書籍

関節リウマチの診療マニュアル(改訂版)診断のマニュアルとEBMに基づく治療ガイドライン

編集 越智 隆弘
山本 一彦
龍 順之助
発行日 平成16年4月1日 第1刷発行
発行 財団法人日本リウマチ財団
〒170-0005
東京都豊島区南大塚2丁目39番地7号
ヤマモト大塚ビル5階
TEL:03-3946-3551
FAX:03-3946-7500
定価 5,000円(税別)

目次(一部抜粋)

はじめに

診断のマニュアル
第1章 関節リウマチ(RA)の症状、診断
第2章 関節の診察法
第3章 臨床検査値
第4章 リウマチ性疾患の画像診断(骨・関節)

治療ガイドライン
第1章 総論
第2章 関節リウマチ(RA)の薬物療法総論
第3章 非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)
第4章 ステロイド薬
第5章 抗リウマチ薬
第6章 免疫抑制剤・生物学的製剤
第7章 手術療法総論
第8章 上肢の手術療法
第9章 下肢の手術療法
第10章 頚椎の手術療法
第11章 リハビリテーション

「治療のガイドライン」は、以下のPDFファイルで内容をご確認いただけます。

制作背景 -「はじめに」より
厚生労働省研究班班長 越智 隆弘

関節リウマチ(RA)診療ガイドラインの初版が日本リウマチ財団から発行されたのは平成9年であった。厚生省によるリウマチ科自由標榜認可とともに標準的診療レベルを高める目的で作られ、広く医療現場に届けられてきた。厚生省により平成2年から始められたリウマチ調査研究事業治療班による調査研究の成果というべきものであった。このガイドラインはその後のリウマチ医療現場で活用されてきたが、出版後5年経ってRAの治療はかなり変化した。抗リウマチ薬としてのメトトレキサート、Cyclooxygenase 2 (COX-2)に比較的選択性を示す非ステロイド系消炎鎮痛剤も新たに使用され始めた。これらの薬剤に関する記載を加えなければならない。さらにわが国での生物学的製剤の使用も始まった。そのような背景のなかで、RA治療ガイドラインの改定が企画されていた。

折しも平成11年から厚生労働省により諸疾患に関するエビデンス(EBM)に基づく診療ガイドライン作成研究班の企画が進められた。RAに関しては平成12年から2年間の研究班として始まった。班長として越智隆弘(国立相模原病院、大阪大学)が指名された。薬物療法に関しては山本一彦班員(東京大学)、三森経世班員(京都大学)、高崎芳成班員(順天堂大学)、山中 寿班員(東京女子医大)の各氏、手術療法・リハビリテーションに関しては龍 順之助班員(日本大学)、米延策雄班員(国立大阪南病院)、村田紀和班員(協和会病院)、松野博明班員(桐蔭横浜大学)、石川 肇班員(新潟瀬波病院)の各氏、文献抽出とエビデンスレベルの評価は福原俊一班員(京都大学)、中山健夫班員(京都大学)の各氏にご協力をお願いした。

研究班の作業としてまず必要だったのは、治療項目に関して高いエビデンスがあると評価される論文を整理したエビデンス集を作成することであった。RA治療に関してエビデンスがあるといえる論文の抽出は福原班員、中山班員と近畿病院図書室協議会の図書館員6名の方々によって行われ、方法は別記されている(p54~57,p155~161参照)。

我々は当初、このエビデンス集に則っての新治療ガイドライン作成を考えた。しかしエビデンス集を一見して、そこにあげられた項目だけではRA治療のガイドラインをまとめ得ないことが明らかであった。欧米で新たに開発された薬物に関するエビデンスはたくさんある。しかし、日本で開発された薬に関してはエビデンス集にあがっていない。欧米で開発されたものでも10年以上前から臨床的評価は十分高く、改めて有効性を論じる必要がない優れた治療法がエビデンス集の枠外であった。検討の末、エビデンス集と、筆者がぜひ必要と考えた文献にあがってきた新知見に関する新記載あるいは修正を追加することによってエビデンスを整理して、平成9年に作られた診療ガイドライン(初版)を改訂することが妥当と考えて作業を進めた。

そのような経過のなかで、日本リウマチ財団で診療ガイドライン改訂版の発刊が具体的に企画されることになった。しかし、治療ガイドラインだけでは十分ではなく、診察のガイドラインの項は必須である。そして、初版と同様に齋藤輝信先生、鳥巣岳彦先生、松井宣夫先生に再び改訂版のご執筆をお願い申し上げた。ただ、臨床検査に関して、初版のご執筆をいただいていた東威先生は聖マリアンナ医科大学をすでにご退任されていたので、最近数年での進歩が多いこの項は広畑俊成先生に執筆をお願いした。

ご覧いただけるように立派な改訂版が完成したが、これは多くの方々のお力によってでき上がったものである。今後さらに、どんどん進歩することはいうまでもない。また5年後には改訂が必要であり、その時はさらに立派なものができることを確信しながら、診療ガイドライン改訂版が実現したことに筆者一同大きな喜びを感じている。