏にしこり(ベーカー嚢胞とのこと)の症状があり、翌年冬から手指のこわばりが急に強く出始めました。 主治医にはリウマトレックス増量の希望を伝えましたが、気圧の関係だと言われ様子をみています。こわばりは少し治まってきましたが不安な毎日です。 薬を増やしてもらえなければセカンドオピニオンをした方がいいでしょうか?

ベーカー嚢胞そのものがリウマチの活動性を示しているわけではないので、これだけでリウマトレックスを増すかどうかは考えるところです。
セカンドオピニオンは治療に少しでも不安があり、それが忙しい外来では十分に解決しない場合に活用するための制度です。かかりつけの先生に効率的にご自身の疑問や不安を伝えるために紙に書いて持っていき、それでも治療を十分安心して受けることができなければ、お薬手帳とこれまでの検査結果などを持参して。躊躇せずにセカンドオピニオンを受けていただけばと思います。

(令和2年2月)

Q.924年ほどメトレート10mg週一回、フォリアミン5mg週一回、シムジア注射1本二週に一回、という治療を続けています。 ここ1年ほど強い痛みは出ておらず、ここ半年は血液検査の数値も平均で安定しています。 主治医にはシムジア注射をやめたいと相談していますが、続けた方が良いとの判断です。いつやめられるでしょうか? 薬剤別の標準投与期間等がありましたらご教示ください。

関節の痛みもなく、腫れている関節もほとんどなく、CRPなどの炎症反応も無い状態(いわゆる「寛解」)がある程度の期間(少なくとも半年以上)続いていれば、シムジアなど生物学的製剤はいつ辞めても良い、と思います。

製剤ごとの差については、正確にはわかりませんが、ほとんど無いと思います。多くの臨床研究では、リウマチが発症してから2年以内の早期にしっかり治療(メトトレキサートと生物学的製剤など)された患者さんでは、寛解達成後、生物学的製剤を中止しても、大まかに言って80%の方はその後1年はほぼ寛解を維持できる、という研究が沢山あります。これらの研究では、生物学的製剤を中止して再燃した患者さんでも、再び同じ生物学的製剤を投与することで、ほとんどの方が再度寛解を達成できる、と言われています。

ただ、病歴が長くて生物学的製剤が導入された場合は、寛解後に生物学的製剤を中止しても、およそ半分くらいの患者さんが再燃する、と言われています。
ご相談の患者さんが、発症してすぐにしっかりした治療を受けたかどうかで、生物学的製剤の中止後の寛解の維持率には差がありますが、経済的負担や安全性の面でも、一旦中止することは妥当な治療だと思います。もし、再燃したらすぐにシムジアを再開すればよいのですから。
もう一つの選択は、シムジアの投与間隔を2週間に1回から、3週に1回、さらに4週に1回などと間隔を延長することです。これも、試験が実施されており、ほとんど問題なく延長できる、と言われています。完全な中止が再燃のリスクで心配なら、投与間隔の延長をまずは試みてはどうでしょうか?
(令和2年2月)

Q.91京都で一人暮らしをしている77歳の母が関節リウマチで苦しんでいます。治療法は注射で症状を抑えるとのことですが、1か月注射代だけで16万円のようです。 費用のこともあり、母は誰にも相談できず、離れて暮らしている私も何もしてあげられない状況です。現在は寒さゆえに手の痛みが激しいらしく、普通の生活が送れないと苦しんでおります。 治療方法、治療費の件等何か良い方法はないでしょうか。

現在の治療に疑問がある場合は、率直に主治医に尋ねることをお勧めします。使用している薬剤名、今後の治療の方針、6カ月、1年なども訪ねても良いかもしれません。十分納得できない場合は、不安を持ちながら治療を受けるよりも、お薬手帳とこれまでの検査結果を持参して他の医療機関を受診されることも問題ないと考えられます。薬剤名と検査結果は今のかかりつけの医療機関で問題なく受け取れると思います。京都市内には多くのリウマチを専門に診療している医療機関があります。リウマチ財団のホームページにも登録医の先生のリストがありますので参考にしてください。
また、金銭的な問題については市の高齢者福祉課・保険課や地域包括ケアセンター(高齢者いきいきセンター)などにもご相談されるとよいと思います。高額医療費の支払いには上限があり、実際に毎月16万円を払っている方はおりません。
(令和2年2月)

Q.90血液検査にほとんど表れない状態で両親指の変形1度。シェーグレンありです。 関節リウマチだろうと診断され、タクロリムス0.5㎎ケアラム25㎎1日1錠ずつと、メトレート2㎎を週1回で2年近く治療し、今はほとんど痛みが出ない状態です。 主治医は先月の血液検査の結果、薬を増やしたかったようですが、私が状態がいいと言ったので、薬は今までの分量で様子をみることとなりました。 長期間の薬の服用は問題ありませんか? 断薬はどうなると出来るのでしょうか?

薬の用量調整は関節炎の活動性、長期の関節破壊のリスク、血液検査での副作用モニタリングなどで相談となります。適切な副作用モニタリングがされていれば、薬剤を長期に使っても問題ないことがほとんどです。タクロリムス、ケアラムでは腎機能、メトレートでは肝機能などがモニタリングの対象になりますので、アルブミン、クレアチニン、AST、ALTなどが服用開始時から変化していないかご自身で確認して主治医と相談することも可能と思います。病状が落ち着いてきたら徐々に減量し断薬することも可能になることはありますが、まずは関節破壊を進行させないことが重要ですのであまり焦らないことも、高血圧や糖尿病の治療と同じで慢性疾患においては必要かもしれません。
(令和2年2月)

Q.89現在,、関節リウマチの治療中ですが、線維筋痛症に似た症状が出てきているようなのです。 関節リウマチの治療中でも線維筋痛症になるのでしょうか?

関節リウマチと線維筋痛症との関連については、わが国では情報が少ないのが現状ですが、欧米では古くから両疾患は相互に併存しやすことが知られています。その併存頻度は、およそ10%前後です。線維筋痛症はわが国でも、人口の1.7%(約200万人)にみられるとされていることから、関節リウマチでは約6倍も高い合併率で線維筋痛症を併存します。このことは、関節リウマチに対してメソトレキサート(MTX)や生物学的製剤・経口分子標的薬などで積極的な治療を行って、関節の診察所見、採血検査やエコーによる画像検査で、関節リウマチの活動性が十分に抑えれているにもかかわらず、関節や筋肉・腱などに痛みやこわばりが残っている場合は、線維筋痛症の併存している可能性を考慮する必要があります。線維筋痛症の治療は関節リウマチの治療とまったく異なることから、線維筋痛症の有無の診断は重要です。
(令和2年1月)

Q.887年前に関節リウマチと診断されリウマトレックス、レミケード、シンポニーの治療を続けました。痛みがなくなり寛解状態が長く続きましたが2年前の冬に乳がんが見つかり抗がん剤治療、手術をして現在はホルモン治療中です。その間リウマチの治療はできず薬も服用しておりませんでした。最近の検診でRF定量が100を超えましたがMMPー3の値が平均値であるため経過観察中ですが今後痛みが出た時にはシンポニーを再開する事を勧められました。生物学的製剤を使うことによって癌が再発するのではないかと不安です。どのように治療すればよいでしょうか?

一般には、関節リウマチの治療中にがんなどの悪性腫瘍を合併した場合は、生物学的製剤などの免疫抑制薬は休薬となります。がんの治療後関節リウマチの積極的治療が必要な場合は、乳がん治療後5年間(がんの種類によっては10年間)再発などがなく、がんが治癒していると評価される状態であれば、生物学的製剤などの免疫抑制薬などの使用が可能となります。当然、乳がん治癒後といえどもこれら薬剤の使用により乳がんの再発の有無の定期的評価は必要です。しかし、乳がん治療後5年以内でも関節リウマチが活動性であったり、再燃した場合は、生物学的製剤などの薬剤は使用はできませんので、従来から用いられている抗リウマチ薬での治療となります。今回ご質問のケースでは、乳がん手術後ホルモン療法が継続中であり、また治療後5年以内の時期でもあり、関節リウマチが再燃しても、以前のように生物学的製剤使用は困難と思いわれます。現在の担当医と、乳がんの主治医との緊密な連携で現在の乳がんの術後の状況と今後のがん治療の見通しなどを考慮して生物学的製剤などの免疫抑制薬の使用のタイミングを決めて頂く必要があるようです。

(令和元年12月)

Q.87関節リウマチと診断され、アザルフィジン250ミリを処方されました。抗ccp抗体は一昨年からわずかに上昇、今回500を超え、関節の痛みもあります。比較的小さな関節のためか、炎症反応や血沈の数値は正常でした。 関節リウマチの治療ははじめにメトトレキサートを使っていらっしゃる方がおおく、不安になりました。ご意見をいただきたいです。ちなみに、mmp3も正常でした。 シェーグレン症候群もあるので関節の腫れはそれでも起こると診断か遅れた気もしています。

アザルフィジン250mg/日の服用は効果もほとんど期待できず、服用の意味はありません。関節炎があり、CRPも陽性で関節リウマチの診断が確実なら、禁忌がない限りメトトレキサートを使用すべきです。ご相談のケースは、シェーグレン症候群があるようですが、シェーグレン症候群では、リウマトイド因子や抗CCP抗体が陽性になりますので、関節リウマチと間違われることが多いです。両疾患を合併していることもありますが、もし活動性の関節リウマチを合併している場合は、CRPが陽性とになります。

(令和元年11月)

Q.863ヶ月前に整形外科で関節リウマチと診断され治療開始していますが、関節の痛み以外に手の甲などに赤い斑点が出たり喘息の様な症状が出てきました。関節リウマチは膠原病の一種で関節以外にも症状が出ると聞きましたが、整形外科ではなく内科のリウマチ科で治療した方が良いのでしょうか?

関節リウマチの診療に関しては、リウマ財団登録医、日本リウマチ学会専門医等、関節リウマチに関する専門的な知識を有している医師であれば、整形外科、内科を問わず、治療が可能です。もし呼吸器など内臓の病気で、内科的な判断が必要である場合には、内科と連携して治療を進めることになるかと思われますが、特に内科的に気になることがあるようであれば、主治医にご相談されてみては如何でしょうか。

(令和元年7月)

Q.85乾癬性関節炎という診断を受け治療が始まり、リウマトレックスを服用していますが毎回吐き気 倦怠感 頭痛 口内炎に悩まされます。 まだ飲み始めたばかりで、リウマトレックスは増量していく予定のようです。 多発性硬化症のため10年前からタクロリムスを毎日3mg服用していますが、リウマトレックスではなく生物学的製剤を使用する事は可能でしょうか?

生物学的製剤は炎症をおこすサイトカインと呼ばれる物質なとに作用して働きを抑えますが、乾癬で使用される生物学的製剤は大きく分けてTNF、インターロイキン(IL)-17、IL-23という3つのサイトカインを抑えるものがあります。このうちレミケードやヒュミラといったTNFを抑える製剤は多発性硬化症を悪くする可能性があるため、多発性硬化症の患者さんに使用することはできません。その他のIL-17やIL-23を抑える生物学的製剤は多発性硬化症の患者さんでも通常は使用可能で、タクロリムスとも併用できると考えられます。但し、使用にあたっては多発性硬化症の主治医の先生にあらかじめ確認していただくことが必要です。

(令和元年6月)

Q.84私は3歳から5歳の間に関節リウマチになりました。 リウマトレックス系の薬を使ったのですが、これらの薬で吐いてしまいます。 吐き気の副作用がでない、変形を抑えられる薬はありますか? 私は高校生ですので、これから先ずっと痛みと薬の副作用と変形と戦いながら生活するのは辛いです。家族に治療費の負担をかけたくないというのもあります。

どの薬もそれなりの副作用はありますが、あなたにリウマチの薬を使った時に全ての薬で副作用が必ず起こるということではありません。
また、メトトレキサートの吐き気も量によって変わってきます。
メトトレキサート製剤で嘔気があり使用できない場合、経済的問題を考えなければ注射製剤(生物学的製剤)で治療をするのが、1番良い選択だと思います。特にIL-6を抑制する製剤(商品としてアクテムラとケブザラの2つがあります)は、メトトレキサートが使用できない場合の単独使用で有効性が証明されています。しかも、肺や腸の病気など他の内臓の病気がなければ、吐き気が出ることはまずありません。
しかし、治療費は1か月あたり3割負担の方で3〜4万円程度かかります。
ただ、病状が安定すれば注射の間隔を伸ばしたりすることもできますので、もう少し節約することは可能です。
最近話題になっている内服薬のゼルヤンツやオルミエントも大変有効性の高い薬剤ですが、注射製剤と同じくらい高価なのが難点です。
安価な薬剤としては、内服のイグラチモド(商品名ケアラム)、ブシラミン(商品名リマチルなど)が有効性もある程度期待できます。メトトレキサートよりはどれも副作用は少ないといえます。概ね、前者は肝機能障害、後者は膜性腎症という腎臓の障害がたまに出ることがあります。
症状が軽い場合は、作用は弱いですがアザルフィジンという薬剤も安価である程度有効です。
(平成31年1月)

Q.83関節リウマチでメトトレキサートと生物学的製剤で治療して痛みはなく落ち着いていましたが、副作用でニューモシスチス肺炎になり治療しました。現在、肺炎は完治しましたが、以前の治療はもうできないのでしょうか。

メトトレキサートと生物学的製剤を中止してもリウマチが落ち着いているのであればあえて再開しなくてもよいかもしれません。しかし必要な場合には、ST合剤(バクタ錠)という薬剤でニューモシスチス肺炎の再発予防が十分にできれば、メトトレキサートなどの再開は不可能ではないと思われます。但し、その他の状況にもよりますので、主治医とよくご相談ください。
(平成30年10月)

Q.82関節リウマチと診断され、間質性肺炎もあると言われています。間質性肺炎があると使えない抗リウマチ薬はありますか?

間質性肺炎が重症でない限り、抗リウマチ薬の使用は可能です。しかし、多くの抗リウマチ薬で副作用として間質性肺炎があげられています。メトトレキサートは副作用で急性の間質性肺炎がみられることがまれにあり、間質性肺炎がある場合には慎重に投与することとなっています。生物学的製剤は通常、間質性肺炎の副作用はありませんが、もともと間質性肺炎がある場合は肺感染症が起こりやすいため、より注意が必要です。

(平成30年10月)

Q.81乾癬性関節炎は皮膚科で診ていただくのでしょうか?

乾癬性関節炎の診療については、リウマチの専門医・リウマチ財団登録医等をお探しになるのが良いと思います。また、皮膚科の先生でも関節を診てくださる先生もおりますので、皮膚科の先生にご相談されるのも一法です。

(平成30年7月)

Q.80平成20年に間質性肺炎を発症しステロイド50ミリで治療開始、漸減する中で平成24年に関節リウマチも発症しました。現在整形外科医でアザルフィジン1000mg、リマチル100mg、プログラフ2.5mgを服薬治療中ですが、継続する関節痛2カ所、CRP0.15、ESR16の状況です。平成21年に呼吸器内科主治医から肺炎球菌ワクチンの接種を受け、今回プレベナー13の接種を勧められています。他に高血圧症でアジルバ、上室性頻拍でワソランを服薬治療中ですが、ワクチン接種時に治療薬の休薬は必要でしょうか?

肺炎球菌ワクチンは不活化ワクチン(生ワクチンではなく、活性化することはない)ですので免疫抑制薬使用中でも感染することはありません(むしろ勧められます)。従って、抗リウマチ薬やタクロリムスのような免疫抑制薬を中止する必要はありません。ところでなぜプレベナーなのでしょうか?通常プレベナーは小児の肺炎球菌ワクチンとして公費負担で使用されます。ニューモバックスの方が65歳からの公費負担を受けることができます。確かに対応する血清型が若干異なるので、ニューモバックスでカバーできない血清型をカバーするためなら良いとは思いますが。
(平成30年7月)

Q.79突発性器質化肺炎で入院、発病から2ヶ月後に関節リウマチと診断されました。大量のステロイドで高熱や全身の関節の痛みはかなり改善。しかし炎症反応はその後も下がりきらず、わずかながら骨びらんも始まっていました。アザルフィジン、シムジアは効果が不十分で、2ヶ月半後からリウマトレックス16mg/週、3ヶ月半後からゼルヤンツを開始、その後検査数値は徐々に良くなり、ステロイドを減量、現在は1.5mg/日までになっています。ただ、発病から4ヶ月で両手の中指などにスワンネック変形が出始め、発病後15ヶ月の現在痛みと動きにくさがあります。医師から中指の手術を勧められていますが、進行が早いので手術後も変形が進んで手術の繰り返しになるのではと不安です。手首にも痛みがあります。手術を急ぐべきでしょうか? また、最近足がとても冷たくて1ヶ月前から指や踵に霜焼け(かゆくはない)のような症状があります。血管に炎症が起きた結果血流が悪くなっていると言われ、血流を良くする薬をもらいました。ネットで悪性関節リウマチで血管に炎症が起きるとありましたが、その可能性はありますか?

リウマチの炎症が落ち着いており、その状態を維持できそうであれば手術自体に問題はないかと思われます。しかし、手術を行うか、またその時期に関しては、日常生活での不便さや手術の内容によりますし、術後にまた変形してしまう可能性はないとはいえないように思われます。そのあたりも踏まえてご担当の医師とよく相談されてください。皮膚症状が血管炎かどうかは、拝見していないので何とも言えません。通常、血管炎はリウマチの関節症状が悪い時期に出ることが多いのですが、可能性がないとは言えません。疑わしければ皮膚生検という検査で診断がつくことがあるので、一度大きい病院の皮膚科を受診されてみては如何でしょうか。
(平成30年7月)

Q.7837歳の娘が関節リウマチの診断を受けました。血液検査でCRP H0.69、RF H 130、抗CCP抗体 H 1746との結果が出た上でのことです。ただ関節症状は現在軽微で日常生活において特段の支障はない状態です。医師からは抗CCP抗体の数値が高く積極的な治療を始めたいとのことで、シムジアの投与から始める旨、診断を受けて参りました。ただ現在痛みなどが余り無いため、次回の受診時から開始するということでした。リウマチの治療について調べましたが、メトトレキサート服用が第1段階としての標準治療と聞きます。娘の場合のように一足飛びに生物学的製剤から始めて良いものかと迷っています。アドバイスを頂けましたら幸いです。

抗CCP抗体陽性で炎症反応(CRP)も陽性であり、多分関節リウマチという診断には間違いないと思います。抗CCP抗体の高い患者は将来関節破壊が進みやすいという成績も確かにあります。したがって、メトトレキサート単独より初めからメトトレキサート+生物学的製剤(シムジアなど)で治療する方が平均としては成績が良いのも確かです。しかし、これらは全て多くの患者さんのデータの平均であり、個々の患者さんに全て当てはまる訳ではありません。現時点で関節症状が少なく日常生活にあまり支障がないこと、CRP=0.69と低く炎症も弱いこと、などから、まずメトトレキサートのみから始めるのが一般的です。患者さんから希望(どうしても早く確実に良くなりたいので生物学的製剤を使って欲しい、など)があればシムジアやヒュミラを最初から使っても良いと思いますが、経済的にも大きな負担になりますので、今回ご相談の患者さんにおいては、まずメトトレキサートだけで治療を開始しても十分に満足行く治療ができる可能性は高いと思います。     (平成29年9月)

Q.77先日、初めてメトトレキサート(メトレート)を飲みました。その晩から38度以上の熱とだるさ、頭痛、口の渇き、が続き、1日の中で平熱だと思ったら、頭痛とともにぐっと熱があがってしまう状態を繰り返し咳も出始め、結局入院しました。間質性肺炎の疑いと尿から白血球が出てしまっている、肝臓の数値が700超え、腎臓も数値があがり膀胱炎になり、1週間入院し、退院してから10日くらいでようやく普段の生活にもどってきました。担当の先生は、メトトレキサートとEBウイルスの関連性はないから、症状が落ち着いたら、またメトトレキサートを始めましょうと言われました。再開して、また同じような症状にはなりませんという保証があるのか、EBウイルスとの関連性があるように思えてならないのですが。

今回のEBウイルス感染とメトトレキサートはおそらく関連はないと思われます。但し、はっきりしたことはわかっていませんが、ごく一部の患者さんではメトトレキサートやそのほかの免疫を抑える薬剤を内服中にリンパ腫が起きることがあり、この時にはEBウイルスが陽性のことが多いとされています。また、メトトレキサートとの関連がいわれているわけではありませんが、まれに慢性のEBウイルス感染症が起こることがあります。これはEBウイルスを排除することができない特別なタイプの方です。ほとんどの関節リウマチの患者さんはEBウイルスにすでに感染しているので、実際にはメトトレキサート(メトレート)を内服するうえでEBウイルス感染について問題にすることはありません。今回が初めてEBウイルスに感染したのだとすれば、今後はEBウイルスに感染はしないことになります。またメトトレキサートを1日飲んだだけでその日に感染がでてくるようなこともありませんので、関連性があるとは逆にいえないと考えます。(平成29年8月)

Q.76私は20代から関節リウマチになり、しばらく炎症が基準値の1プラスで落ち着いていましたが40代に悪化し、メトレートを週に5錠など処方されています。別の科で薬を処方するのも困るよとも言われました。今日また増えました炎症は2、23でした。

「炎症」が2.23ということは、CRPが2.23 mg/dlと思いますが、関節も痛み、腫れてるのであれば、「関節リウマチの活動性(病気の勢い)が高い」ということになり、現在の治療は効果が不十分と判断されますので、抗リウマチ薬の増量や変更は妥当です。メトレートは1週間に8錠(16mg)まで使えますが、これでも効果がなければ生物学的製剤の併用が勧められます。また、最近では内服薬でゼルヤンツという強力な抗リウマチ薬もあり試す価値はあります。他の科にはどんな疾患でかかられて、どんな薬を飲んでるのかわかりませんが、少なくともメトレートでは併用に障害となる薬剤はほとんどなく、「薬を処方するのも困る」ということはないと思います。可能なら一人のリウマチの専門医にすべての処方を任せて一元的に管理してもらうことをお勧めします。(平成29年6月)

Q.75関節リウマチの診断で、リマチル1か月で効果がありましたが、その後診察が3か月空いた間に、肝臓の数値が全体的に高くなりました。それで全ての薬を休止後しばらく痛みなどは治まっていましたが、休薬3ヶ月後に体中の激痛が続くようになり、急遽病院へ駆け込み、CRP8以上でやむなくプレドニン6.5mg/日を処方されました。即日痛みが消えましたが、数週間で腰椎圧迫骨折となり、現在プレドニン2か月弱です。高齢で骨折経験も数回ありました。その他の抗リウマチ薬もアレルギーが出たり、プレドニン1か月の時点で肝臓の数値も下がりきらず、MTXも間質性肺炎があるので使えないようです。肝臓の数値が下がった後にステロイド減薬して、生物学的製剤しかないと言われていますが、感染症、アナフィラキシー、間質性肺炎のリスクがあり、考えられません。間質性肺炎は、リウマチだから膠原病肺とは限らないようで、原因解明と治療を優先して、関節リウマチは民間療法を試すしかないのでしょうか、アドバイスをお願いします。

いろいろな問題が起こり、関節リウマチの治療が思うようにできずお気の毒です。お話をまとめると、リマチルで肝障害になった、その他の抗リウマチ薬も使えず、MTXは間質性肺炎で使用ができない、ステロイドで骨粗しょう症が起こった、生物学的製剤は感染症、間質性肺炎などがあって不安だ。どのような治療法があるのか、という質問かと思います。大変辛い思いをされていることと思いますが、たくさんのお薬にこのような副作用を示すことは実はリウマチ患者さんでは珍しいことではありません。このようなことに慣れているリウマチの専門医に診ていただくことと、生物学的製剤を怖がらずに上手に利用することであると思います。生物学的製剤は一度使ったら、取り返しのつかないことになるような薬ではありません。使用法に慣れている専門医にみていただけば、必ずあなたに合った治療法を見つけてくれると思います。(平成29年3月)

Q.7430代前半で関節リウマチを発症し、コントロール不良で両膝人工関節置換術を受け、50代後半ごろより12〜13年レミケード投与し現在は寛解状態です。現在70歳で最近医師よりレミケードを中止を打診され迷っています。レミケードの投与と中止のメリット、デメリット及び中止して症状が悪化した場合の対処法(再開できるのか、他剤を使用するのか等)を教えてください。

寛解した場合のレミケード中止報告はあります。医師からそのような意見が出されたのは中止がかなり期待できるからだと思います。その後の経過については全く関節リウマチの再燃がなかった例から、再燃した例まで様々です。
中止によるメリットは医療費がかからなくてすむことやレミケードの副作用の心配がなくなるなどです。中止後に再燃しても、急に悪くなることはなく、再び治療を始めることで再び効果が期待できます。
もし、再開後に効果がみられなかったり、副作用が出た場合でも、他の生物学的製剤は有効である場合が多いのでそれほど心配することはないかと思います。

(平成28年11月/平成29年12月更新)

Q.73関節リウマチ歴5年目の48歳、診断後リウマトレックス8㎎/週を約2年服用し、症状が安定していましたが、起床時に指先がむくむようになり、レントゲン検査をしたら足指の骨びらんが進んでいました。日常の動作には支障はなく、今後の治療法に悩みます。生物学的製剤へ移行決断のタイミングがわかりません。 医師からは劇的に快方するといわれましたが、現状、あまりつらくない症状なので、このままの投薬法でもいいのではと思います。今から開始したほうが早く寛解になるのでしょうか。また、生物学的製剤のジェネリック(後発)医薬品は、いつごろの発売になりますか。

生物学的製剤の使用ガイドラインには、症状や血液検査の結果だけでなくレントゲンでの関節病変が進行している場合には使用を考慮すること、とあります。リウマチの状態は実際に診察をしてみないとわかりませんが、レントゲンで進行がみられたとのことですので、現在も関節症状や炎症の所見があるならば、主治医とよく相談のうえ、その他の抗リウマチ薬の併用や生物学的製剤の開始を考えてもよいと思います。

生物学的製剤は、関節症状を改善して寛解へ導く効果が高く、さらに、関節破壊を抑える作用が強いのが特徴です。

また、生物学的製剤ののジェネリック(後発)医薬品は、ありません。ジェネリック医薬品は、まったく同じ分子構造をした薬剤です。生物学的製剤は、巨大な分子化合物であり、まったく先発医薬品と同じ分子構造をつくることは不可能なので、ほとんど同じ構造をしていて同質、同等性を有する化合物が作られ、バイオシミラーhttps://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm400/rm400_chiryo_seibutsugakutekiseizai.html(先発医薬品と類似の生物学的製剤)と呼ばれています。

現在は、インフリキシマブ(レミケード)のバイオシミラーがあり、今後、他剤ののバイオシミラーも承認されていきます。   (平成28年9月/平成29年12月更新)

Q.72妻が線維筋痛症です。最近上咽頭炎(Bスポット)の治療で関節リウマチや線維筋痛症が改善するような記事を見ました。関節リウマチや線維筋痛症の医師からBスポット治療の話が出ないのですが公的に効果を認められていないのでしょうか?

Bスポット療法は上咽頭(鼻咽頭)にある咽頭扁桃の炎症を塩化亜鉛溶液を綿棒で反復塗布して炎症を抑えようとるす治療法です。1960年代に耳鼻科医堀口申作教授(東京医科歯科大学)により開発された治療法で、鼻咽頭の鼻(び)からBスポット療法と呼ばれるようになりました。病巣感染治療の補助療法の一つですが、その効果の仕組みがよくわかっていまんせんし、治療手技が統一されておらず、有効性を客観的に評価する成績がないこと、さらに治療対象疾患がどんどん拡大され、難病全般の治療法と流布されてしまったことなどから、耳鼻科を中心に限られたクリニックでのみ行われる公的医療保険によらない補助療法であるのが現状です。そのため国際的に科学的に作成された治療ガイドラインには本治療法は記載されないのです。Bスポット療法は、あくまでも補助療法の一部ですので本来の治療を中断して行うことは避けて頂き、実施する場合は現在の担当医と相談ください。     (平成28年7月)

Q.71間質性肺炎と診断され、副腎皮質ステロイドのプレドニン55mg/ 日から開始し、その後、関節リウマチと診断されました。現在、プレドニン30mg/日、タクロリムス1mg/日を服用しています。はじめのころのCRP、抗CCP抗体ともに高かったとのことで、今後の症状が心配です。リウマチトイド因子(RF)も陽性でした。すぐに生物学的製剤の治療もできるのでしょうか?

間質性肺炎が起こっている場合の関節リウマチでは、まず間質性肺炎の治療を優先にします。命と直結するからです。その場合には副腎皮質ステロイドが中心となり、しばしばシクロホスファミドあるいはタクロリムスなどの免疫抑制剤を併用します。

このような強力な免疫抑制をしているなかで、さらに生物学的製剤を使用することは感染症のリスクを増やす可能性があり、また、生物学的製剤はしばしば間質性肺炎を悪化させることが知られていて、使用には慎重になるべきです。(平成28年2月/平成29年12月更新)

Q.70今年に入り、朝のこわばりや、浮腫みが出始め、膝が痛くなり病院に行き関節リウマチの疑いありと診断されました。血液検査の結果、抗ccp抗体が2.218.0 、リウマトイド因子(RF)が58、CRPが0.05でした。炎症がないので経過観察との事です。一週間後違う病院を受診し、同じ結果でした。 服薬もしていない状態でいままで過ごしていますが、つねに手と足の指が痛いです。後は肩や、手の甲、足の甲と場所が変わり痛みが出たり治ったりし、全く痛みが無い時もあります。このまま服薬しなくても大丈夫でしょうか?

診察をしていないのではっきりしたことはわかりませんが、手の指などの小さい関節の関節炎の場合にはCRPがあまり上昇しないこともあり、早期の関節リウマチの可能性はあります。関節の超音波検査(エコー検査)やMRI検査をすると炎症がわかることがありますが、検査ができるのは一部の専門医に限られています。

抗CCP抗体やリウマトイド因子(RF)はシェーグレン症候群などの他の疾患でも陽性となりますし、健常者でも喫煙者などで陽性になることがあります。

質問のケースは、CRPが常に陰性であることから、現時点では関節リウマチとは断定できず、関節痛には当面は適宜痛み止め(非ステロイド抗炎症薬)を使って様子をみるのが良いと思います。これまでの医師がリウマチの専門医でなければ一度専門医を受診することをお勧めします。
(平成28年2月/平成29年12月更新)

Q.6919才女性です。最初は左の親指の付け根が痛く、整形外科を受診したところ腱鞘炎と診断されましたが、次第に膝や首、足や足の指、そして朝の指のこわばりが出て、関節リウマチと診断されました。 2週間おきにシムジアを3回注射しましたが効果は不十分で、先週からアクテムラに変更、さらにメトトレキサート6mg/週を服用、今後はメトトレキサートを倍量にする予定です。 朝起きるのも大変で、痛みが全く軽減されず効力が見られるどころかどんどん悪くなっています。今後、どうしたら良いのか悩んでいます。

今回のケースは、先週変更したばかりなので、まずはアクテムラの効果を確認する必要があります。それでも効果が不十分な場合は、他剤に変更となります。また、内服薬の有効性が高いリウマチ治療薬もありますので、治療の選択肢はまだあります。

現在の治療が効果なくむしろ悪化するということは、診断が正しかったかどうか再検討する必要があると思います。もし診断や治療方針についてご心配であれば、他のリウマチの専門医を受診してセカンドオピニオンを受けてみるのもひとつの方j法かと思います。   (平成28年1月/平成29年12月更新)

Q.68関節リウマチと診断され、メトトレキサート10mg/週とフォリアミン1錠/週で治療していましたが、肝機能の異常があり、プログラフ2mg/日に変更されました。メトトレキサーと同じだけの効果があるのでしょうか?

メトトレキサートによる肝障害が出た場合、肝障害の程度によって中止または減量をします。このたびの異常では減量でもよかったかもしれませんが、主治医の判断で中止をされたのは肝障害を重視されたのだと思います。このようなときには、次善の策として、タクロリムス(商品名プログラフ)を使う場合、また、その他の抗リウマチ薬にする場合、メトトレキサートを必要としない生物学的製剤(エンブレル、アクテムラなど)にする場合が考えられます。タクロリムスがどれだけ効果があるかは、使用してみての判断になるでしょう。

時期をみて、メトトレキサートを少量から再開することも、また、併用することもあると思います。

(平成27年10月/平成29年12月更新)

Q.67現在リウマトレックスのみでわりと落ち着いています。 今回別の疾患(他の科)で漢方薬を勧められましたが、飲み合わせが気になります。 漢方にもいろいろありますがリウマトレックスとの飲み合わせについて教えてください。

漢方薬は複数の生薬を混ぜて作られていますので、薬効のある成分が複数ふくまれています。ときどき薬の飲み合わせが問題となることもあります。リウマトレックスのみ服用している状態ならおおむね漢方を併用しても問題にはならないとは思いますが、漢方の専門医に相談して使用するべきでしょう。
漢方の種類もおっしゃるようにいろいろあり、人によっては有効な場合もあるとは思いますが、漢方薬で関節リウマチに効くという科学的エビデンス(証拠)がある薬はひとつもありません。使ってみなければ分からないということです。
(平成27年10月/平成29年12月更新)

Q.662・3年前から手指を酷使すると痛みと共に浮腫みが生じ、鎮痛剤を服用すると症状が軽減する。という状況が続きました。朝の手のこわばりと手指の痛みが鎮痛剤を服用しても治まらず受診したところ、リウマトイド因子124、抗CCP抗体435と高値でした。しかしWBC・血沈は陰性との事で発症前の状態との診断で、リマチル100㎎2T/2×で開始となりました。内服開始後約1週間経過した頃に急な倦怠感と高熱があり「無顆粒球症」の診断でリマチル中止、痛みに関してはロキソニン内服で経過観察の状況になりました。それからは朝のこわばりの時間が長くなり、痛みが強い時は鎮痛剤服用しないと仕事が出来ない状況が続きました。先月2か月ぶりに受診するとリウマトイド因子135、抗CCP抗体760と更に数値が上がっていましたが、相変わらずWBC・血沈は陰性との事で鎮痛剤で経過観察となりました。このまま次回予約日の2か月後まで経過観察でいいのか不安です。因みに採血検査以外の検査は行っていません。

拝見していないので何とも言えませんが、リウマトイド因子や抗CCP抗体が陽性のみで関節リウマチと診断はできません。血沈が「陰性」とは正常ということかと思いますが、そうだとすると少なくとも活動性の高いリウマチではありません。念のため、関節超音波やMRIなどの画像診断を行い、炎症があるか調べてみると良いかもしれません。
関節リウマチで関節の炎症が続くと、その関節の骨や軟骨がダメージを受けるので、早めに他の抗リウマチ薬による治療を始めた方がよいといわれています。しかし、もし痛みの原因が炎症でなければ、今のところ関節リウマチとは診断できないので、鎮痛剤で経過観察してもよいと思われます。リマチルで無顆粒球症という重篤な副作用もあったようですので、抗リウマチ薬の開始は慎重にした方が良いでしょう。リウマチの診断は難しいこともありますので、かかられている先生がリウマチ専門医でなければ、一度専門医を受診されたほうが宜しいかと思います。
(平成27年1月/平成29年10月更新)

Q.65現在、血清反応陰性脊椎関節炎を治療中でメトトレキサートを服薬中ですが改善が見込まれず、医師と相談し、レミケードかヒュミラの使用を検討中です。 違いについてはわかったのですが、どちらがより効果があるのかがわかりません。また、レミケードを使用したとして抗体ができ、効果減弱のためヒュミラに薬を変更しても、その抗体のせいでヒュミラが効かなくなるということはあるのでしょうか(逆も然り)。

強直性脊椎炎などの血清反応陰性脊椎関節炎に対して、慣習的にリウマチと同じような感覚でメトトレキサートを使う医師は多いですが、多くの臨床試験の成績を見ても「有効」という科学的エビデンス(証拠)は全くありません。

一方、腫瘍懐紙因子(TNF)の作用を抑制するレミケードやヒュミラは有効であるというエビデンスが沢山あります。

レミケードは、異種(マウス)蛋白を多く含むため、レミケードを中和する抗生剤抗体ができやすいです。特に、関節リウマチで使用する3mg/kgという少量ではでやすいと言われています。したがって、抗製剤抗体を抑えるため関節リウマチではメトトレキサートと併用することが条件となってます。しかし、血清反応陰性脊椎関節炎ではレミケードは5 mg/kgと多い量を使いますので抗体はできにくく、メトトレキサートを使用しなくても長く有効性を維持できる患者さんが多いようです。

ヒュミラは完全にヒトの蛋白でできていますが、決して自分の蛋白ではないので、異物であることに変わりありません。したがって抗体は一定の確率で出ます。

効果減弱については両薬剤ともありますが、あまり差はないと思います。レミケードに抗体ができた場合は、多くがマウス部分に対する抗体ですので、ヒュミラに変更して有効となることは関節リウマチではよく経験します。逆のケースはほとんど経験がありませんので分かりませんが、ヒュミラが無効となってもレミケードが効く可能性はあると思います。
(平成26年11月/平成29年12月更新)

Q.64関節 リウマチと診断されて4年、関節には所見は無い状態です。現在はメトトレキサート16mg/週とプログラフ1.5mg/日を服用していますが、最近、CRPが1.1に上昇しました。注意している間質性肺炎の指数のKL-6は半年前から1,000前後で推移、CT検査では軽度の間質性肺炎で1年前(KL-6は600)と変化無しの診断です。 医師とは生物学的製剤の導入について十分に話し、アクテムラ、オレンシア、ヒュミラを勧めらその選択に悩んでいます。このような症状での生物学的製剤の選択について一般的なアドバイスをお願いします。

生物学的製剤のうち、どの薬がその患者さんに最も有効か、適切かをあらかじめ予測することはできません。実際に、どれを選択するかについては、まず、ご自身での注射(自己注射)が可能か、可能でなければその薬の投与間隔で通院ができるか、ということがあります。薬剤費もそれぞれで多少の違いがあります。どの薬剤においても感染症に対しては同様に十分が注意が必要です。

間質性肺炎を合併しているということで、メトトレキサートは少し使いにくいと思います。その場合、生物学的製剤単独でも有効性が保たれる可能性が高いのはアクテムラです。他の薬はメトトレキサートを併用したほうが通常は効きがよくなります。これらに加えて主治医の使用経験も選択において大きな要素になるかと思いますので、引き続き主治医とご相談してください。

(平成26年11月/平成29年12月更新)

Q.631年半ほど前に関節リウマチと診断(リウマトイド因子(RF)陽性、抗CCP抗体陰性)されました。診断後ヒュミラとメトトレキサートを服用しました。早期診断、早期治療のおかげでCRPも陰性となったそうです。 そこで、主治医からヒュミラをやめることを勧められましたが本当にヒュミラをやめてよいものでしょうか。もしくはメトトレキサートをやめてヒュミラだけにしたほうがいいのでしょうか。よくわかりません。現在の寛解後の一般的な考えを教えてください。

ヒュミラとメトトレキサートの併用で寛解となったあと、ヒュミラを中止できるかどうか、ということに関して、研究は実際に行われており、中止しても良い状態が維持できる例が一部あることがわかっています。しかし、継続するほうが当然ですが成績がよいこともわかっています。

したがって、経済的問題がある患者さんや、感染症のリスクが高い(高齢者、肺の病気がある、糖尿病を合併している、など)患者さんごとの事情によります。寛解が維持できている期間が長く、やめてもよいかなと希望すれば、やめることができます。仮に再燃しても、再開できることがあります(まれにアレルギーがでたり、再開しても効果が不十分なこともあります)。ヒュミラを残してメトトレキサートを中止する、という選択は、経済的な面と、有効性がややおちることが分かっていますので、一般的ではありません。

しかし、メトトレキサートの長期連用が必ずしも安全ではないことも近年指摘されており(日本ではリンパ腫ないしその前段階のリンパ増殖性疾患が多いこと、高齢になるにつれ骨髄抑制などの副作用がでやすくなることなど)、寛解後にヒュミラ単独で治療するというのも状況によりあり得ます。

いずれにしろ、有効性の維持、長期安全性、経済的側面を考慮して、個別に決めればよいと思います。
(平成26年8月/平成29年12月更新)

Q.6260代男性です。5年前に左手親指関節と手首が痛みメトトレキサートを服用しましたが痛みが改善しないため、翌年メトトレキサートを中止しプレドニン(PSL)を25mg/日服用。その後10mg/日まで減らしましたが、右肩も痛み出し、現在プレドニン6mg/日、メトトレキサート12mg/週、セレコックスとロキソニンを服用しています。リウマトイド因子(RF)と抗CCP抗体は陰性ですがCRPが1.0〜2.4と高く左手首の痛みが続いています。副作用の事を考えるとメトトレキサートや生物学的製剤の投与を続けることが心配です。

60歳代の男性であること、リウマトイド(RF)や抗CCP抗体が陰性であること、副腎皮質ステロイドのプレドニンPSL10mg /日を服用している時でも右肩の痛みがとれないこと、などは通常の関節リウマチとしては典型的ではありません。また、治療経過もPSL 25mg/日が投与される、というのは通常の関節リウマチの治療としては一般的ではありません。リウマチ性多発筋痛症、血管炎など他の病気である可能性もあるので、まずはよく診断をご確認していただくことが重要です。
仮にリウマトイド因子(RF)と抗CCP抗体が陰性の男性の関節リウマチとしても、現在まだCRPが高く、関節痛があるということですので、現在の治療は不十分ということになります。その場合、メトトレキサートは16mg/週まで増量はできますが、効果がなければ、生物学的製剤の併用が最も勧められる治療です。ただ注射製剤を望まない場合は、タクロリムス(商品名プログラフ)、イグラチモド(商品名コルベット、ケアラム)などの内服薬の併用も有効性が期待できます。トファシチニブ(商品名ゼルヤンツ)も内服薬ですが優れた効果があります。
いずれにしろ、まず診断の再確認が最も重要で、関節リウマチの診断で間違いないとなれば、色々な選択肢がありますので主治医の先生とご相談して決めればよいと思います。どの治療もそれなりに副作用を伴いますが、副作用を恐れるばかりでは治療はできません。いずれもきちんとした治験を実施して承認された薬ですので、注意はもちろん必要ですが過度な心配はせずに主治医を信頼すべきだと思います。
(平成26年8月/平成29年12月更新)

Q.61メトトレキサートは、75歳の高齢者には重篤な副作用のリスク大につき、服用制限は何歳迄で、服用OKなら何mg/週までですか? 私はメトトレキサートを2mg/週なのですが、日本での処方は4mg/週が最低と決ってると聞きました。

日本でのメトトレキサートの処方量は以前は少なかったのですが、最近は国際的な動きに従って増量されています。ただし、最低量が決まっているわけではありません。一般的なメトトレキサートの服用に関しては、リウマチ学会ホームページの「メトトレキサートを服用する患者さんへ 第2版 https://www.ryumachi-jp.com/pdf/mtx_2017.pdf」で詳しく説明されていますので、是非、ご覧ください。

用量について6mg/週から開始するのが一般的です。しかし高齢者や腎機能低下を認める患者さんには4mg/週から開始することが多いのですが、4mg/週が最低であると決まっているわけではありません。メトトレキサートを投薬する条件については、具体的な定義はなく、年齢制限もありません。年齢、腎機能や肝機能、体重、併存疾患などを考慮して総合的に判断して主治医が決めます。
(平成26年7月/平成29年12月更新)

Q.60関節リウマチを発症して3年になります。 当初の症状は手指の関節痛で、リウマトイド因子(RF)値90前後でメトレート2㎎を週2錠服用していました。服用後もRF値は上昇を続け、その後メトレートの増量(週6錠)とエンブレルをはじめました。 現在自覚症状はほとんどないのに、RF値が上昇し続けています。このままエンブレルを続けて意味があるのでしょうか。

リウマトイド因子(RF)値は、おおむね関節リウマチの病勢と並行しますが、まったく一致しないこともあります。メトレートを週に6錠(12mg)とエンブレルを使用して関節痛や関節の腫れが良くなっているようですので、多分、炎症反応(赤沈やCRP)も改善していると推察します。したがってエンブレルやメトレートの増量は「有効」だと思いますので、そのまま副作用がない限り継続するのがよいと思います。

RFだけを目印にすると、さらに薬を増やしたりして治療が過剰になる可能性があります。RFの増加は、あまり気にしないで、ご自分の症状(関節の痛みや腫れ)と炎症反応、超音波検査(エコー検査)やMRI検査の所見をむしろ目印として治療を継続すればよいと思います。
(平成26年4月/平成29年12月更新)

Q.59乾癬性関節炎は、完治はしないですか。 またヒュミラを使う予定なんですが一生続けるのですか。

現在の治療では完治することは難しいです。また、治療を中止すると再燃をすることが多いと思います。ただ治療によって落ち着けることができるようになりました。そのなかでヒュミラは乾癬性関節炎にとても有効な薬剤ですので効果は期待してよいと思います。

治療は、副作用がない限り、できれば継続するのが望ましいですが、一生続けなければならない、ということはありません。皮疹もほぼ消えて関節症状もなくなった状態が長く(1年以上)続いたら、経済的負担も大きいので、一旦中止してみるのは自由です。

関節リウマチはメトトレキサートを併用してる場合、ヒュミラを中止しても再燃しないで順調に経過することもあるといわれていますが、乾癬性関節炎では不明です。しかし中止後に再燃したら、再開すればよくなると思います。 (平成26年4月/平成29年12月更新)

Q.58関節リウマチと診断されてから7年経ちます。診断後すぐにリウマトレックスを処方され4mgから16mgと増量されましたが、特に副作用もありませんでした。また早い時期から生物学的製剤も併用しており、レミケードからアクテムラに変えてからはリウマトレックスを徐々に減薬しております(約3か月前より)。現在は8mgに減らしているのですが、ここ数日手首に軽い痛みを感じるようになってきました。これは減薬のせいなのか、時季や使いすぎのせいなのか判断しかねております。次の診察日まで2か月弱あるので、もう少し様子をみて改善されなければリウマトレックスを少し増やしてみたほうが良いでしょうか?

もし、使い過ぎたり、重いものを持ったりして手首に負担をかけたことがはっきりしていれば、まずは手首に負担をかけないようにして様子をみてもよいと思います。そうした状況がなく痛みが持続するようになったのであれば、リウマトレックスを減らしたことで関節リウマチが悪化してきた可能性はあります。関節リウマチの悪化は、診察所見や検査所見も含めて総合的に判断されるものですので、ご自分で勝手にリウマトレックスを増量をしないで主治医に相談した方がよいと思います。

Q.57レミケードを6回行った後に、アクテムラ点滴1回、皮下注射を6回ほど打っています。CRP0.5、MMP100程度にまでなりましたが、肩やあちこちの関節がズキッと走るような痛みやうずくような痛み、そして骨が軋むような痛みがあります。特に両肩の痛みはひどく、物をつかむこともできません。先生はアクテムラ注射の効果がでているとおっしゃっていますが、このまま肩の骨が破壊されるのではと心配しています。リウマトレックス2㎎週2錠、フォリアミン1錠を飲んでいます。

アクテムラの治療中は、たとえ関節リウマチの活動性が残っていても、見かけ上CRPなどの検査が正常になることもあります。そのため、関節リウマチの活動性(病勢)の指標として総合的指標(DAS28, CDAI, SDAIなど)で評価・判断されます。まだ、関節の運動痛がかなり強く残っているようであり、関節リウマチの活動性(病勢)がコントロールできていない可能性があります。肝機能の問題がなければ、リウマトレックスを可能な範囲で増量が必要です。これで活動性をコントロールできなければ、アクテムラから他の生物学的製剤のオレンシア、あるいは経口薬であるゼルヤンツなどへの変更も一つの方法かも知れません。一方、担当医の評価のごとく、関節リウマチがコントロールされているにも関わらず、あちこちの関節などが痛む場合は、肩関節周囲炎や線維筋痛症といった別の疾患を考慮する必要があります。線維筋痛症については、このリウマチ情報センターホームページから、病気の解説を参照して下さい。 (平成26年1月)

Q.56母(83歳)は極めて重篤なリウマチ患者で、現在車いす生活を送っています。手は変形し、首などの痛みが激しい毎日です。そのような患者に、生物学的製剤治療は有効でしょうか。痛みだけでも和らげ、残りの人生を少しでも楽しく過ごしてもらいたいのですが。

高齢の方への生物学的製剤の使用は、感染症などのリスクが高いです。関節リウマチが現在も強い炎症を伴い、そのために痛いのであるならば効果は期待できますが、すでに多くの関節を破壊してしまったあとでは、生物学的製剤の効果もあまり期待できません。

しかしそうしたことがあっても、辛くて痛い日々を送っているのであれば、一度リウマチの専門医に相談され、炎症が未だ強いのであればその分を解消する可能性は残っています。

また生物学的製剤でなくても、ある程度の鎮痛効果は他の薬剤の適切な使用によっても改善する可能性はあると思います。 (平成25年12月/平成29年12月更新)

Q.55関節リウマチになって約2年になります。メトトレキサートを服用すると、肝臓値が高くなるので、週4㎎と生物学的製剤を使っています。 当初はエンブレル50㎎でしたが、昨年12月に痛みが強くなり、今年の2月よりレミケードを開始しました。レミケード投与の4回目から体重1㎏に対して、6㎎に増加しましたが、体調が思わしくありません。手足の腫れ・足首・膝・肘の腫れ、機能障害で物に触れるだけでも、激痛が走ります。 医師は、倍に増やしたので様子を見る態勢ですが、2か月の注射が1か月も持ちません。動けない状態なので、不安でたまりません。

メトトレキサートで肝障害があるため増量できない場合、もしフォリアミン(葉酸)の併用が行われていないなら、フォリアミンの併用で肝障害を悪化させることなく、メトトレキサートを増量できることもあります。

また、生物学的製剤としてエンブレルの効果がなくなり、レミケードへの変更後も、レミケード増量(6mg/体重Kg)でも効果ない状況である場合には、レミケードを8週間毎でなく、4週間毎の投与か、あるいはさらにレミケード増量(10mg/体重Kg)することも一つですが、むしろ薬剤作用部位のまったく異なる生物学的製剤への切り替え(アクテムラ、あるいはオレンシア)を選択したほうがよいかもしれません。さらに、生物学的製剤と同等、あるいは生物学的製剤無効例にも効果がみられる経口抗リウマチ薬であるゼルヤンツも一つの選択肢かもしれません。担当医と相談され、さらに関節リウマチがコントロールされることを期待します。  (平成25年10月)

Q.54私はリウマチ性多発筋痛症の疑いがあるということで、現在、血液検査の結果待ちです。リウマチ性多発筋痛症の治療法をネットで調べると、ステロイドでは完治しないどころか、悪化させるだけと記載してある記事を読みました。

リウマチ性多発筋痛症に対する治療の原則は少量の副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン換算で10〜15 mg/日)を使用します。副腎皮質ステロイドのリウマチ性多発筋痛症に対する有効性は確立しており、読まれたような記事はないと一般的にいえます。いずれにせよリウマチの専門医に相談し、治療を受けられることをお勧めします。   

(平成25年10月)

Q.53祖母(87歳)が間質性肺炎と関節リウマチを患っています。最近では特に手足のリウマチの痛みがひどいらしく、歩行が困難になっており生活に支障をきたしています。良い治療法はありますでしょうか?

現在、メトトレキサートや生物学的製剤といった有効性が高い治療薬がありますが、これらの薬剤はご高齢の患者さん、間質性肺炎がある患者さんで使うと肺炎などの副作用の危険性が高くなることが知られております。炎症が強い場合は高齢者でも止むを得ずオレンシアやエンブレルなどの生物学的製剤を単独で治療して症状の改善が得られることもあります。ただし、リウマチが悪くなっているためではなくて、壊れてしまった関節が痛いということもあり、この場合には抗リウマチ薬では痛みを抑えることができません。その場合は薬だけでなく手術やリハビリを含めた整形外科的な対処が必要になります。リウマチの専門医にご相談されたら良いかと思います。

(平成25年7月/平成29年10月更新)

Q.52リウマトレックスを数か月内服して効果をみることをせずに、リウマトレックスを内服してすぐにレミケードを使用することはあるのでしょうか?

レミケードの添付文書には「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」というのが適応となっていますので、原則はリウマトレックスの治療効果を見極めて、「効果不十分」と判断してから使用するのが正しい使い方です。しかし、海外での臨床試験などから非常に活動性の高い(病気の勢いの強い)リウマチと診断した場合、すぐにレミケードとリウマトレックスを併用で使用するのは、医学的には有効であり妥当です。実際、レミケードと同類の製剤(抗TNFアルファ抗体)であるヒュミラという薬は、日本での治験の成績をうけて、2012年8月に添付文書で「既存治療で効果不十分な場合」という文言が削除となり、正式にリウマチの診断後はじめから使用できるようになりました。とは言っても、すべてのリウマチ患者にこのような治療を行うことはなく、関節症状が強く活動性が高い、すでに骨びらん(骨の破壊像)がある、リウマトイド因子が高い、炎症反応が強い、などの特徴があるような患者様に使用します。したがって、現実はヒュミラでもまずはリウマトレックスのような抗リウマチ薬を3ヶ月くらいしっかり使用して、効果が不十分であることを確認してから使用するのが一般的です。 (平成25年7月)

Q.51平成24年4月に関節リウマチと診断され、現在リウマトレックス12mg/週、プログラフ3mg/日、プレドニゾロン5mg/日等服用中で、今後プレドニゾロンをもう少し減量していく予定です。しかし、左手首の痛みがなかなかとれません。検査値はCRP0.07、リウマトイド因子29と順調に下がってきているので、少々の痛みはがまんして(頓服的にロキソニン等で対処して)、このままの状態でいったらいいのでしょうか。個人的には、プログラフなしにしてリウマトレックスを16mg/週まで増やしてみたいのですが、主治医はリウマトレックス増量と生物学的製剤には消極的で、病院も生物学的製剤は扱っていません。

年齢や発病からの期間を考えても、臨床的寛解といわれる状態を治療の目標として、治療薬を検討していくことが望まれます。目安として、現在、腫れている関節がなく、レントゲンで関節リウマチの進行がないようでしたら、このままの治療で様子をみてもよいかもしれません。プレドニゾロンは、今後なるべく減量したほうがよいのですが、それによりもし関節症状が悪くなるようでしたら、生物学的製剤の開始を主治医に相談されてください。場合によっては使用可能な施設を紹介してもらうことが必要かもしれません。リウマトレックスは副作用がなけれは増量が可能ですが、どこまで増やすかはその時の状況や医師により異なっているのが現状です。 (平成24年12月)

Q.50関節リウマチと診断されたのは3年前で、リマチルでよく効いていたのが、昨年春ころから効かなくなり、昨年の12月からリウマトレックスを少しずつ増やし、いまは週8錠になりました。しかし、痛みがひどくなりました。数値も悪くなっています。 次の診断のときに腫れがおさまらなかったら、リウマトレックスはそのまま飲み続けて、さらに違う薬を増やすそうですが、たくさん薬を飲むのは不安です。

関節リウマチの治療をしていて、はじめは効いていたのにだんだん効果がなくなることがあります。

リウマトレックスを週8錠に増量しても効果がないのであれば、生物学的製剤を使用すべき状態と思います。高価ではありますが、効き目は全く違いますし、また落ち着いたら中止することもできます。(平成24年8月/平成29年12月更新)

Q.49リウマチ性多発筋痛症と診断されました。治療日数はどのくらいかかり、どういう経過をたどっていくのでしょうか?また、生活するうえで注意することなどありましたら教えてください。

リウマチ性多発筋痛症の治療には副腎皮質ステロイドが用いられます。比較的少ない量の副腎皮質ステロイドでもよく効きます。副腎皮質ステロイドは症状や血液検査の炎症反応が落ち着いたら徐々に減量していきます。しかし、減量中に症状の再燃がみられ、副腎皮質ステロイドを再度増やさなければならないことがしばしばあります。

したがって減量は少しずつ数週間毎に行われ、通常は1-2年以上の治療が必要になります。また、副腎皮質ステロイドにより、高血圧や高脂血症、糖尿病がみられるようになったり悪化したりすることがあり、注意が必要です。

その他、重要な副作用として骨粗鬆症があり、あらかじめ骨粗鬆症の治療薬を併用することが勧められています。普段からカルシウムが多い食事を心がけましょう。  (平成24年2月/平成29年12月更新)

Q.48関節リウマチ治療を開始して半年です。現在、メトトレキサート(リウマトレックス)6錠(12㎎)を服用しています。CRPは0.1〜0.2です。治療開始4か月目に右手小指の関節が変形し、現在は右手薬指に同じ症状があり、このままでは数か月後に変形するものと思われます。ほかの症状は足の指の付け根の関節と手首が痛みます。先日、主治医から生物学的製剤をはじめるなら自分の判断で申し出るようにと言われましたが、自分では決めかねています。血液検査の結果ではまだやるほどではないが痛みの症状の訴えから判断すると希望があれば開始するとのことでした。現在、薬の副作用はありません。生物学的製剤を開始する判断基準はあるのでしょうか。高額な薬代や副作用、開始したら投薬を簡単には中止できないことなどから自分から生物学的製剤の使用を希望するとは判断できません。ご助言をお願いします。

医師が治療方針を変更するための基準として、専門的ですが「疾患活動性=リウマチの病気の勢い」を示す指標があります。DAS28という指標が一般的ですが、複雑ですので、最近はSDAIという基準が使われはじめています。つまり、痛い関節の数+腫れている関節の数+血液のCRPの値+患者さん自身の病状の評価(10点満点;10点が最悪、0点が全く正常)+医師からみた患者さんの病状(10点満点)を合計したものが使われます。目安は11点以上あれば現在の治療が不十分と考えます。リウマトレックスが12mgで「不十分」となった場合、①16mg(8錠)まで増やす、②生物学的製剤を併用する、③他の抗リウマチ薬(プログラフ、リマチルなど)を追加併用する、などの選択肢があります。ご相談のケースは痛い関節があるものの、CRPは陰性であり、治療としてはほぼ成功していると考えます。あとは症状の程度、レントゲンでの骨破壊の進行の有無、MMP-3の値、加えて経済的側面などを考慮して、現在の治療を継続するか、さらなる強化療法を行うかを選ぶことになります。主治医と患者さんとの合意が最も重要だと思います。
(平成24年2月)

Q.47現在、関節リウマチで治療中でメトトレキサート4mg/週のみで痛みは取れていません。主に手と足の指と手首が痛いです。(CRP0.1以下、白血球7,000〜10,000、赤血球400〜420万,抗CCP抗体100以上)痛いかどうかは先生が決めるとの事で痛み止めは他医院で処方してもらってます。感染症もよく罹る気がします(帯状疱疹や膀胱炎、リンパ節炎)。こちらも他医院で薬の処方はしてもらってます。主治医にも伝えますが、副作用ではないとおっしゃいます。このまま、現在の先生のもとで治療を続けるべきでしょうか?

血液検査からメトトレキサートはよく効いていると思います。ただし、帯状疱疹・膀胱炎・リンパ節炎はメトトレキサートの副作用として誘発されることもあり、また血液検査が正常でも関節痛の出ることもままならずあります。副作用と効果について再度、主治医の先生と納得いくまでよく相談されるべきではないでしょうか?そのうえで医師と患者の信頼関係が築けないのであればあなたが信頼できるリウマチの専門医にセカンドオピニオンでもいいので受診されてはいかがでしょうか?  (平成24年1月)

Q.46メトレート(メトトレキサート)6㎎/週と葉酸を服用していますが数値が上がりさらに2㎎/週追加で服用。しかしCRP0.61、リウマトイド因子定量42まで上がるが、肝臓の数値も上がっているためこれ以上メトレート(メトトレキサート)を増やせない状態で、医師から生物学的製剤ヒュミラを勧められました。本に副作用は悪性腫瘍、リンパ腫と書いてありました。現在朝のこわばりや突っ張りがありますがそれよりもメトレート(メトトレキサート)の副作用か疲れやすく頭も痛く体がだるい方が苦痛な状態。一般的にどれくらいの状態数値で生物学的製剤をやるべきなのか?生物学意的製剤をやり更に他に苦痛がおこらないか判断に苦しんでいます。

メトレート 8 mg/週で関節リウマチのコントロールが十分でない状態と推察させます。メトレートとしてはもっと増やせる量ですが、肝機能データに異常が出ているとなるとそれ以上には使いにくいですね。一般的にメトトレキサートを使用してもなお活動性の高い関節リウマチ患者さんにはヒュミラなどのTNF阻害薬を速やかに導入します。副作用として悪性腫瘍の増加を心配されておられますが、すごく増えるわけではありません。生物学的製剤を使っても他のリウマチの患者さんと比べて相対リスクは変わらないとか、むしろコントロールが出来ていない関節リウマチの方が悪性リンパ腫が増えるなどの報告もあり、これについては専門医の間でも意見が分かれています。主治医の先生と良く相談されることをお勧めします。
(平成23年11月)

Q.4520年間アザルフィジンを飲んでいましたが、手首の可動範囲が狭まり、足の指も変形し痛みもあったので(この時CRP1)リウマトレックスに変更しました。しかし、3か月後間質性肺炎になり投薬を中止。現在アザルフィジン、リマチル、プレドニンを飲んでいますが、CRP3.58となり、生物学的製剤を勧められています。副作用(肺炎)が心配で決断できずにいます。副作用について教えてください。(一度肺炎を起こしているので心配です)今後どのようにしていったらよろしいでしょうか。

肺炎は関節リウマチの治療を行っていれば常に問題となります。肺炎には大きく分けて、感染症(病原菌によるもの)と薬剤によるものがあります。現在の治療(アザルフィジン+リマチル+プレドニン)でも、薬剤性の心配はほとんどありませんが、感染症は十分あり得ます。リウマトレックスは薬剤性肺炎の頻度が0.5%程度(200人に1人)程度で、他の薬剤より高いです。今回経験された肺炎が感染症か、薬剤性かわかりませんが、薬剤性ということならリウマトレックスは使えません。したがって、現在の治療でリウマチのコントロールが悪ければ生物学的製剤が有効性の面から勧められます。生物学的製剤は感染症による肺炎(肺炎球菌や結核、ニューモシスチスというカビの一種によるものなど)が、あわせると2%(50人に1人)位の割合で起きるとされていますが、薬剤性の肺炎はほとんどありません。感染症に対する予防や、診断後にすぐに治療する体制が整っている施設で行うなら、むしろ安全な治療とも言えます。関節変形が進行し、CRPが高いなど、関節リウマチの状態が悪いようですので、生物学的製剤の使用をご検討していただくのがよいと思われます。 (平成23年11月)

Q.44関節リウマチ発症から約5年、最近手首の痛みが強くなり、現在リウマトイド因子RFが48、CRPが0.37です。服用薬はリマチルとナボールです。 本によると、関節リウマチと診断されたら最初からメトトレキサートなどの効果の高い薬を積極的に使用する治療が多いとありますが、現在通院している病院では、穏やかな薬(リマチル)から徐々に効き目の高い薬に替えていく治療方針です。痛みと関節破壊が心配ですが、このままで良いのでしょうか?

質問者がおっしゃるように最近の関節リウマチ治療の方針は早期から世界標準薬であるメトトレキサート(MTX)を使用することが基本であり、3か月ごとに治療効果の評価を行い、治療効果不十分なら、生物学的製剤を含めた強力な治療を行い、関節の不可逆的破壊を防止しすることです。メトトレキサートや生物学的製剤の使用にあたっては日本リウマチ学会の診療ガイドラインに沿って、適応と有害事象のモニタリングが必要です。
質問者の関節リウマチはまだ活動性が持続しており、十分にコントロールされているとはいいがいたようです。したがって、リウマチの専門医、日本リウマチ財団登録医などにセカンドオピニオンを求め、今後の治療の方針、受診医療機関を含めご相談されるとよいでしょう。 (平成23年11月/平成29年12月更新)

Q.43レミケード点滴を行い効果もありましたが、5回目より点滴中にアナフィラキシーショックのような状態になってしまい中止となりました。 これは抗体ができたという事ですか?他の生物学的製剤は使用できないのでしょうか?

レミケードでアナフィラキシーショックになったとのことですが、これは多くの場合、レミケードに対するアレルギー(薬剤に対する抗体が作られたために起こる反応)と思われます。したがってレミケードは使用できませんが、他の生物学的製剤は使用できる可能性は十分にあります。ただし、生物学的製剤の共通部分に対するアレルギーである可能性もありますので、はじめの数回は慎重に投与していただければよいと思います。

事前にどの生物学的製剤が効くかは、残念ですが予想はできません。関節リウマチの症状がよくないということなら他の生物学的製剤への変更はよい方法だと思いますので、まず考えてみるのがよいと思います。主治医とご相談ください。 

(平成23年11月/平成29年12月更新)

Q.42昨年2月から右手指、手首、両肩が痛くなり、4月に関節リウマチ(抗CCP抗体100以上)とシェーグレン症候群の診断を受け、リウマトレックス8mg/週とセレコックス400mg/日の治療を受けていました。既往症として、慢性胃炎(タケプロン300m/日)慢性肝炎(HBS抗原あり、抗体なし、20歳から3年ほど服用しましたが30歳位からは風邪などひくと肝機能の数字は少し高くなりますが、薬を飲むことなく安静にしてると正常値になります)。今年3月位から両足にも症状が出始めリウマトレックス10mg/週,7月より12mg/週になりCRPは0.1mg/dlです。主治医は、肝臓のことを考えると今後も生物学的製剤を使う予定はないとの判断です。

B型肝炎の抗原が陽性ということですのでいわゆるウイルスのキャリアー(保菌者)ということになります。生物学的製剤はB型肝炎のキャリアーには原則禁忌(投与してはならない)となっています。リウマトレックスも含めた免疫抑制療法でも、「極力避ける」となっています。しかし、関節リウマチが悪くて、他の薬剤でコントロールできない場合、やむを得ず投与しなければならないことがあります。その場合、主治医と患者さん、さらには肝臓の専門医とも相談の上で、慎重に血液検査でウイルスのDNA(遺伝子)を調べながら、肝炎ウイルスに対する薬剤(核酸アナログ製剤)を併用して、生物学的製剤や免疫抑制薬による治療することはできます。ただ、ご相談のケースでは、リウマトレックス(メトトレキサート)12mg/週でCRPが0.1と低下しているとのことですので、現在の治療を継続していればよいと思います。現状では、劇症肝炎のリスクをおかして、あえて生物学的製剤を併用することはないと思います。 (平成23年11月)

Q.41関節リウマチ発病後1年となりました。治療はメトトレキサートを8m/週・葉酸5m/週とロキソニンテープを痛みが増した部分に貼っています。 血液検査でメトトレキサートによる副作用の発生などの異常はありませんが、現在の状態が続く限り、メトトレキサートを今後(たとえば数年)続けることが必要なのでしょうか、 また、メトトレキサートの長期間の服用は問題はないのでしょうか。

有効であるメトトレキサートを継続する方針は適切であると考えます。長期間の服用に関しては、定期的な検査を行っているようなので、現在、特に問題はないと思われます。症状が落ち着くと、今度は副作用を考えて減量や中止を考える患者さんは少なくありません。もちろん少ないほど副作用が減るのも事実ですが、メトトレキサートの治療で落ち着いているのであって、このような寛解状態(リウマチが安定した状態)を続けるためには数年を越えて同じ治療を進めるのが現在の治療の原則です。

メトトレキサートの長期間服用にも問題がないわけではありません。しかし継続したときの副作用と中止にしたときの症状が悪くなる問題を比較して考えなければなりません。(T2Tの項をお読みください)。主治医にもご相談されることをお勧めします。(平成23年11月/平成30年10月更新/平成29年12月更新)

Q.40リウマチ性多発筋痛症と診断され、プレドニゾロン10mg/日を服用し始めました。だんだんCRP値も減少して、朝プレドニゾロン2mg/日までになりましたが、まだ朝の服用前と、夜に少し痛みがあります。この病気は治るものでしょうか?セカンドオピニオンを受けてみたいと思いますが、専門の先生はどのように探せばよいでしょうか?

リウマチ性多発筋痛症は比較的高齢者に発病するリウマチ性疾患であり、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドによく反応し、基本的には治るものですが、日本人の場合は、副腎皮質ステロイドの減量が早いと再燃することがあるとされています。また、当初リウマチ性多発筋痛症で発病した後、経過中に関節リウマチを発病することや、年齢的からも内臓の腫瘍が隠れていることが時にあります。
治療は、副腎皮質ステロイドが中心ですが、副腎皮質ステロイドで反応が不十分である場合や減量で再発傾向がある、また関節症状が持続する場合はサラゾスルファピリジン(商品名アザルフィジンEN)やメトトレキサートなど関節リウマチの治療薬を併用することがあります。
リウマチ性多発筋痛症はリウマチ性疾患ですので、セカンドオピニオンを希望される場合は、日本リウマチ財団あるいは日本リウマチ学会のホームページ等からリウマチの専門医を探されるとよいでしょう。 (平成23年9月/平成29年12月更新)

Q.39現在リウマチの治療を始めて10か月です。担当医は内科の先生です。 関節の破損の程度が知りたいのですが 整形外科にもかかるべきでしょうか。 いまかかっている病院にはリウマチ専門の整形外科はありません。

リウマチの専門医は内科にもおり、関節病変が進んでいるかどうかはレントゲンを撮ることにより判断が可能です。いま、かかられている先生が専門医かどうかわかりませんが、現在のリウマチの状態や今後の治療について一度聞いてみられてはいかがでしょうか。新しい治療薬の選択肢もありますので、関節の腫れや痛みが続くようでしたら、整形外科・内科を問わず、リウマチの専門医にかかられることをお勧めします。 (平成23年8月/平成29年12月更新)

Q.3860歳の母が昨年の暮れに関節リウマチと診断され、リウマトレックスとプレドニゾロンで痛みを緩和しながら治療をしていましたが、6月に胆のう癌が見つかり手術をして、ジェムザールという抗がん剤による補助療法を開始しました。ジェムザールとリウマトレックスを合わせて飲むとガンが大きくなるので、ガン治療を優先するならリウマトレックスは飲めない。しかしプレドニゾロンだけではCRPが上がってしまい、リウマチの医師からアザルフィジンEN錠を処方されました。これなら一緒に飲んでも大丈夫ということですが、同じ抗リウマチ薬なのに、本当に問題は無いのでしょうか?

関節リウマチの治療中に胆のう癌が合併し、術後抗がん剤(化学療法薬)による治療が必要とのことですが、目下のところ胆のう癌の治療が優先される状況です。リウマトレックスも、もともとは抗がん剤に属する薬物で長期間使用による免疫能の抑制により、がん細胞の増殖を促進する懸念はないわけでないでしょうが、むしろ抗がん剤との併用により骨髄抑制(血液細胞が骨髄で作れない状況で、赤血球、白血球や血小板が減少します)が増強されることが問題ではないでしょうか。とにかくリウマトレックスによる治療は中止せざるを得ません。担当医から勧めれているアザルフィジンンEN錠の使用は妥当なことですが、まれに骨髄抑制が起こる可能性は否定できませんので、定期的血液検査のモニターをしながら使用すれば早期に対応できます。また、幸いに胆のう癌の治療がうまく行って、5年間再発がなければリウマトレックスを含めた抗リウマチ薬が積極的に使用できる可能性があります。それまでは副腎皮質ステロイドと比較的がんとの関連で心配のない抗リウマチ薬でコントロールを行います。 (平成23年8月)

Q.37関節注射(キロカイン、ケナコルトA、スベニールディスポ)は「ステロイドの注射」とは異なるものですか。この効果についてはどのように考えられていますか。

ケナコルトAは副腎皮質ステロイドのことです。スべニールはヒアルロン酸注射のことです。キシロカインは局所麻酔薬です。注射をするときに患者さんの痛みを緩和させるために使われることがありますが使う先生と使わない先生がいらっしゃいます。副腎皮質ステロイド、ヒアルロン酸はその効果についてエビデンスが証明されています。但し、副腎皮質ステロイドに関しては頻回に注射すると関節を破壊してしまうこともあるので使用については主治医の先生とご相談ください。いずれにしても副腎皮質ステロイドやヒアルロン酸注射は関節リウマチの治療においてはよく用いられる方法で効果も認められています。 (平成23年8月)

Q.36レミケードの点滴とリウマトレックスの併用でCRPが、劇的に下がり0.02〜0.05等の値で推移していましたが 4月CRP0.34 6月CRP0.59と上がり ほとんどなかった痛みも出てきました。レミケードが効かなくなってきたのでしょうか?

レミケードはマウスの蛋白が含まれますので、これに対する「抗体(微生物など外的を排除する時に作られる蛋白質)」ができてしまい、アレルギー反応がおきたり、効果がなくなってしまうことがあります。他の製剤でも多少はありますが、レミケードではしばしば認められることです。質問のケースも、このような理由で効果がなくなってきたものと推察されます。有害なアレルギー反応があれば、レミケードを中止して他の製剤に変更するしかありませんが、そのようなことがなければ、まずはレミケードの増量か投与期間の短縮を試みてはどうでしょうか?

次の治療直前の血液中レミケード濃度を測定できるようになりましたので、一度測定してもらって直前のレミケード濃度が低い場合は、いままでも有効だったので、倍量程度の増量や期間を8週ごとから6週、さらには4週毎まで短縮することは可能ですし、効果もある程度期待できます。またリウマトレックスの投与量が16mg/週まで増やせるようになっており、したがって現在飲まれているリウマトレックスの量が少なければ、これを増量することも考えられます。

もうひとつは、生物学的製剤の変更です。この場合、レミケードが有効だったということは腫瘍懐死因子(TNF)という物質を阻害する治療が有効であることを意味しますので、同じようにTNFを阻害すほかの生物学的製剤(エンブレル、ヒュミラ、シンポニー、シムジア)への変更も有効性が期待できます。またTNF以外に作用するアクテムラやオレンシアという生物学的製剤も有効性は期待できます。いずれにしろ、効果が落ちてきた薬をそのまま漠然jと使用するのは好ましくありませんので、上記のいずれかに治療変更をしてもらうのがよろしいでしょう。どの薬に変更するかは主治医の先生とよくご相談ください。
(平成23年8月/平成29年12月更新)

Q.35関節リウマチと診断されて、3か月で急激に進んでいます。症状の経過により、医師から生物学的製剤を勧められました。生物学的製剤を使用し、長期間治療していると効かなくなってしまうことはないでしょうか。その際に、ほかに使える薬がないのではと心配しています。

3か月で急激に進行しているということは関節リウマチの活動性(病気の勢い)がとても高い状態と察します。これは、生物学的製剤が最もよい状態です。

生物学的製剤も、長期間使用すれば効果が徐々に低下する場合があります(特にレミケードではその頻度が高いとされています)。将来のことをわずらうより、まず現在の活動性を低下させることが大切です。

仮にそうなってもほかにもたくさんの薬があり、また新薬も開発中で、将来治療薬がなくなることはないと思います。それより、いましっかり治療をしておかないと関節破壊・変形が進行し、身体機能の障害が残ると元にもどれない状態になってしまいます。

早く、生物学的製剤の使用を含めた積極的な治療を受けられることを強くお勧めします。
(平成23年7月/平成29年12月更新)

Q.34発症して2年経ちます。メトトレキサートでだいぶ症状が和らぎ、今は関節リウマチであることも忘れられるくらいになりました。しかし定期検査でレントゲンをとり、主治医からわずかに骨破壊の進行がみられるので生物学的製剤投与を検討するようにすすめられました。以前に症状は軽い方だと言われたのもあり、副作用や治療費を考えると気がすすみませんが、将来のことを考えると生物学的製剤を使用するべきなのでしょうか。

主治医が言われるように、メトトレキサートで一見よくなったようでも骨破壊が進行する、ということがあります。その場合、生物学的製剤の併用によって骨破壊の進展を抑制し、将来の関節機能障害を防止できる可能性があります。ただし、経済的負担に加え、新たに薬剤を追加することはそれによる副作用のリスクも増加します。したがって、骨破壊が大きく進んでいるなら生物学的製剤を併用した方がよいと思います。

一方わずかな進行であり、現在関節リウマチを忘れるくらい良い状況にあるならば、あえて生物学的製剤を使用しないという選択もあります。
(平成23年7月)

Q.33肺炎球菌ワクチンはメトトレキサートなど免疫抑制剤を使用している場合、免疫効果が期待できないため禁忌であり、治療開始前が接種対象推奨ということでした。免疫抑制剤使用中の患者が肺炎球菌に感染するとリスクが高く、重篤になりやすいと書いてありました。 今後このワクチンは接種できないのでしょうか。またインフルエンザワクチンは接種可能なのでしょうか。

肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンは、不活性化ワクチンといわれ、感染力がないため投与することが出来ます。関節リウマチでいちばん注意すべき感染症は肺炎で、最も頻繁に原因となるのが肺炎球菌です。高齢者ほどかかりやすくなるので、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は積極的に受けましょう。

また、インフルエンザワクチンも毎年、家族を含めて積極的に受けましょう。メトトレキサートや生物学的製剤を使用していてもインフルエンザワクチンの効果があり、副作用も健常者と差はありません。卵アレルギーなどの禁忌事項がない限り、予防接種は行ったほうがよいと考えます。

一方、はしか、風疹、BCGなどのワクチンは、生ワクチンといわれ、ウィルスや細菌の毒性や感染力を弱めてつくっているので感染してしまう可能性があり、メトトレキサートや生物学的製剤使用中には受け取ることはできません。

(平成23年6月/平成29年12月更新)

Q.32現在関節リウマチの初期症状で治療をはじめて半年です。メトレート錠8mg/週を飲んでいるのですが、どんどん症状が悪化しているように思います。主治医に伝えているのですが今のまま続けましょうとのこと。 日常生活にかなり影響が出てきました。このままの治療でよいのでしょうか?

主治医と治療方針について話が合わないようですね。
もしメトレートを8mg(1週間に4錠)以上服用されていても症状が悪化しているということであれば、第一にリウマチの活動性が高く(病気の勢いが強く)、現在のメトレートが効果不十分と考えられます。そのほかとしては、変形性関節症や筋肉痛などの関節リウマチ以外の要因による痛みの可能性も考える必要があります。主治医の判断がどうなのか確認する必要があります。
もし関節の腫れがあり、血液検査で炎症反応(CRPや赤沈)やMMP-3という検査が高い値であれば、関節リウマチの活動性が高いためと思われます。そのような場合、①メトレートの増量(週に8錠まで使えます)、②生物学的製剤(レミケード、エンブレル、ヒュミラ、アクテムラ、オレンシア、シンポニー、シムジア等)の併用、③ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤(ゼルヤンツ、オルミエント)の併用、④ほかの抗リウマチ薬の追加、などの方法があります。活動性の高い状態を放置すれば骨破壊が起こり、関節の変形につながりますので、しっかり炎症を抑える必要があります。
最も有効性が期待される手段は②もしくは③ですが、高価であること、感染症などの副作用に注意が必要です。①は、とりあえずすぐに対応できる手段です。④は②、③に比べると金額的には安く済みますが、効果は弱いです。
まずはいまの状態が関節リウマチによるものかどうか主治医とよく相談され、検査結果も踏まえて、治療方針の変更を検討してもらうのがよいと思います。
(平成23年5月/平成29年12月更新)

Q.31母は現在61歳。4年ほど前に関節リウマチと診断され治療を行なっています。右膝に人工関節が入っており、そのリハビリをしている矢先、一昨年夏に悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、ステージⅣA)が分かり入院、治療を行いました。他に心臓病、糖尿病などの既往歴があります。半年の入院で体が弱り、右膝の痛み、足のしびれがひどくなり、手を貸さないと歩けない感じです。がん治療は関節リウマチを悪化させるのでしょうか?

関節リウマチの治療薬の中心であるメトトレキサートは抗がん剤の一種です。このことから分かるように、むしろ抗がん剤によってリウマチの症状は改善することが多いと思われます。したがってがん治療が関節リウマチを悪化させたわけではなく、今回の入院治療後の症状の悪化は、長期の入院とベットでの生活が筋力と体力の低下をまねいたのではないでしょうか?足のしびれに関しては腰の疾病の合併、薬剤性によるもの、糖尿病の合併症によるものなど様々な要因が考えられますので主治医の先生とご相談ください。

Q.30妻が関節リウマチと診断されて2年近くなります。手が段々太くなり、本人もなげやりの気持になっています。これから先、どの様に話し合えばよろしいでしょうか?

まずどのような医師に診ていただいているのでしょうか?ゆっくり話や悩みをきいてくださる医師でしょうか。またお話をしてもあまりとりあってくれないのでしょうか。リウマチの医療はこの10年間でそれ以前とは大きく変わり、だんだん悪くなるのをただ薬だけ出して黙って見ている病気ではなくなっています。手の変化についてもどのような変化なのががわかりませんのでお答えできませんが、機能を失ってしまうような変化については積極的に取り組む必要があります。

現在の医師にご意見がないのでしたら、別の専門医(日本リウマチ財団登録医等)に診ていただくことをお勧めします。またうつ症状が重なっていることもしばしばありますので、そのような場合は精神科医のコンサルテーションが必要なこともお考えになられた方がよいかと思います。(/平成29年12月更新)

Q.29プラセンタ注射は、関節リウマチを含めた膠原病や他の自己免疫疾患に対してもその効果は不明ですし、科学的根拠(エビデンス)もありません。

プラセンタ注射は、関節リウマチを含めた膠原病や他の自己免疫疾患に対してもその効果は不明ですし、科学的根拠(エビデンス)もありません。

Q.28レミケードとエンブレルについて、良い点と悪い点を教えてください。

レミケード、エンブレルはともにTNF(腫瘍壊死因子)と呼ばれる関節リウマチを悪化させるサイトカイン(糖蛋白)を阻害することで関節リウマチを治癒の方向に導く薬剤です。どちらもTNFを阻害する働きがあることから基本的には効果や副作用発現に大きな差がないことが諸外国から報告されています。一般にはレミケード無効例に対してエンブレルが有効、エンブレル無効例に対してレミケードが有効、との薬剤変更による効果発現例があり投与量が十分であれば効果や副作用については優劣つけがたいと思われます。投与方法はレミケードが0,2,6週の点滴の後、以降は8週間隔で医療機関にて点滴投与を受ければいいのに対し、エンブレルは週1-2回の皮下注射が必要となるためやや煩雑です。ただしインシュリンのようにエンブレルを自分で注射出来るのであれば医療機関への来院間隔は原則2週に1回でかまいません。またレミケードには約30%マウスのタンパクが含まれるためこのタンパクの拒絶反応を防ぐため使用に際してはメトトレキサート(リウマトレックスやメトレートなど)を併用しなければなりませんが、エンブレルではメトトレキサートの併用は必ずしも必要ではありません(ただし併用したほうが効果や骨破壊抑制効果がより顕著に見られます)。またレミケードでは点滴中に湿疹や悪心、頭痛、血圧変動などのいわゆる点滴反応が出現することがありますが、皮下注射であるエンブレルにはこのような副作用はありません。エンブレルでみられやすいのは注射部位の発赤や、注射部位や全身の痒みなどです。

Q.27生物学的製剤 とインフルエンザ予防接種について。

結論から言いますと、インフルエンザの予防接種は行ってください。 生物学的製剤 使用中のリウマチ患者さんに対するインフルエンザ予防接種の有用性を検討した研究では健常者と比較して、インフルエンザ抗体の出現率に差はなく、 副作用についても健常者と差はありませんでした。以上の結果からインフルエンザ予防接種の禁忌事項(卵アレルギー等)がない限り、予防接種は行ったほうが宜しいかと考えます。

Q.26病院でレミケードを使用することを薦められています。現在、リウマトレックスとプレドニンを服用しており、CRPは0.1以下になっております。私としてはホームページなどの表記を読む限りエンブレルのほうを選びたいのですが、レミケードでなければならない理由もあるのでしょうか?

現在リウマトレックスとプレドニンにより良好な関節リウマチのコントロールがなされているように思います。レミケードやエンブレルはリウマチの関節破壊を抑える作用が期待されていますが、その半面呼吸器障害や感染症など重篤な副作用や高額な医療費などの問題もあります。したがって我が国では、どうしてもこれらの薬剤を使用しなければ十分な関節リウマチのコントロールが出来ない場合に限りこうした治療が行われるのが一般的と考えられます。あなたの場合何故、レミケードやエンブレルを必要とされるのか再度、主治医の先生の意見を聞かれてはいかがでしょうか?また何故レミケードを薦められているのかも理由を聞いてみられればいいと思います。エンブレルかレミケードかどちらの選択がよいかについては、両者の効果に決定的な差がないことから、治療的な問題よりも患者さんの希望が優先されるべきかと思います。

Q.25エンブレルについて、どのような薬なのか、費用についてなど教えてください。

エンブレルは腫瘍壊死因子(TNF)という物質と結合してその働き(発熱、関節炎をおこすなど)を抑え、骨破壊の進行や関節の変形を防止し得る薬です。現在、5種類のTNFを阻害する薬(TNF阻害剤)としてエンブレル、レミケード、ヒュミラ、シンポニー、シムジアがありますが、エンブレルだけがTNF受容体製剤であり、ほかの4種類は抗体製剤です。
TNFを阻害する点では同類の薬ですが、若干の違いがあります。
投与方法は、25mgを週に1〜2回または50mgを週に1回皮下注します。ほとんどの患者さんは、自己注射で投薬しています。。エンブレルはヒト蛋白成分のみからなり、アレルギーは注射した部位の発赤、かゆみが4人に1人くらいにでるだけで、重篤なものはほとんどありません。エンブレルは、メトトレキサートと併用したほうが効果が高いことが知られていますが、単独で使うこともあります。副作用として感染症(特に結核、肺炎)は起こりやすいので、結核の予防や、肺炎発症後の的確な診断とすみやかな治療が必要です。
最後に費用の点ですが、1か月に12〜13万円(3割負担の患者さんでは約3万円弱の自己負担)となりますが、25 mgを週1回のみですとその半額になります。

※詳しくは「生物学的製剤」をご覧ください。 https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm400/rm400_chiryo_bio_1.html
(/平成29年12月更新)

Q.24手首等の腫れと痛みで不自由を感じています。滑膜除去手術で痛みが取れのであれば、手術をうけたいと思っています。また、プレドニンの量を減らすのにこの手術は有効ですか?

手首の滑膜切除術は、数ある(いろいろな関節の)滑膜切除術の中でも最も成績の安定した滑膜切除術の一つであり、数多くの成功例が報告されています。手首の滑膜切除術は除痛効果にすぐれ、二次的に発生する可能性のある伸筋腱(手指を伸ばす腱)の断裂予防効果もあります。また腱が断裂してしまっている場合でも再建することも可能です。すなわち手首や手指の変形阻止にも有効な手術といえます。唯一の欠点は術後手関節の動きが少し低下することですが、幸い手関節は若干屈伸に制限が出来ても日常生活動作に支障がないことが多く、術後患者さんの満足度が非常に高く再発も少ない滑膜切除が手関節の滑膜切除術と考えられています。またプレドニンの減量効果についてですが、症状の主体が手関節の場合には減量効果もありますが、関節も小さく摘出される滑膜の総量も膝などの大関節からみると少ないため、全身にあたえる影響は少ないことから、症状が手首に限定されているような場合のみ期待出来ると考えたほうがいいと思います。

Q.23悪性リンパ腫と診断され、抗癌作用のあるアガリスクを飲み始めました。以前新聞に、粉末舞茸(ベータグルガンが多く含まれている健康補助食品)が関節リウマチに悪いと載っていたと聞き、同じ様にベータグルガンが多く含まれるアガリスクが関節リウマチに悪いのではないかと心配しています。 また、アガリクスの他、フコインという健康補助食品を服用しようと考えていますが、関節リウマチに悪い影響はないでしょうか?

ホームページなどに記載されていたフコダインの効能は下記の通り多彩です。関節リウマチの治療は過剰になった免疫反応を抑えることが大切ですが、「免疫力強化作用?」というのは、詳細は不明ですが関節リウマチには悪そうな気がします。 
一般に薬の効果や作用のメカニズムは、一人の発表成績だけでは全く信用できません。他の複数の同様の検討をしても同様の結果が得られてはじめて信頼に足るデータをいえるのです。アガリスクやフコイダンのみならず、このような健康補助食品のほとんどは科学的にきちんとした対照をおいた無作為比較試験を経ないで「効いた(と思われる)」症例のみを提示して「効く」と宣伝しているのが現状です。いわゆるきちんとしたエビデンス(証拠となる事実)がないのです。お気持ちは分かりますが、このようなものに高いお金をかけるより、きちんとしたエビデンスのある治療をした方がよいと考えます。主治医を信頼してよくご相談ください。また、ベータグルカンを大量服用しますと、関節リウマチの合併症であるニューモチィスティス肺炎の診断時に重要な検査結果に影響を与えますので、担当医に服用中であることを伝えてください。
■フコイダンの効能
1 抗腫瘍・抗転移作用 2 免疫力強化作用 3 抗血液凝固作用 4 コレステロール低下作用
5 血圧上昇抑制作用 6 血糖上昇抑制作用 7 中性脂肪抑制作用
8 抗ピロリ菌・抗潰瘍・胃不快感改善作用 9 抗ウイルス作用 10 抗菌作用
11 抗酸化作用 12 抗アレルギー作用 13 肝機能向上作用 14 育毛作用
15 保湿作用 16 整腸作用 17 肌引き締め作用 18 ダイエット作用

Q.22葉酸はリウマチに良くないと聞いたのですが本当でしょうか?

葉酸はビタミンBのひとつであり、人間にとって大事な物質です。
葉酸がよくないという話は、「関節リウマチにメトトレキサートを使用している人に葉酸を入れると、効果が十分に発揮できないために、大量の服用を控えた方がよい」ということを誤解されているのだと思います。葉酸で関節リウマチが悪くなるわけではありません。
葉酸は、メトトレキサートを服用している関節リウマチの患者さんには、メトトレキサートの効果を打ち消してしまうからです。また、メトトレキサートが効きすぎて副作用が出ては困るので、フォリアミンという名前の葉酸製剤を週に1錠程度の服用することが勧められています。
関節リウマチの最も標準的な薬であるメトトレキサートは、口内炎、消化器症状、肝障害、血球減少等の副作用が出ることが知られています。特に貧血、食欲不振、口内炎は葉酸が欠乏した時に出現する症状です。
葉酸は、細胞がDNAを作るときに必要なビタミンのひとつで、読んで字のごとく緑色をしたホウレン草やブロッコリーなどの葉野菜に多く含まれています。メトトレキサートは、体内に取り込まれた葉酸が働かないようにして、細胞のDNAの合成を止めることで、関節リウマチに悪影響を与える滑膜やリンパ球の増殖を止める働きがあります。野菜などを、ふつうに食べてもメトトレキサートの効果が弱くなることはありません。
(/平成29年12月更新)

Q.21関節リウマチで破骨細胞により、骨破壊を引き起こしているならば、ビスフォスホネート製剤を一緒に服用することで、より改善が期待出来ないのでしょうか?

関節リウマチの骨破壊を考える時は、骨粗鬆症に代表される全身の骨破壊と、関節局所に見られる骨のびらんにわけて考えることが出来ます。
これまでビスホスフォネート製剤の効果は全身の骨について、多数の臨床データが証明されてきています。例えば骨密度の増加や骨折頻度の減少がそれにあたります。
ところで、近年になり指摘のようなビスフォスフォネート製剤による関節局所の骨破壊抑制効果についても検討されるようになりました。ただし、日本においてビスフォスホネート製剤の保険適応はまだ骨粗鬆症しかありませんので、投与については主治医と相談ください。一方で、骨粗鬆症治療薬であるデノスマブ(商品名プラリア)が関節リウマチにおいて骨破壊抑制効果があることから、リウマチ治療薬としても承認されています。

(/平成29年12月更新)

Q.20リウマトレックス服用の副作用として、白血球が減少するということはあるのでしょうか。

骨髄抑制(白血球、赤血球、血小板が減ってしまうこと)の副作用が報告されています。白血球が減ると、感冒や肺炎などの感染症を起こしやすくなります。これはお年よりの方で特に腎臓の働きの悪い方に突然起こることがあります。症状としては高い熱が出ますので、リウマトレックスを飲んでいて急に熱が出るときなどは、必ず病院に行って調べてもらってください。白血球数が極端に減ると感染症に対抗できず、生命の危険があるからです。数が極端に減った場合は薬を止めるだけでなく、「ロイコボリン」を使って、メトトレキサートの作用を中和したり、骨髄を刺激する薬を使用したりします。リウマトレックス服用中は定期的に検査を受けるとともに、葉酸欠乏を予防するために葉酸を予防的に服用します。

Q.19レミケード・エンブレルの治療は、がんに影響を与えますか?主治医に聞くと日本での使用がまだ短いためか、がんとの因果関係は発表されていないが、何とも言えない、と言われています。

レミケードやエンブレルは、TNF-αという関節リウマチの炎症に深く関わっている物質の作用を抑える薬です。副作用として結核などの感染症を誘発することが知られていますが、特に健常者に比較して癌の発症率を高めるとの事実は日本だけではなく長期期間使われている欧米の報告でもありません。従来から悪性リンパ腫の発症率を高める可能性があるとの懸念がありましたが、それらの症例で以前使われていたメトトレキサートの影響を受けている可能性もあり、確かな証拠は現在のところありません。最近の1万名を対象とした調査でも、抗TNFα薬を投薬された患者さんにおける悪性腫瘍の発症率は1.32、リンパ腫の発症率は0.24であった(発症率はいずれも100人/年あたり)のに対して、抗TNFα薬の投与を受けなかった患者さんでは、悪性腫瘍発症率が1.75、リンパ腫の発症率が0.33となっており、むしろ治療をした方が低い傾向が示されています。がんなどの発生には長期間の観察が必要ですが、このように10年近い欧米の使用経験からでもがんが特に多くなる傾向は出ておらず、あまりこのことで心配される必要はないと考えられています。 
がんが既にある患者さんについてはどのようにすべきかは難しい問題ですが、がんの重症度、関節リウマチの程度によって判断は異なると思いますので、それぞれの専門家同士で話し合って決めていただくのがよいと思います。

(/平成29年12月更新)

Q.18頸椎固定術を受けたのですが、術後数年経過しているのですが、首の痛みやはきけ、めまい、頭痛、痙攣が起こるようになり、症状は悪くなってきています。主治医の先生に診ていただいても、吐き気止めの点滴をしてくれるぐらいで、自宅で様子を見るようにいわれます。首を固定しているからそうなるということなのですが、頸椎固定術の手術を受けると、このようなことになるのは、しょうがないことなのでしょうか。吐き気止め以外に治療の方法はないのでしょうか?

症状が頸椎由来のものであるとすれば、上位頸椎の垂直脱臼も疑われます。頸椎固定の場合、下位頸椎第3頸椎以下の固定術が行われることもあります。もし第1、第2頸椎がまだ治療されていないようなら追加手術も考えねばなりません。吐き気や痙攣までおきているような場合は、脊髄の圧迫領域について再度精密な検査が必要な場合もあります。また、最近の医療は説明と同意が前提ですので、国は他の専門医に相談し、患者さんが納得できるためにセカンドオピニオン制度を積極的に勧めています。従って、現在通院中の医療機関でセカンドオピニオンを受けたいと申し出て、医療情報提供書や資料をもらってセカンドオピニオンを受けることも一つの方法かも知れません。

Q.17家族が現在医大に通い治療を受けています。知り合いから漢方のいい医者がいるとか勧められるんですが、何件の医者を掛け持ちで受診してもいいとは思われないので見送っています。とりあえず痛みがなくなる治療を受けさせたいと思っています。よきアドバイスをお願いします。

おっしゃる通り、複数の医者に別々にかかるのはあまり好ましいことだとは思いません。現在医大に通院中とのことですから恐らく専門医の方に診ていただいていることだと思われます。病名が記載されていないので診断不明ですが、いずれにしてもまず主治医の先生に漢方のことを含めて現在の問題をよくお話して、治療について検討していただくことが必要です。日常の生活動作を改善させる治療を考えていただけると思います。一方、現在のとこと、漢方製剤のみでリウマチ性疾患がコントロールできるものではなく、補助的な治療として用いられることはしばしばあります。

Q.16B型慢性肝炎の薬剤投与をしています。最近関節リウマチを発病しました。 このような場合投与できる薬がありますか。

生物学的製剤やメトトレキサート、プログラフのような免疫抑制薬使用時に、肝炎ウィルスが急激に活性化して、時に劇症肝炎を発症し、重大な結果になることとが知られています。一方、B型肝炎ウイルス感染に対する極めて有効な治療薬があり、血液中のB型肝炎ウイルスをおさえることができます。
したがって、今後必要な抗リウマチ薬の使用に当たっては、肝臓専門医との連携で適切なB型肝炎ウィルス感染症に対する治療が必要です。肝臓専門医との連携で関節リウマチに対して生物学的製剤による治療も可能となります。当然、このような免疫抑制薬によらない抗リウマチ薬であっても、既存の肝機能障害がある場合には、慎重に肝機能等をモニタリングしながら関節リウマチの治療を行う必要があります。
(/平成29年12月更新)

Q.1574歳ですが、副腎皮質ステロイドを減らすため抗リウマチ薬(ミゾリビン、タクロリムス)を勧められています。 場合によって白血球除去療法(LCAP療法)を併用とのことですが、体力もないのでできれば抗リウマチ薬を使わずいきなりLCAP療法を試してみたいのですが可能ですか。

LCAP療法は、以下の関節リウマチの患者さんに適応となります。
抗リウマチ薬の効果がないか効果が減弱した場合にその使用を考えます。抗リウマチ薬を使用しないでいきなりLCAP療法を試すことはできません。
医療保険で認められる条件は、次のように決まっています(血球成分除去療法(吸着式))。
活動性が高く薬物療法に抵抗する関節リウマチ患者または発熱などの全身症状と多関節の激しい滑膜炎を呈し薬物療法に抵抗する急速進行型関節リウマチ患者であって、以下の2項目を満たすもの
●腫脹関節数6か所以上
●ESR(赤沈、血沈)50mm/h以上またはCRP≧3mg/dL以上
最近では確実に有効な治療薬が多数使用可能となったことから、LCAP療法は以前ほど行なわれることはなくなってきています。LCAP療法でも完全に安全であるとはいえません、
年齢のみを考慮するのでなく、患者さんの全体的な身体状況からどの治療法がその時点で適切かを専門医は判断します。
(/平成29年12月更新)

Q.14関節リウマチの初期治療で骨の変形もないのに、副腎皮質ステロイド(プレドニン)を服用していますが、本などには、重度や特別な限りは使用しないと書いてあります。 現在プレドニンは1日に10mgも服用しています。今月からは新たにアザルフィジンENが追加されました。 この先副作用やリバウンドを考えるとなるべく副腎皮質ステロイドは服用したくないのですが、このままでよいのでしょうか?

副腎皮質ステロイドには種々の副作用があり、なるべく長期使用しないことが望ましい薬です。しかし、一方、少量(10mg/日以下)の投与は骨破壊を抑制するとの報告もあります。このように副腎皮質ステロイドは両刃の剣ともいえる薬ですが、関節リウマチでは、特に炎症が強い場合に、初期に抗リウマチ薬の効果が出るまで、なるべく短期間で用いることが推奨されています。
新たにアザルフィジンENの効果が出たならなるべく早く減量してもらい、効果が不十分であればほかの抗リウマチ薬の追加、変更を速やかに行ってもらう必要があります。今後の減量の予定など、主治医と十分に相談されるとよいと思います。
副腎皮質ステロイドの副作用を心配して自己流で内服量を調整せずに、あくまでも主治医と相談して内服量を決めてもらってください。
(/平成29年12月更新)

Q.13関節痛が始まり2年になり現在通院しています。午前中は膝、手、肘、肩がこわばり痛みが激しいです。筋肉注射は効果があるが副作用もあると聞いています。 私と同じ様な病状の方がどのような療法を行っておられるのか、教えてください。

多くの関節の痛みと午前中のこわばりという症状からおそらく診断は「関節リウマチ」だと思いますのでそれを前提に述べます。関節リウマチの治療で「筋肉注射」といえば、通常金製剤(商品名シオゾール)かステロイド製剤のトリアムシノロン(商品名ケナコルト)のどちらかでしょう。シオゾールは一部の患者さんには有効ですが、現在ではほとんど使用されなくなった薬剤です。またケナコルトは定期的・継続的に使用する薬剤ではありません。まず、主治医の先生に現在の注射薬の内容を確認されることが大切でしょう。現在ではメトトレキサート(商品目リウマトレックス)などの有効性の高い経口の薬剤がありますので、そのことについてもお聞きになるのがよいと思います。
(/平成29年10月更新)

Q.12疼痛緩和目的の罨法(湿布)について、温かいものと冷たいものとどちらがよいのでしょうか?

まず簡単に申し上げると、「急な痛みには冷罨法(冷湿布)、慢性の痛みには温罨法(温湿布)」ということになります。

温めると局所の血管が拡張して血液の循環がよくなり、関節リウマチの関節内で生産された炎症性物質が血管内に戻って流れ去るという好影響があります。しかし急性の炎症の直後では、逆に炎症を引き起こす細胞(白血球など)や炎症性蛋泊(補体など)が炎症部位に動員されやすくなります。そこで温湿布は急性炎症には避けるということになります。

一方、冷やすと血管が収縮し、炎症性細胞が動員されにくくなるので、急性炎症の増悪を抑制することができます。急性炎症には冷湿布がよいのはこういう理由からです。

まとめると、温湿布は起こってしまった炎症反応の結果を改善する(炎症性物質を減らす)方法、冷湿布は炎症を続かないようにする方法ともいえるかもしれません。

炎症の活動期には冷やして炎症部位への炎症を引き起こす成分の流入を抑えて炎症が続かないようにし、ある程度落ち着いて新たな炎症を引き起こす成分の動員が少なくなってきたら、局所に蓄積した炎症性物質を流出させるために温めて血流をよくする、というのが一般的な考えではないかと思います。

(/平成29年12月更新)

Q.11膝に水が溜まります。水を抜く事の悪影響はないのでしょうか?痛みはあまりありません。

水(関節液)を抜くこと自身は繰り返しても問題はありませんし、くせになるものではありませんが、何度も抜くことになるのでしたら、水がたまらないような治療を考えるべきだと思います。たとえば関節内にお薬を注入するとか、内服薬を変えてみるとかです。それでも難しい場合もありますが。あとは膝によけいな負担のかからないような注意も必要です。

Q.10海外で膠原病科のドクターにかかっており、メソトレキサートを週6錠(15mg)服用していますが、日本のある病院で多すぎるといわれました。 一般的なご意見を聞かせください。 また リウマチ科には 整形外科系と内科系がありますが、それによって 薬の使い方の見解が異なることはあるのでしょうか。

海外でのメトトレキサート使用量はコントロール不良の場合15〜20mg/週くらいまで増量することは稀ではないですが、日本では従来は2-8mg/週の範囲で用いられることがほとんどです。これは医療保険で認可されている量は8mg/週までのためでした。しかし、2011年2月から医療保険上も16mg/週まで使用可能となり、海外に近い使用量となりました。したがって15mg/週が多すぎるわけではありません。
整形外科と内科の違いですが、専門医であればどちらも同じような使い方をします。日本では日本リウマチ財団リウマチ登録医、日本リウマチ学会リウマチ専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医の制度があり、内科医、整形外科医に関係なく関節リウマチに精通した医師を認定しています。ようは整形、内科という分け方でなく、どのぐらい関節リウマチに精通している医師であるかにかかると思います。

(/平成29年12月更新)

Q.9数か月前に関節リウマチと診断され、薬をのまず鍼灸院に通い始めた所。まだ骨にはきていないということなのですが夜多少の痛みがあり不安です。進行をとめることは不可能なのでしょうか?

鍼灸院ではレントゲンは撮れないと思います。レントゲン所見なしに骨は大丈夫と診断することはできません。関節リウマチの初期はトレーニングされた専門医しか気が付かないような微細なレントゲン変化だけのことが多いのです。関節リウマチの治療は遅れれば遅れるほど後戻りできない骨や関節の破壊性変化が出てしまいます。お問い合わせの内容からすると発症初期だと思われますので、まだ破壊を止められる可能性は高いと思います。特に最近の研究から発病してから2年以内がレントゲンの破壊速度が速いことが明らかにされ、この時期をいかにうまく治療するかが、後の障害を抑えられるかどうかにおいて大変重要であることも明らかにされています(関節リウマチも早期発見、早期治療が大切であることが多くの臨床経験から証明されています)。昔は関節リウマチと言えば不治の病のように考えられてきましたが、最近の薬は関節の破壊まで止めることが認められています。関節破壊の進行をとめる事は決して不可能ではありません。関節リウマチの専門医師の診察や治療を受けて進行を止める努力をされることをお勧めします。

Q.8発症以来、リネステロン0.5mgを服用しています。そのため(医師の言)、皮膚が紙のように薄くなり、僅かな衝撃でも破けてしまいます。昨年は3度ほど縫合手術を受けました。薬を止めない限り治らないものでしょうか?

副腎皮質ステロイドを長い間飲んでいると皮膚や血管の壁が弱くなっていく傾向はあります。また、年齢のことも、病気自身でもそのような変化をもたらすことがあります。薬を続けることでその状態が悪くなる可能性もありますが、治療のために中止できないことが多いでしょう。主治医の先生と良くお話しをされると良いと思います。

Q.7関節リウマチと診断後に、治療開始し、リマチルや副腎皮質ステロイド(メドロール 2 mg)を使用してきましたが、効果が得られなかったので、アザルフィジンENを使用したところ副作用がでました。 もともと抗がん剤として開発されたメトトレキサートの使用を勧められていますが、その薬を飲むことに疑問を感じています。抗がん剤を使用しなくても他の治療薬はないのでしょうか?

サラゾファピリジン(商品名アザルフィジンEN)で副作用が出たことで、薬のことに敏感になっておられるのだと思います。確かに、メトトレキサートは現在でも抗がん剤として一部の癌治療に使用されています。しかしメトトレキサートは、関節リウマチに対して世界で最も多く使用されている薬で、リウマチ治療のアンカー・ドラッグ(第一選択薬)とされています。また関節リウマチに対して用いられる容量は抗がん剤として使われる量の数十分の一で、かなり少ない量です。アザルフィジンENで副作用が出てしまった場合に、メトトレキサートという治療方針はとても標準的・基本的な考え方です。
(/平成29年12月更新)

Q.6腎臓病患者のため非ステロイド性の痛み止めを飲めずに、ひどい痛みで苦しんでいます。すべての痛み止めは腎臓に副作用があるのでしょうか。腎臓病患者が使用できる痛み止めはないのでしょうか。

非ステロイド性の痛み止めというのは非ステロイド抗炎症薬(通称NSAID)のことだと思われます。NSAIDはアスピリンに始まり、その後多くの薬剤が開発されました。代表的薬剤であるバッファリンは一般の方々にもよく知られているように鎮痛剤や解熱剤として広く使われていますが、指摘のようにこの薬剤は腎臓の血流が悪くなり、腎機能障害をきたします。やはり、腎臓病のある方には使用を避けたほうがいいでしょう。

しかし、痛み止めのなかには肝臓で代謝されて腎臓にあまり悪影響を与えないお薬も出ています。アセトアミノフェン(商品名カロナール)やトラマドールといったお薬です。一度、主治医と相談なさってはいかがですか。

(/平成29年12月更新)

Q.5漢方・鍼灸などの治療で、多くの患者さんが治っている病院があるのですが、そういう事実に対してどう思われますか?

漢方、鍼灸(東洋医学)については今の段階で一概によいとか悪いとか決めることは難しいと思います。西洋医学を基盤にしている現代医学は、薬剤が開発される前に多くの実験と研究を行なっており、その上でどのように効果があるのかが確認できれば、その後に治験と呼ばれる有効性と安全性の試験が行われ、最終的に効果のある薬と認められて世に出ることになります。最近ではEBM(科学的根拠に基づく治療)と呼ばれる多くの臨床データをもとに薬の安全性と危険性が論じられるようになっています。一方、漢方や鍼灸は主に中国医療における経験論がその基礎になっています。長年の歴史に裏付けられていますが、その一方できちんとしたデータをもとにした科学的な検討には乏しいようです。また診断も陰や陽といった西洋医学とは異なる診断法がとられます。したがって西洋医学と東洋医学を直接比較して白黒つけることは洋食と中華のどちらがうまいか決め付けることに似ているかもしれません。確かに漢方、鍼灸によって症状が軽快した例も多数報告されていますが、その反対にこのような治療に限界があり、西洋医学を併用したり、西洋医学に切り替えなければならなかった例も報告されています。調理方法を洋食と中華に決め付けられないように、治療法もどちらかに決め付けるのではなく、自分自身にあった治療法を選択することが大切であり、西洋医学と東洋医学のどちらか一方がよいとか駄目だとか、決め付けないことが重要だと思います。またどちらか一方だけではなく、西洋医学の診断の上で、漢方も処方については多くのものが西洋医学の処方の中にも取り入られており、関節リウマチにおいても、多くのリウマチの専門医が使用しています。針灸については一般に西洋医学を行なっている医師は行なっていませんし、針灸師は医師ではありません。またそれが効くとか効かないとかいう、きちんとしたデータがありません。

Q.4先日リウマトレックスを使用しましたが、副作用がひどく使用をやめました。他にも飲み薬は有るようですが、飲むのが怖くなり、今は温シップのみで我慢しています。

一つの薬で副作用が出たからといって、他の薬のが全て使えないわけではありません。現在多くの薬があります。他の、抗リウマチ薬を試してみたほうがよろしいかと思います。湿布剤は症状を和らげるだけであり、リウマチを止めることはできないことの認識も必要です。

Q.3家族が、重度の関節リウマチでほぼ寝たきりの状態だか、医者にかかっておらず、本人が治療の意志を持ちません。どのように対処すればよいのか、悩んでいるのでアドバイスをいただきたい。

どうして病院にかかられないのでしょうか。精神的な問題があるのであれば精神神経科に受診する必要がありますが、重症の関節リウマチの方はそれだけで元気がなくなってしまうことがよくあります。最近発売された新しい薬では今まででは考えられなかった強い効果が実証されており、重症でいるという時代ではありません。ご本人にそのことを話されて専門の先生に相談されてはどうでしょうか?また医師から治らない病気と言われて気落ちしてしまう方もよく見かけますが、現在完全に治らないにしろ、日常生活が送れるくらいの回復までは期待できると思います。

Q.22年半前から1日リマチル100mgを1回飲んでいます。定期的に体を動かすようにしており、とても体調はいいです。いずれ薬をやめて完治したいと思っています。そんなことはありえることなのでしょうか?

比較的軽症の関節リウマチを発症し、早期の段階で治ってしまう患者さんは確かに存在します。しかし、数年に渡って抗リウマチ薬などによる治療を必要とした患者さんががいわゆる”完治”と呼ばれる状態になる確率はそう高くはありません。ただ、寛解とよばれる病気を押さえ込んだ状態に持ち込むことは可能です。その状態を長い間保つことが出来れば薬を飲む必要が無くなる場合もあります。しかし、体の具合が良いからと言って自分で勝手に薬を止めてしまわないでください。服薬の中止は大変難しい判断ですから主治医の先生によく相談してください。

Q.110年来関節リウマチを患っています。完治することは難しいですか?

関節リウマチが初期の治療により治ってしまうこともときには経験しますが、長期になると治ることは難しくなります。それでも病気の勢いを止めることは可能ですし、最近の生物学的製剤の登場で、かなり勢いの強い関節リウマチでもコントロールが可能になってきました。このように、そのうちにすっかり治る治療法が発見される可能性が高くなってきています。ですから余計に今より悪くしないようにしっかりと治療されることが大事だと思います。もし手術できないくらい悪化してしまいますと、いくらよい治療が出てきても完治することができないからです。
(/平成29年12月更新)