リウマチを知ろう!

リウマチQ&A

診断について

Q.50リウマチの疑いで血液検査をしました。CRP値や抗CCP抗体が低いのに、MMP-3が高くなることはあるのでしょうか。また、そのような場合は関節リウマチとなるのでしょうか。

そもそも関節リウマチの診断は血液検査だけで決めるものではありません。MMP-3は関節の傷害を意味していて、MMP-3 だけ高いこともありますが、それで関節リウマチと診断できるわけではありません。

(令和6年6月)

Q.49右手の指、甲、手首が痛くて、特に今は、指が痛いです。関節なのか骨なのか分かりません。整形外科に行くと、関節リウマチなら両手に出ますと言われて、原因不明のままです。腫れも赤みもありません。肘から手首までの筋肉のダルさもあります。ダルいような鈍痛。指は、ズキズキします。血液検査はしていません。以前は仕事柄、腱鞘炎にはよくなっていました。ただの一過性の炎症ならいいですが、関節リウマチだと片手だけにはならないのでしょうか?

関節リウマチの疼痛は以前とは異なり、かなりの部分コントロールされる時代になりました。また必ず両手に出るわけでも対称に出るわけでもありません。むしろ痛みが移動性に変わることも特徴のひとつです。一度リウマチ登録医、リウマチ専門医に診ていただく方がよいと思います。(令和6年6月)

Q.48関節リウマチの炎症がひどい時単球数がとても増えます。どういう意味ですか?単球はどんな役割をしていますか?

単球数は慢性の炎症などで増加します。通常は感染に対する防御の早い段階で働きます。関節リウマチの関節内では炎症を起こすサイトカインという物質を作ったりしています。(令和6年1月)

Q.47ホームページの説明の中に 「この免疫系の異常で、関節の毛細血管が増加し血管内から関節滑膜(かつまく)組織にリンパ球、マクロファージなどの白血球が出現します。このリンパ球やマクロファージが産生するサイトカイン(TNFα、IL-6など)と呼ばれる物質の作用により関節内に炎症反応がひきおこされ、関節の内面を覆っている滑膜細胞の増殖が起こり、痛みや腫れを起こし、関節液が増加し、軟骨・骨の破壊が進んでいきます。」 というのがありました。つまりリンパ球や単球が増えるということですか? 痛みが悪化してしまい検査結果では炎症値の上昇と単球が多くなっていました。でもリンパ球は減っていました。どういう意味なんでしょうか?

血液検査は血管の中の白血球をみているので、必ずしも関節滑膜での状況とは一致しません。血液検査のリンパ球減少は関節リウマチやステロイドなどの治療でよくみられます。リンパ球数の増減について、通常はあまり問題にすることはありません。(令和6年1月)

Q.46関節リウマチのステージや診断の基準を見ると関節が中心で書かれています。合併症や全身の状態が悪くてもメインの判断は関節ということになるのですか?

「関節リウマチの診断」では、関節の所見が一番の重要点となります。具体的には関節の腫脹がないと診断自体ができないことになっています。
また一般的に用いられている「関節破壊の進行の程度(Steinblocker分類)」では、関節のX線所見により個々の患者さんの関節破壊の「ステージ」を分類します。
一方、「合併症や全身状態」はあくまで関節リウマチの合併症や、疾患に付随する全身的な状態を表すものであり、関節リウマチの「診断」自体には直接かかわるものではありません。(令和6年1月)

Q.4530代女性です。近所の整形外科を受診し、1年間メトトレキサート週3錠セレコキシブ・アザルフィジンを毎朝夕、プレドニン毎朝・週1フォリアミン飲んでいます。しかし痛みや腫れも完全には収まっていません。最近の検査結果はCRP0.33/RF46/MMP-3 152です。担当医からは生物学的製剤を使うといわれましたが、専門医を受診した方がよいでしょうか?

ご年齢と、お示し頂いた検査結果、症状の経過などから診断は関節リウマチでほぼ間違いないように思います。現在受けておられる治療は関節リウマチの治療としてほぼ標準的な治療であり、現在の主治医の先生は専門医のご資格がないのかもしれませんが、十分専門医として通用する診療をされているように思います。セカンドオピニオン的に他の専門医のご意見を訊いてみるのも良いですが、現在の先生に症状が完全に治らないこと、検査所見も正常化しないこと、などをご相談され、たとえばメトトレキサートを、現在の週3錠から4〜5錠に増量する、生物学的製剤を使用する、など、治療強化をご検討頂くのがよろしいかと思います。(令和5年6月)

Q.44関節リウマチです。検査数値は変わりませんが痛みが増えてきました。悪化しているのでしょうか?薬が効かなくなってきたのでしょうか?

関節リウマチの状態は関節の腫れや痛み、血液検査(CRPやMMP-3など)、患者さんや医師の評価を用いて総合的に判断します。また、関節超音波で関節に炎症があるかみることもあります。IL-6という物質を抑える生物学的製剤(アクテムラやケブザラ)などでは炎症があってもCRPが上がらないこともあります。また、痛みは様々な原因が起きるので、やはり主治医の先生にお聞きいただくのがよいかと思います。

(令和5年2月)

Q.43関節リウマチで生物学的製剤を使った治療を受けています。血液検査でカビ感染していることが分かりました。仕事で野菜や果物を扱い、カビの生えたものを毎日処理したりしています。カビ感染はここからのものなのでしょうか?

血液検査で「カビ感染」ということですが、「βーD-グルカン」の値が高いということだと推察します。その場合、ほとんどは体内に元々持っているカビ(ニューモシスチス、カンジダ、アスペルギルスなど)が生物学的製剤の使用などによって免疫が低下することで増殖してくるのが原因です。アスペルギルスなどは環境から吸入して侵入することもありますが、扱っておられる食物に生えるカビから感染することは、一般的には知られていません。ニューモシスチスを疑うならST合剤の内服(バクタなど)または点滴(バクトラミンなど)、カンジダならイトリコナゾールやボリコナゾールなどを使用すると良いと思います。

(令和4年12月)

Q.42関節リウマチ治療中でオルミエントを服用しています。微熱が続いています。血液検査は問題ありません。感染を疑い抗生物質が出されました。飲んだら熱は下がりました。飲みきり2日後からまた発熱しています。怠さのみで風邪症状はありません。どうしたらいいのでしょうか?CRPは高くないので大丈夫と言われますが発熱しているとどこも行けまません。

発熱の原因を探して治すべきです。抗生剤で熱が下がりやめたら再度発熱したということは、体のどこかの細菌感染症が疑われます。オルミエントを服用していると感染を起こしていてもCRPはあまり上昇しないので気を付けなければなりません。

(令和4年12月)

Q.41両方の足指の根本が腫れ、歩く度に痛みがでます。また、時折、肩や手首に動かせなくなるくらいの激痛が襲ってきます。痛みは3日ほどで治っていました。病院へ行き、血液検査をすると、RF定量18、抗CCP抗体168でしたが、CRP0.1、MMP3 28.9と基準値のため、たぶん関節リウマチだろうけど、治療はしないといわれました。足指と肩はずっと痛みが続いています。このまま何もしないでおくのも不安です。ネットにはHRTでリウマチの発症を抑える効果も期待できる。とでていました。関節リウマチであれば早目の治療がよいのではないでしょうか。

無治療の状態で、RFや抗CCP陽性のみでCRPが陰性の場合は、関節リウマチではない可能性があります。あるいはまだ初期で今後典型的なリウマチ症状が出てくるかもしれません。RF陽性などがあるので、背景にシェーグレン症候群などが潜んでいることも考えられますが、痛風などほかの病気の検査もすべきかと思います。単に痛いだけでなく、実際に腫れているのであれば、炎症を抑える薬が必要です。また不安や緊張など、精神的なストレスでも痛みを感じることがありますので、そのような可能性がある場合は、原因となるストレスの解消に努め、どうしても困難な場合は精神科やメンタル科に相談して、抗うつ薬や抗不安薬などを検討していただくのが良いかもしれません。痛みがあるのに何もしないで我慢されることはないと思います。

(令和4年8月)

Q.40最初に、指の関節がピリピリズキズキ数時間で痛みがなくなり別の指の関節に痛みが移動します。腫れはありません。次に足が痛くなりピリピリズキズキと、また時間が経つと痛くなくなります。こんな感じで症状は3週間続き、リウマチ科を受診しました。血液検査結果ではリウマチの反応は無く(RF定量6IU/mL 抗CCP抗体0.5U/mL陰性)炎症の反応もなく(CRP0.014mg/dL)レントゲンと関節エコーで異常ありませんでした。それから2週間後症状は変わらず指の関節と足の関節痛みが移動して、次は肩が痛くなりました。関節リウマチの疑いはないのでしょうか?

関節の症状は関節リウマチを始めとする多くの疾患が原因となります。リウマトイド因子は関節リウマチのない方でも20人に1人で陽性になる非特異的な検査です。また、関節リウマチの診断も初期には十分な所見が揃っていないために確定しないことも少なくありません。持続性の関節の腫れを伴った鈍い痛みが典型的ですが、その他の清浄で発症する方もいらっしゃいます。症状が継続する場合は、再度リウマチ医を受診するか総合内科の先生に他の疾患お鑑別をお願いすることも早期の診断に役立つことがあります。

(令和4年5月)

Q.395年程前より手指の違和感があり、経過観察をしていました。その間、血液データでの異常はありませんでした。約8か月前にX-Pにて肘の骨びらんが見つかり、手指の腫れや熱感などトータル的にみてリウマチ症状なので、陰性リウマチとして内服をはじめました。現在ケアラム25mgを2錠、メトトレキサート2mgを5錠、フォリアミン2錠に胃薬、鎮痛剤です。血液データ上での判断ができないため、医師(3名)にはたびたび『ほんとにリウマチかな?』と不安な発言をされます。きちんと診断して治療をしたいです。診断は無理なのでしょうか?

関節リウマチの診断ですが、血清リウマトイド因子や抗CCP抗体などの検査は診断を行う上で非常に重要ですが、それが陽性であるだけで診断が可能なわけではありません。逆にこのような検査が陰性のいわゆる“血清反応陰性の関節リウマチ”の患者さんは数多くいらっしゃいます。
今回のケースでは、おそらく血清学的検査は陰性であったものの、肘の骨びらんを認めたため、主治医は“血清反応陰性の関節リウマチ”と診断して、抗リウマチ薬を処方していると考えます。『ほんとにリウマチかな?』というのは治療をする側にはよくある思いですが、今回はそれがそのまま患者さんに伝わって誤解を生じたのだろうと思います。

(令和4年4月)

Q.38関節リウマチでリウマトレックス7mm/週、フォリアミン15mg/週、タクロリムス1mg/日を服用し症状は安定しています。一方血液検査ではALTが昨年平均35U/Lが今年は55U/Lに、γGTが昨年平均45U/lが60U/lになっています。担当医はASTは正常値なので減薬しなくても大丈夫だといいますが、このままにしていて大丈夫なのか心配です。 あるいは他の病気を疑われるということでしょうか。

薬剤については直ちに減量や中止をする必要はないと思われますが、持続するようでしたら他の原因がないか検査されてもよろしいかと思います。

(令和3年12月)

Q.37手足指の第一関節がリウマチの審査診断の基準になら入っていないのは何故でしょう。変形性関節症と区別するためと何かで見ましたが、リウマチではそこには痛みや腫れが出ないということでしょうか。

関節リウマチでは第二関節の腫れと痛みが特徴です。第一関節に関節炎があることもありますがその場合も第二関節に何らかの変化があり、第一関節だけに関節炎がみられることは一般的にほとんどありません。一方、変形性関節症では第一関節に節のような硬い腫れがみられ、へバーデン結節と呼ばれています。また、皮膚の乾癬という病気に伴う関節炎は第一関節にみられることがあります。

Q.365年以内にリウマチになるでしょう、大きな関節が腫れたら診察に来るように言われました。半年たって小さな関節の痛み、腫れが数か所に増えています。整形では定期的に検査することを勧められました。リウマチ専門ではないですが整形で検査をお願いしても同じでしょうか。RFとCCPは陽性の場合CPRの数字次第でリウマチ科にかかるか決めたらいいのでしょうか。腱鞘炎や年齢で関節が悪くなっているのか自分で検討をつける方法はないものでしょうか。なるべく薬は使いたくないのですがリウマチならば母のように骨が変形しないように治療したいです。

現在の状況ですが、医療施設を受診されて“5年以内にリウマチになる可能性があると言われ、現在は小関節の炎症が数か所ある“ということでよいでしょうか?
もしそうであれば、既に関節リウマチがしっかりと発症していると考えられます。病気の現状(疾患活動性)や関節の状態は御自身で正確に把握することは不可能ですので、リウマチ専門医(内科でも整形でも可)を早めに受診された方がよろしいかと思います。また“なるべく薬は使いたくない”というお気持ちは理解しますが、もし関節リウマチの診断がつくのであれば、薬物治療は必要と考えられます。薬剤の量や種類の調整はしばらくの間必要ですが、将来的にずっと薬を飲み続けなければならないとも限りません。大切なことは、今ある関節炎を放置しないことです。(令和3年8月)

Q.352021年1月に関節リウマチと診断されました。診断時、RF:111,MMP3:184,抗CCP:316,CRP:1.5でした。現在、CRP:2.8です。メトトレキサートを4週間内服後、首に4か所リンパ腫ができ、内服中止となりました。服薬中止して2週間後、顕著なリンパ腫は1か所となり、現在はリマチルを服用しています。まだリマチルの服用は数日ですが、首に振れるリンパ腫が4か所に増えてきました。リマチルにも、リンパ腫との関連はあるのでしょうか?また、次回の受診は3週間後なのですが、内服の可否について、受診日を待たずに主治医に電話等で相談した方がよいでしょうか?

リマチルとリンパ腫の関連は特にいわれていませんので、やめる必要はありませんが、もしリンパ節がどんどん大きくなる場合には、その原因を調べるため検査が必要となります。次回の診察時にリンパ節のはれについて、経過をを主治医にお話いただくのがよいと思います。(令和3年4月)

Q.34左母指の付け根関節ではない場所に、しこりが出来ました。 MRIをとり少し炎症反応があると言われ関節リウマチを疑い検査をしています。痛み、こわばりなどなしです。 関節リウマチなんでしょうか?

関節リウマチの手では関節の痛みや腫れが第二関節と「付け根」の関節にみられます。関節リウマチ診断のはこうした関節の数やリウマチ因子や抗CCP抗体といわれるリウマチに関連する血液検査が陽性であるか、また血液検査にCRPや血沈といった炎症性の変化があるかなどから総合的に診断されます。MRIだけで診断するものではなくあなたの場合これだけの症状ではなんともいえません、専門医にご相談ください。

(令和3年3月)

Q.33痛みがひどく、2回の血液検査で抗CCP値が陽性で400値でしたが2回とも他の炎症反応の検査には異常がなく、線維筋痛症かもしれないと言われました。そこで、質問なんですが、線維筋痛症でも抗CCP値は陽性と出ますか? また、抗CCP値が陽性と出た時点で関節リウマチなのでしょうか?

線維筋痛症では、関節リウマチ(RA)の診断に重要な検査である、抗CCP抗体、リウマトイド因子(リウマチ反応)、CRP、赤沈さらにMMP-3などに異常がないことが特徴です。
 そこで今回の質問の方の病状で考えられることは、これほど抗CCP抗体が明らかに高い値ですので、今後の経過で関節リウマチを発病してくる前段階の時期である可能性です。抗CCP抗体はRA発症前から陽性になると言われているからです。しかし、現在の身体の痛みは炎症反応が基準値を越えていないことから、担当医から説明があった線維筋痛症の可能性もあります。
実際にRAの約10%に経過中に線維筋痛症とRAとが併存することがあります。したがって、現時点でRAは発症前かも知れませんが、先に線維筋痛症が発症していることもあります。
 治療としては線維筋痛症に対する治療を受けながら、RAの発症の有無を慎重にみることが大事です。また、念のために痛みが関節にある場合は、CRP,赤沈などの炎症反応が上昇するほどでない関節炎の有無を関節エコー検査で評価することが重要です。エコー上、関節炎がわずかでも確認できるなら、早期RAとしての積極的治療が必要だからです。このような点について、担当医とご相談ください。

(令和3年2月)

Q.321ヶ月半前ごろから、股関節のだるさ 足の裏、踵の痛み足首の痛み腫れが続いてます。治っては違う場所が痛くなるのを繰り返しており、熱や体のだるさなどはありません。整形外科に受診し、レントゲンでは骨の異常なし。採血はCCP抗体陰性 CRP2.16 α1、α2、β1グロブリンは上昇してました。CCP抗体陰性のため、インフリー(100)2錠朝夕内服して様子をみています。痛みはましですが、詳しく関節リウマチの検査をしなくても大丈夫ですか?関節リウマチにかかってないのでしょうか?

CCP抗体は関節リウマチの診断の上で重要ですが、関節リウマチの患者では必ずしも陽性になるわけではありませんし、これだけで関節リウマチではないと診断できるわけではありません。念のため関節エコーやMRIなどで確認する必要はあります。また関節リウマチに近い他の病気、たとえば脊椎関節炎などの病気の可能性を考えることも必要です。
(令和3年2月)

Q.31関節リウマチの血液検査の数値が低いとMRIでも異常はないのでしょうか?

MRI検査は関節リウマチにおける骨の変化を通常のX線検査に比べて、より早い時期から検出できる検査です。また、関節内の炎症をみることができます。一般的には血液の炎症の反応が高いほど、MRIでの炎症の所見がみられる可能性が高いと考えられます。しかし、MRIだけで診断するわけではなく、関節やその他の診察所見、血液検査を参考に総合的に診断します。関節リウマチ以外の病気がないか調べることも重要です。画像検査では関節の超音波検査が行われることがあり、こちらも早期の診断に役立ちます。
(令和3年1月)

Q.3030歳で関節リウマチと診断され、それからリウマトレックスとエンブレル注射(25mg)を投与しています。今年に入り、体重減少、疼痛増強、手の指の腫れが出現、朝のこわばりも一段と酷くベッドからの起床が困難になっています。リウマチの症状悪化なのでしょうか? 更年期障害や他の病気の可能性もありますか?

関節リウマチ(RA)として現在、リウマトレックス(MTX)とエンブレル(25mg)皮下注による積極的治療が行われていますが、担当医は貴方のRAの病状についてどう評価しておられるのでしょうか。RAのコントロールが不十分であるなら、現在の治療薬を変える必要があります。そのような場合には、エンブレルの効果不十分と考え、他の生物学的製剤(エンブレルとは作用点の異なる薬剤)ないし経口薬であるJAK(ジャック)阻害剤などが選択されます。一方、RAが現在の治療で十分コントロールされていながら、RAの悪化のような症状がある場合には、他の病気の併存を考慮する必要があります。記載の症状から、RAと合併することのある病気として、多発性筋炎やリウマチ性多発筋痛症(一般には高齢者が多いですが)、あるいは線維筋痛症などの併存の有無について検討が必要です。そこで、現在の担当医によく相談されてはいかがでしょうか。
(令和2年10月)

Q.29関節リウマチと診断され15年以上たちます。メトレート2mg x 5錠を飲んでいます。CRP、腎機能、肝機能は正常値ですが手首の腫れと時々痛みがあります。先生は生物製剤を使用すると腫れもひくというのですがCRPが正常値でも生物学的製剤を使用するべきでしょうか?

手首の腫れと程度にもよりますが、「時々痛む」ということと、CRPが陰性であることから、リウマチの活動性はコントロールされているように思われます。したがって、現時点では生物学的製剤の追加は必要ないと思います。特に、「片方の利き手の手首が時々痛む」という場合は、使い過ぎによる影響もありますので、そのような心当たりがあるなら、手首への負担を軽減するようにして、局所の湿布や外用薬で対応しても良いと思います。しかし、腫れが著明で、関節レントゲンで以前より骨破壊の所見が進行しているとか、関節エコーやMRIなどで滑膜炎が明らかにある場合は、仮にCRP陰性でも、現在の治療が不十分と判断することがあります。そのような場合は、生物学的製剤やJAK阻害薬などの治療を追加することはあります。念のため、関節エコーなどで確認するなど、本当にリウマチが悪いのか、主治医にご判断していただくのが良いと思います。 (令和2年10月)

Q.281年前に前身の関節痛、手のこわばりがあり受診しましたが、検査の結果関節リウマチではないといわれました。しかし症状は続き再度検査したがやはりリウマチではないといわれました。症状はリウマチに酷似しているのですが。

回答を確認できませんでした。

Q.2710年前から手がこわばり、関節痛が出てきました。病院の検査で関節リウマチではないといわれています。未だに関節痛はありますが腫れたり変形することはなく、神経痛であるとか変形性股関節症などといわれていますが、関節リウマチではないのでしょうか?

関節リウマチには診断基準があり、その基準を満たしていないと関節リウマチとは診断できません。いくつかの関節リウマチらしい症状があっても、長期間経ってもその基準には入らない、はっきりしない患者さんは少なくありません。もちろん膠原病や変形性関節症のこともありますが、こうしたどの診断にもならない「くすぶり型」の関節リウマチもあります。この場合の治療は医師も悩むわけですが、多くは関節リウマチほど強い変形や内臓の合併症をつくらないので、痛みを止める程度で治療しながら観察することが多いと思います。

(令和2年7月)

Q.26抗CCP抗体が高いと関節リウマチでしょうか?

関節リウマチでは、病状が進行すると炎症を起こしている関節の軟骨や骨がダメージを受けますが、一般的に抗CCP抗体が高い患者さんでは関節破壊の進行が速く、程度も強い傾向があると考えられています。但し、すべての患者さんに当てはまる訳ではなく、抗体値でどの程度違うのかも明らかにはなっていません。

抗体値が高くても必ず発病するかどうかはわかりませんが、リウマチ専門医のもとで経過観察を行い、リウマチと診断されたら速やかに適切な治療を受けることが大事だと思われます。

(令和2年7月)

Q.25最近右の臀部と腰骨の周辺が痛むようになり、階段の上り下りやいすから立ち上がるなどの時に激痛があります。50歳で関節リウマチと診断され薬を飲んでいます。新型コロナウイルスの関係で病院には行かずに薬だけ処方されていますがこういう痛みは初めてでリウマチが進行しているのではと不安があります。

関節リウマチ自体で、腰や臀部の痛みがでることは通常はありません。腰の骨に異常がないかなど、主治医の先生、もしくはお近くの整形外科で診察を受けていただくのが宜しいかと思います。

(令和2年6月)

Q.24予後不良因子として、抗CCP抗体やRF高値があるそうですが、どれくらいを高値と考えられますか。(ただいまRFが100、抗ガラクトース欠損が166、抗CCP抗体107です。)

リウマトイド因子と抗CCP抗体が陽性であることは予後不良因子とされていますが、これはこれらの検査が陽性である患者さんでは関節破壊が進みやすいというデータに基づいて言われています。しかし、その値の高さについては決まっていませんので、値の高い低いはあまり気にしなくても良いと思います。

(令和2年6月)

Q.23人間ドックで、CRP定量0.099,RFが108でした。 検査の指示があった事と、両肩の痛み、朝10分〜20分両手のこわばりがあった為、最寄りの整形外科を受診。肩と両手のレントゲンは特に異常なし。一週間後、血液検査の結果はCRP0.07 RFが202でした。 医師の判断は関節リウマチであろうとの事でメトトレキサート、フオリアミン錠を処方されました。現在服薬中ですが、この薬は副作用が多いので少し心配です。体の痛みと上記の検査結果だけで、まず間違いなく関節リウマチなのでしょうか。 別のリウマチ科のある病院も受診してみようと思っているのですが無駄でしょうか?

関節リウマチの診断は、RF、抗CCP抗体、関節所見、炎症反応などに加えて、他の同じような症状を起こす疾患の除外などで行います。CRPもレントゲンも初期には正常であることも少なく有りません。抗CCP抗体を測定していると思いますので、その結果が参考となるかもしれません。メトトレキサートは標準薬であり、長期服用も通常は問題有りません。しかし、どのような薬剤でも副作用がまったくないということは有りませんので、定期的なモニタリングが必要ですので、定期的に診察を受けていただくことが重要と思います。かかりつけの先生に効率的にご自身の疑問や不安を伝えるために紙に書いて持っていき、それでも治療を十分安心して受けることができなければ、お薬手帳とこれまでの検査結果などを持参して。躊躇せずに他の医療機関を一度受診してみることも無駄ではありません。

(令和2年2月)

Q.22半年ほど前から指が、1か月ほど前から両手首が特にきっかけもなく痛み始めたため、通院したところ、関節リウマチの疑いがあるとのことで血液検査を受けました。 結果は抗ccp抗体が7.6とあり、基準値を超えていましたが、他の数値が基準値内であったため、関節リウマチではなさそうですとのことで、痛み止めを処方されました。 帰宅後、抗ccp抗体について調べたところ、関節リウマチに一番関連する数値で、陽性の場合は95%ほどが関節リウマチとのこと、またいろいろ調べるほど関節リウマチの症状に合致することが多く、自分としては関節リウマチであると感じています。 関節リウマチならば早期治療が望ましいようですが、担当医にどのように訴えればいいでしょうか。また抗ccp抗体を下げるのに適した薬はどれでしょうか。

あなたの症状と検査結果からは現在すぐにリウマチの治療を始めなければいけない状態ではないということだと思います。関節リウマチの診断において抗CCP抗体は大変重要なものの一つですが、やはりそれだけで確定するものでは有りません。しかし、抗CCP抗体が陽性であれば、最終的には関節リウマチの診断になることも多いので、しっかりと通院されることをお勧めします。痛み止めを定期的に服用して症状がどう変化したか、朝のこわばりなどがどうか、他の関節にも症状が広がっていないかなども訴えて慎重に診療していただくことが、早期診断につながると考えられます。抗CCP抗体を下げることは有効な抗リウマチ薬、一部の生物学的製剤で報告されていますが、治療において優先されるべき目標かどうかは定まっていません。

Q.21片手の第二関節が時々痛みます。朝方ではなく日中〜夜にかけて断続的に痛みます。大学病院でリウマチの検査として採血をしました。特に異常はないとのことですが経過観察してよいものでしょうか。

治療の進歩によりリウマチは昔のように治らないで進行していく病気ではなくなりました。しかし初めから強い治療をするものでもありません。診ていただいた先生方は経過観察でよいとおっしゃったのでしょうが、それは病気がないという意味ではないと思います。もちろん痛いものをほおって置くというわけではなく、ただ診断がはっきりつかない段階で強い治療はせずに、様子を見、痛みに合わせた薬剤を使って適切な治療を考えてもらうべきです。あまり医師を変えずに信頼できると思った先生に継続して診ていただくのが良いと思います。

(令和2年2月)

Q.2020代の頃から、手や肩の痛みがたまにですがありました。40代になり、その症状は収まっていましたが、最近膝が歩けないほど痛くなり、血液検査をしたら、RFが45、CCP抗体が288で、関節リウマチと診断されました。しかし現在症状が収まりました。CCP抗体の数値が下がるということはありますか?

抗CCP抗体は発病前から陽性であることが知られており、症状がなくても抗CCP抗体が急に下がることは通常ないと思われます。関節リウマチの初期には症状に波がみられることがありますので引き続き経過をみてもらうようにしたほうが宜しいかと思います。

(令和2年1月)

Q.19突発性器質化肺炎で入院、発病から2ヶ月後に関節リウマチと診断されました。大量のステロイドで高熱や全身の関節の痛みはかなり改善。しかし炎症反応はその後も下がりきらず、わずかながら骨びらんも始まっていました。アザルフィジン、シムジアは効果が不十分で、2ヶ月半後からリウマトレックス16mg/週、3ヶ月半後からゼルヤンツを開始、その後検査数値は徐々に良くなり、ステロイドを減量、現在は1.5mg/日までになっています。ただ、発病から4ヶ月で両手の中指などにスワンネック変形が出始め、発病後15ヶ月の現在痛みと動きにくさがあります。医師から中指の手術を勧められていますが、進行が早いので手術後も変形が進んで手術の繰り返しになるのではと不安です。手首にも痛みがあります。手術を急ぐべきでしょうか? また、最近足がとても冷たくて1ヶ月前から指や踵に霜焼け(かゆくはない)のような症状があります。血管に炎症が起きた結果血流が悪くなっていると言われ、血流を良くする薬をもらいました。ネットで悪性関節リウマチで血管に炎症が起きるとありましたが、その可能性はありますか?

リウマチの炎症が落ち着いており、その状態を維持できそうであれば手術自体に問題はないかと思われます。しかし、手術を行うか、またその時期に関しては、日常生活での不便さや手術の内容によりますし、術後にまた変形してしまう可能性はないとはいえないように思われます。そのあたりも踏まえてご担当の医師とよく相談されてください。皮膚症状が血管炎かどうかは、拝見していないので何とも言えません。通常、血管炎はリウマチの関節症状が悪い時期に出ることが多いのですが、可能性がないとは言えません。疑わしければ皮膚生検という検査で診断がつくことがあるので、一度大きい病院の皮膚科を受診されてみては如何でしょうか。

(平成30年2月)

Q.18ここ数か月、朝の手の指のこわばりと痛みがひどく、関節リウマチではないかと心配です。いまは医療機関にかかっている時間がなく、インターネットでいろいろなサイトをみていますが、写真やイラストのような変形が生じるのが特に心配です。 関節リウマチになると、何割くらいの患者に手の変形が生じますか?

関節リウマチでは、早朝から関節の骨と軟骨の破壊がみられ、進行すると関節の変形に至ります。進行のスピードは患者さんによりさまざまです。現在は早い時期に関節リウマチを診断し、有効な治療を開始することにより、多くの患者さんで関節の骨の破壊や変形を防ぐことが可能であり、以前より変形を生ずる患者さんの割合は大きく減少してきています。

ご自身の関節の症状が持続されているのであれば、なるべく早くリウマチの専門医を受診されることをお勧めします。

(平成29年12月更新)

Q.1780歳になる母が、1か月前より、両膝の腫れと強い痛みがあり、最近、関節リウマチと診断されました。しかし、抗CCP抗体は陰性で、リウマトイド因子が高かったと言うことなのですが,抗CCP抗体が陰性に出る関節リウマチはあるのでしょうか?

抗CCP抗体は関節リウマチの特異抗体として診断の目安になり、その精度(感度特異度ともに)がリウマトイド因子より高いことが知られています。しかしそれは相対的なもので100%というわけではありません。ですから患者さんによっては抗CCP抗体は陰性であるがリウマトイド因子は陽性ということはしばしば起こります。(平成29年8月)

Q.1685歳の母ですが、約2年半前から、肩の痛みがじわじわ、微熱とともに、37.2度くらいになり、かかりつけ医に行き薬を処方されましたが良くならず、膠原病の疑いがあると言われました。肩に触れるだけでものすごく痛がり、高熱39度で総合病院に入院。病名はわからず点滴と内服で寛解後退院。自宅でステロイド錠毎日5mg服用、痛みが寛解してましたが、今年1月右手の腫れと痛みで入院、蜂窩織炎と診断され2週間で右手の痛みはあるものの退院。長期ステロイド内服による影響とのことで、2ヶ月前からステロイド内服中止。装具治療後も良くならず、介護の領域だと言われました。痛み腫れはあるものの、本人は右手が使えず困っています、関節リウマチではないでしょうか?

関節の痛みを起こす病気は非常に多いので、ご質問の内容から関節リウマチかどうか判断するのはむずかしいのです。ただ、関節リウマチ自体で39度高熱がでることはまずありませんので、関節リウマチではなく、リウマチに類似した病気の可能はあるかもしれません。右手の腫れについては蜂窩織炎とのことでしたが、関節の症状が続いているようであれば、関節リウマチなど関節炎を起こす病気の可能性も考える必要があるかと思われます。主治医の先生にリウマチの可能性を伺って、もしはっきりしないようなら、一度、リウマチの専門医を受診されることをお勧めいたします。

Q.1584歳の母についてお尋ねします。慢性気管支炎と高血圧でクラリスとアダラートCR内服中でしたが、本年春レビー小体型認知症の診断でパーキンソン症状と認知症の加療開始。9月末から右膝痛で歩行不能。CRP5〜6mg/dlあり、整形外科で変形性膝関節症と診断されるも安静や膝局注でも全く改善せず。CRP6〜8mg/dl、RF高値が持続していました。12月末ALB 4.0から2.7g/dl、Hb14から9.9g/dlまで低下し、CRP13.9mg/dlにて神経内科の主治医が慢性炎症の原因が関節リウマチか偽痛風と考えられると言い、リマチルとセレコックスが開始になりました。リウマチでこんなに消耗するものですか。診断・加療に不安でなりません。

高齢発症の関節リウマチでは、時にCRPがかなり上昇し、発熱を伴うことがあります。しかし、膝のような大きな関節炎が主体で、CRPが著しく上昇し、時間の経過とともに炎症の持続で、貧血(炎症性・消耗性の貧血)や血清アルブミンが低下し、全身的に消耗する高齢者特有のリウマチ類似の病気として、リウマチ性多発筋痛症があります。この病気は高齢者の関節リウマチの前駆症状(前触れ的症状)として発症することもあります。効果的な治療法がありますので、是非ともリウマチの専門の医師と相談してみてはいかがでしょうか。
(平成27年10月)

Q.14突然手の甲が腫れて病院に行ったところ、関節リウマチと診断されました。 いまはメトトレキサートを毎週日曜日に服用していますが、いっこうに改善されず、精神的に追い詰められています。

突然の発症、手の甲が腫れる、といった状況は関節リウマチではないように思われます。高齢者であればRS3PE症候群という自己免疫疾患の一種である可能性もありそうです。診断の確認が大切です。

RS3PE症候群なら少量のステロイドが有効です。リウマチの専門医に診ていただくことをお勧めします。 (平成25年12月/平成29年12月更新)

Q.138か月前に器質化肺炎になり、約3か月のステロイド服用により治りました。しかし肺炎が治りかけた頃から、身体のあちこちが痛くなり、1か月前に関節リウマチと診断されました。主治医は器質化肺炎も膠原病によるものだろうとの事です。主治医からはリウマトレックスの服用を薦められましたが、間質性肺炎などの副作用が怖くて、アザルフィジンの服用から始める事にしました。今のところ効果は感じられません。私のように器質化肺炎を患った患者は、リウマトレックスを使うとやはり間質性肺炎になるリスクは高いのでしょうか?

器質化肺炎はステロイドがよく効く特殊な肺炎です。間質性肺炎の1つですが、原因は不明であり、薬剤(リウマトレックスなど)投与をきかっけに発症することもあるでしょうが、関節リウマチの状態が悪い時にも出現します。したがって、関節リウマチの治療がおろそかになることも良くないと思います。器質化肺炎を過去に経験しているからリウマトレックスを全く使えないということはありません(前回の器質化肺炎はリウマトレックスとは関係なく発症したわけですので)。ただ過去に間質性肺炎がある場合はリウマトレックスの間質性肺炎が起こりやすいという考えもあり、積極的にリウマトレックスの使用を勧められるものでもありません。ただしリウマトレックスは関節リウマチ治療の切り札であり、もし関節リウマチの活動性がコントロールできない(つまり、関節リウマチの状態が悪い)ならば使用することも考えられます。慎重に使用し、もし間質性肺炎の徴候がでたときには、すぐにリウマトレックスをやめてステロイド治療を行うことで間質性肺炎の改善が期待できます。 (平成25年10月)

Q.125年くらい前から両足裏の痛み。一年前から両肩の痛み(五十肩と診断)。1か月前より左ひざ、左足指が時々痛みあり。いまは朝のこわばり(短時間)、前記に加え手首、手指に痛みあり。レントゲン異常なし。腫れなし。すべて左右対称の痛みでは無い。CCP20倍希釈289。リウマトイド因子(RF)定量103。関節リウマチの可能性はありますか?

血液検査だけでなく、関節の症状について専門家に診ていただいて、腫れや圧痛(押したときの痛み)などを正確に判断することが必要です。ただし、ここに書かれた症状と抗CCP抗体陽性、リウマトイド因子(RF)陽性ということは、五十肩の有無とは別に関節リウマチがおおいに疑われると思います。リウマチの専門医、日本リウマチ財団登録医などへの受診をお勧めします。 (平成24年10月/平成29年12月更新)

Q.11膝に水がたまり、1年4ヶ月、1〜2週間に1回治療(わずかな変形性膝関節症と診断)ロカイン1%5ml・デキサート注射液1.65mg・0.5mlを長期の投与、その間、今年8月から、両肩の痛み・頸椎(50肩・頸椎症と診断)これも、同じ薬剤を両肩交互に注射を9回受けました。関節リウマチではないかと尋ねましたが、年のせいと言われ治療してきました。10月末から、膝関節の水が50ml以上となり、混濁があり、血液検査をして関節リウマチと診断されました。 ステロイドの長期投与とリウマチの発症は、関係ありますか?

ご質問のステロイドの長期投与と関節リウマチ発症との関連性ですが、ステロイドの使用が関節リウマチを引き起こすことはありません。質問の内容だけでは、元々、変形性関節症があり、関節リウマチが合併したのか、最初から関節リウマチであったのかは分りません。 (平成24年3月)

Q.1012歳の娘ですが、混合性結合組織病、または若年性特発性関節炎(多関節型)と診断されています。3ケ月ほど前に、足の裏の母指球に内出血が起こり、その後、見た目の炎症はひいたものの痛みが消失せず、その足裏には全体的に浮腫があります。病院では造影剤をいれたMRI検査もしましたが原因を特定できず、いまだ治りません。痛みを軽減する靴の中敷きも作っていただきましたが、中敷きがない時は地面に母子球がつくと痛みがあるので、かかと歩きするようになりました。このような症状で、リウマチや膠原病で予想される病名はありますでしょうか?

混合性組織病では関節リウマチとまったく同様の関節炎となることがあります。多関節型の若年性特発性関節炎では成人の関節リウマチと同じように足の指の付け根の関節は比較的起こりやすい部です。したっがて、お子様の場合も足の親指の付け根の関節に関節炎が起こっていると考えられます。混合性結合組織病か小児リウマチによる関節炎かによって治療法が異なりますので、小児リウマチ・膠原病の専門の小児科医に相談されるとよいでしょう。局所症状を取るために、足底板(中敷き)を使うのはよいことです。
(平成24年2月)

Q.9右ひじの痛みのあと朝に手のこわばりが出るようになり、関節リウマチかと思って検査しましたが、何も異常がないので通常の炎症止めの薬が処方されました。しかし痛みは続いています。 手足の指も痛く、服を着るのもたいへんなときもあり、ペットボトルなどを開けるのが困難です。腫れはありません。血液検査が陰性でも関節リウマチの場合があると聞きました。リウマチ内科を受診するのがいいですか。膠原病専門がいいとも聞きます。

右ひじ、指の関節などの多関節の痛みがあるとのことですが、関節の「腫れ」がなく、血液検査で異常がなければ関節リウマチの可能性はほぼないと思います。特に炎症反応を示す赤沈、CRPが繰り返し2回以上測定しても陰性で、免疫異常をあらわすリウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体も陰性なら、通常はほかの病気を考えます。ただし関節の腫れがあるかないかについては、専門の医師に診てもらい、関節の超音波検査(エコー検査)やMRI検査などでも検査する必要もあるかと思います。そのときには陰性でも、あとになって関節リウマチ関連の検査が陽性になることもありえます。
膠原病では、リウマトイド因子以外にも種々の免疫異常がみられます。それらの異常がまったくない場合、50歳以上の方ですと変形性関節症、40〜50歳代の女性であれば更年期に伴う関節症状などの可能性があります。
いずれにしろ、日本リウマチ財団や日本リウマチ学会のホームページなどから調べて、リウマチや膠原病の専門医(内科系のリウマチ専門医)を受診されることをお勧めします。 (平成24年1月/平成29年12月更新)

Q.8米国から質問です。16歳の時に突然下半身関節の痛みで当時RAと診断。その後、特別な治療はなく一般的な非ステロイド抗炎症薬で緩和。それから10年後に手足の関節の痛みが激しくなり、この時も特別な薬物なしで一年くらいで徐々におさまりました。更に十数年後に今度は頭蓋骨に同じような痛みが現れ当時RAによる急性症状とされ数ヶ月で小康状態になりました。現在50歳、最初に診断されたときから35年間激しい痛みでは無いものの手首や指の関節が日によって痛んだり和らいだりを繰り返し現在に至ります。服薬は市販薬のみで対処できる状態でした。指等の関節の変形や腫れもみられません。最近になり急に左の膝関節が腫れ上がり痛みも激しく関節が腫れたのが初めてでした。ただ動かずに安静にしていると痛みません。医師がRAの病歴があることからRA関連だろうと思っている(まだ検査していない)ようなのですが、こういう長期にわたるRAで急激に重症化して進行していくことがあるのでしょうか?そもそもRAという疾患でこのような経過をたどることがあるのでしょうか?

16歳時に発病された若年性関節リウマチ(現在は若年性特発性関節炎と病名が変わりましたが、俗に小児リウマチと呼ばれます)の方ですが、一見治ったようになっても再発を繰り返します。大人の関節リウマチと同様に小児リウマチも時に頸椎がやられるタイプがあります。そのような場合には首の後ろから後頭部に痛みを自覚します。小児リウマチから大人のリウマチに移行することはよくありますので、現在関節リウマチとして病気の活動性が高いようですのでリウマチ医を受診され、しっかりと評価を行って頂いて、必要な治療を受けることをお勧めします。現在リウマチの治療には画期的な進歩がみられます、関節が変形したり、固まってしまわないうちに、しっかりと必要な治療を是非受けてください。 (平成24年1月)

Q.7約1年半程前から徐々に進行し現在両手指第一関節が曲がっています。特に左手が酷く、中でも薬指の第二関節が1.5倍程にはれて痛みます。更に、左手のひらが最近痛み出し時々激痛が走ります。(70代以上女性)

ご質問の内容では、年齢と手の指の状態から関節リウマチではなく、変形性関節炎(あるいは変形性関節症)であろうと思われます。これは関節局所の加齢による変化であり、個人差が大きく、関節の変形が著明であるにもかかわらず痛みがないとか、関節変形がわずかなのに痛みが強い人などさまざまです。変形性関節炎になった手指の関節変形は持続します。治療は関節の痛みに対するもののみです。しかし、手のひらに激痛がみられるなど、必ずしも変形性関節炎のみでよいか、他の病気によるかの検討が必要です。 (平成23年11月)

Q.6血液検査のリウマトイド因子(RF)定量検査で261という値がでました。一般的には15以下となっていましたが、数値が高ければ高いほど どのようなリスクがありますか。 たとえば、50くらいの人と261の私は同じレベルなのでしょうか? 数値が高いので専門医にすぐ行くべきか悩んでいます。

リウマトイド因子(RF)が高値でも関節の腫れや痛みがなければ関節リウマチではないこともあり、RFの絶対値が高いほどより悪いというわけではありません。極端な例ではRFが1,000を越え続けていても長年まったく症状が出ない人もときどきみかけます。このように、個々の関節リウマチの程度の比較をこの数値で判断することは出来ません(ただしまったく無関係というわけではなく、同一の関節リウマチの患者さんのRF値が時間的に大きく変化する場合にはリウマチの活動性と関係する例も見られます)。

さらに、RFは健康な人でも陽性にでることがあり、年齢とともに陽性率が増加します。

また、ほかの膠原病や肝炎、慢性の感染症などでも高値となることがありますので、もし関節以外に気になる症状、特に皮膚症状や眼の乾燥症状などがあればリウマチ専門医を受診されてはいかがでしょうか。参考までに、関節に腫れを伴った痛みがみられた場合、関節リウマチの分類基準を用いると、RFもしくは抗CCP抗体という検査が正常値の3倍以上の値で陽性の場合には、それ以下で陽性の場合に比べて関節リウマチと診断される可能性がやや高くなります (平成23年11月/平成29年12月更新)

Q.54年程前より、人間ドックでRAテストが「強」陽性です。しかし、他の症状はありません。なぜずっと「強」陽性なのか,どういう理由が考えられるのでしょうか?

RAテスト(リウマトイド因子をみる検査のひとつ)が強陽性ということは、血液中に、免疫に関連する蛋白(免疫グロブリン)に反応する成分(抗体)があるということを示します。この検査は関節リウマチ患者さんの約8割で陽性となりますが、病気も何もない健康な人でも陽性(ときに強陽性)となることがあり、高齢になるほどその割合が高くなります。健康な人で陽性となる意義はわかっていません。また、関節リウマチ以外の膠原病、肝疾患、感染症、悪性腫瘍などでも陽性となることがありますが、4年間症状も何もないとのことですので、これらの可能性も少ないのではないかと思われます。(平成23年7月)

Q.4ここ10年ほど、ときどき関節が痛むので、そのつど検査をしてきましたが、「リウマトイド因子(RF)の数値は高いが治療はまだ必要ない」との診断でした。現在も冬場に関節がたまに痛むくらいで、腫れや炎症はありません。 最近の検査ではRFが102で陽性、抗CCP抗体が29.7で陽性、CRP0.28、抗核抗体が40でしたが、主治医より「現在即治療の必要はない。様子をみましょう」といわれ安心しています。しかしこれからも関節リウマチになりませんか?

リウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体が確実に陽性であり、すでに関節症状が出ていますので、関節リウマチの可能性が高いと思われます。積極的な治療が必要かどうかは、関節痛を認める関節に滑膜性の関節炎があるかによりますので、関節の超音波検査(エコー検査)やMRI検査による評価が必要でしょう。

関節リウマチは、早期であればあるほど、治療効果は十分に期待できます。

(平成23年1月/平成29年12月更新)

Q.3以前、リウマチの検査を行ったところ、関節リウマチではないと診断されたことがあリ、その後も時々痛みがあります。将来リウマチになるのではないかと不安になっていますが、リウマチは遺伝など、元からもっているもののため、一度関節リウマチじゃないと診断を受けたなら、一生ならないという話を聞いたのですが、それは本当ですか?

関節リウマチをはじめとする膠原病は、発症に遺伝が関係しているのは確かですが、いわゆる遺伝病とよばれる、はっきりとメンデルの法則などで示せるような病気(色盲や血友病などのような病気)ではありません。親戚に誰もいない方でも発症する可能性はあります。したがって一度みてもらって違うといわれれば、一生ならないということはできません。しかし、例え病気であったとしても、早く診断することは、病気を軽く抑えられることと大きく関係しますので、心配されているのであれば専門の先生に診ていただいてはいかがでしょうか。

Q.2手指の関節が腫れる「ヘバーデン結節」はリウマチの一種だと、友人はいわれたそうですが、どういう病気で、どんな治療方法があるのですか。

骨、関節、筋肉などのからだの運動に関連した部位に障害をもたらす病気を、まとめてリウマチ性疾患と呼んでいます。これにはたくさんの種類がありますが、その代表的なものが関節リウマチです。

一般の人はしばしばこの両者を混同してリウマチと呼んでいる傾向があります。

ヘバーデン結節というのは、その関節リウマチとは異なる変形性関節症とよばれる関節リウマチではない別の病気の特徴的な症状です。この病気は関節の老化現象で、60歳以上になると80%以上の人のひざ、ひじ、股関節および脊椎にみられるようになります。痛みを伴いながら軟骨の破壊や骨、軟骨の増殖が起こり、関節が変形していきます。

初期には、消炎鎮痛薬を服用したり、湿布薬などでおさまりますが、基本的にその進行を止めることはできません。関節周囲の筋力を増強したり、杖の使用で加重を減らしたりすることも有効です。しかし、さらに進行した場合には、人工関節などの手術も行われます。

(平成29年12月更新)

Q.127歳の女性ですが、関節リウマチの症状があてはまるような状況です。 発病する年齢は、関係ありますか。

関節リウマチが多いのは40〜60歳代の女性ですが、10〜20歳代の女性にもみられ、質問者の年齢で珍しいことはありません。
また、関節リウマチに近いほかの膠原病では10〜20歳代が最も多い病気もあります。
症状だけでの診断は危険ですので、早く専門の先生を一度受診されてはいかがでしょうか。
(平成29年12月更新)