1 非ステロイド抗炎症薬(消炎鎮痛薬)
2 副腎皮質ステロイド(ステロイド)
3 抗リウマチ薬と免疫抑制薬
4 生物学的製剤
5 JAK阻害剤薬
6 骨粗鬆症治療薬

 

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6. 関節リウマチにおける骨粗鬆症治療の原則とその治療薬

 

 

関節リウマチに伴う骨粗鬆症の予防や治療に大切な点は、第一にリウマチ自体の疾患活動性を良い状態に保っておくことです。第二に大切なことは骨粗鬆症の原因となるステロイド薬の減量・中止を医師とともに進めるながら,適度な運動を含めた生活習慣を改善することです。

骨粗鬆症の薬物治療はこれらをベースとした上で開始しますが、いつの時点からお薬を飲めばいいのでしょうか?具体的な例を示します。
例えばステロイド薬を飲んでおらず、またこれまで骨折を起こしたことがなくても,骨密度を測定して「%YAM値(若年成人の平均と比較して自分の骨密度がどのくらいかという数字)」が70%以下であれば薬物治療を開始するのがよいでしょう。また、ステロイドに関してはプレドニゾロン5 mg/日未満の服用であっても,①既存骨折の存在,②年齢が65歳以上,③%YAMが70%未満のうちのひとつでも当てはまれば薬物治療を開始することが推奨されています。

 

 

ここからはわが国で使用できる主な骨粗鬆症治療薬について具体的に解説します。

 

 

ビスフォスフォネート
 

フォサマック®、ボナロン®、ボノテオ®、アクトネル®、ベネット®、ボンビバ®、リカルボン®、リクラスト®といったお薬で、経口薬が中心ですが、月に一度の点滴薬(ボナロン®)、月に一度の静脈注射薬(ボンビバ®)、1年に一度の点滴薬(リクラスト®)もあります。通常の骨粗鬆症のみならず、関節リウマチに伴う骨粗鬆症にもその有効性が確認されています。ただし長期使用時には顎骨壊死や非定型骨折に注意する必要があります。

 

デノスマブ:
 

プラリア®プラリア®というお薬です。破骨細胞の分化をつかさどるRANKLという分子に対する抗体製剤で、骨吸収を抑制することで骨密度を上昇させます。デノスマブも関節リウマチに伴う骨粗鬆症に対する効果が確認されています。もともと骨粗鬆症に対してその使用が可能となっていたのですが,2017年7月に「関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制」に対しても使用できるようになりました。通常、6ヵ月に1回皮下投与するのですが,6ヵ月毎の投与においても骨びらんの進行が認められる場合には,3ヵ月に1回皮下投与することもできます。ビスフォスフォネート製剤と同様に顎骨壊死の発生に注意が必要です。また注意事項として血液のカルシウム値が低下することがあり、デノタスチュアブル®というカルシウム、天然型ビタミンD3、マグネシウムを含んだ錠剤を服用します。

 

テリパラチド:
 

PTH製剤(副甲状腺ホルモン製剤)で骨形成を促進することで骨密度を上昇させます。テリボン®、フォルテオ®といった注射製剤があります。フォルテオ®は連日皮下注射製剤(自己注射製剤)、テリボンは週1回の皮下注射製剤で、ともに使用期間は24ヶ月を超えることはできません。最近、テリボンでも自己注射製剤が使用可能となりました。

 

活性型ビタミンD3製剤:
 

エディロール®、アルファロール®、ワンアルファ®といったお薬があります。日本人のリウマチ患者さんではもともとビタミンDが足りていないという背景があるので、これらの薬剤を服用することで骨粗鬆症に対する効果が期待されます。

 

選択的エストロゲン受容体作動薬(Selective Estrogen Receptor Modulater:SERM):

 

 

エビスタ®、ビビアント®といった経口薬があります。女性ホルモンが低下し閉経を迎えると骨密度が低下することが知られています(閉経後骨粗鬆症)。これらの薬剤はそれを補うという機序で、骨粗鬆症に対して効果を発揮します。ただし、静脈血栓症(ふくらはぎなどの静脈に血栓が生じる疾患で、これがもとでいわゆるエコノミークラス症候群が発症するすることがあります)のリスクが高まるので、寝たきり・座りきりの高齢の方への投薬は避けた方がよいかもしれません。

 

ロモソズマブ:

 

  イベニティ®という2019年1月に承認された新しいお薬です。スクレロスチンという分子に対する抗体製剤で、骨形成を促進し、かつ骨吸収を抑制するという特徴的な作用機序を有するお薬です。月に一度の皮下注製剤で、投与期間は12か月を超えることはできません。閉経後骨粗鬆症患者を対象とした臨床試験では,骨密度を上昇させ,骨折リスクを抑制する効果が報告されていて,関節リウマチに伴う骨粗鬆症に対しても今後大いに期待されています。ただし,副作用として心血管イベントのリスク上昇が報告されており,非リウマチ患者に比べて心疾患合併の頻度が高いとされるリウマチ患者ではこの点に注意すべきです。

      【情報更新】令和2年11月

 

 

 

 

 

 

 

 

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