国際学会におけるリウマチ性疾患調査・研究発表に対する 助成者報告書(APLAR 2023)

 

名古屋大学医学部附属附属病院 小早川整形リウマチクリニック 看護師 永井薫

2023年12月7日から11日までにタイのチェンマイで「Together Towards Tomorrow」をテーマに開催されたAPLARに現地参加してまいりました。アジア太平洋リウマチ学会連盟 (APLAR) は、1963 年にシドニーで設立され当初4 つの建国国で始まり現在では 32カ国のリウマチ学会会員を含むまでに規模が拡大しAPLAR ネットワークには 25,000 人以上のリウマチ専門医が所属しています。今年の学術集会は現地参加のみであり、多くの関係者が参加しました。日本からも日本を代表する著名な医師、P Tが参加していました。残念ながら看護師は私だけでありましたが「Current Status of “Rheumatology Care Nurses” in Japan」(日本における「リウマチケア看護師」の現状)「Physical abilities related to falls in patients with rheumatoid arthritis」(関節リウマチ患者の転倒に関連する身体能力について)の2演題についてポスター発表を行いました。学会全体でも看護師のセッションや発表は少なく、まだ看護師の必要性や役割は認知が低いようでした。日本では日本リウマチ財団による「リウマチケア看護師」の制度は平成22年から作られ、他職種と連携・協働して医療技術の進歩と医療 水準の向上を図り、系統的治療・ケアにより、国民の健康と福祉に貢献することを目的 とし活動しています。資格を継続するためにリウマチについて学び単位を獲得し知識を更新していくシステムです。しかしながらこの資格を取っても、大学病院、総合病院では部署の配置換えがあり継続的に関わることができないのも現状です。その一つの理由として現状、リウマチケア看護師の資格のある看護師が患者さんに指導などで関わっても「指導加算」が取れないことが挙げられます。リウマチ看護は自己注射指導、薬剤指導、S D Mへの関わり、妊娠前後の患者への関わりなど専門的な知識が必要ですので今後、リウマチケア看護師の関わりにより取れる加算ができリウマチ患者さんにレベルの高い看護を提供できるようになることを切望します。「Physical abilities related to falls in patients with rheumatoid arthritis」(関節リウマチ患者の転倒に関連する身体能力について)では名古屋大学病院のリウマチ患者240人の身体テストの結果から、椅子から立ち上がる動作に時間がかかる患者、歩幅が狭い患者が転倒のリスクが高いことを発表しました。転倒・骨折は介入により予防が可能です。リウマチ患者さんの健康のために看護師もそれらの項目に着目し具体的な転倒防止についての介入をことが効果的だと考えます。

この度は学会発表に際し日本リウマチ財団よりご支援を賜りましてありがとうございました。感謝申し上げます。