リウマチを知ろう!

関節リウマチ

関節リウマチの診断

 一般的に関節が腫れる、あるいは痛む場合には関節リウマチを考えやすいですが、実は関節が腫れて痛む病気はとてもたくさんあります。例えば関節リウマチ以外の、膠原病という疾患群でも関節リウマチと同じような関節の腫れが起きることがあります。また、ある種のウイルス感染や変形性関節症などでも同様の症状がおこることがあります。

 関節リウマチの診断は、何か特別な指標があれば“この状態は関節リウマチです”と言えるような確実なものがありません。例えばがん細胞の塊の存在が分かれば“これは〇〇がんです”と言えますが、関節リウマチの場合そのような明確な検査や指標がないため、他の病気にあるような“診断基準”がないのです。上記のような、とてもたくさんの似たような病気の中から“この状態は関節リウマチです”と選り分けるために診断基準ではなく、分類基準というものを使って関節リウマチの診断を行っています。

 最近は治療薬の進歩により関節リウマチの進行を抑えることが可能となりました。そのため、発病してなるべく早い時期に診断して、治療を始めることが重要になってきました。関節リウマチの診断には、長い間1987年の米国リウマチ学会による分類基準が使われてきました。しかしこの基準では早期の患者さんを関節リウマチと診断できないことが多く、早期診断には適していませんでした。このような状況から、2010年に米国および欧州リウマチ学会が合同で新しい分類基準を発表しました(表)。この基準では、少なくとも1つ以上の関節で腫れを伴う炎症(滑膜炎)がみられ、その原因として関節リウマチ以外の病気が認められない場合に、

  1. 症状がある関節の数 —–罹患関節数
  2. リウマトイド因子(RF)または抗CCP抗体 ——血清学的検査
  3. CRPまたは赤沈値 —–急性期反応物質
  4. 症状が続いている期間 —–症状の持続期間

の4項目についてのそれぞれの点数を合計し、6点以上であれば関節リウマチと診断、抗リウマチ薬による治療を開始することになっています。日本リウマチ学会でもこの基準が検証され、早い時期での関節リウマチの診断に役立つことが示されました。ただし関節リウマチ以外の病気でも合計6点以上になってしまうことがあるため、点数をつける前に他の疾患の可能性がないか十分に検討する必要があります。

関節リウマチ分類基準(2010 ACR/EULAR)

対象患者
1.1カ所以上の関節に明らかな滑膜炎(腫脹)を認める
2.滑膜炎の原因として他の疾患によるものが除外できる
罹患関節数 点数
大関節1カ所 0
大関節 2~10カ所 1
小関節1~3カ所(大関節罹患の有無を問わない) 2
小関節4~10カ所(大関節罹患の有無を問わない) 3
11カ所以上(1カ所以上の小関節を含む) 5
血清学的検査 点数
RF陰性かつ抗CCP抗体陰性 0
RF低値陽性または抗CCP抗体低値陽性 2
RF高値陽性または抗CCP抗体高値陽性 3
急性期反応物質 点数
CRP正常かつESR正常 0
CRP異常またはESR異常 1
症状の持続期間 点数
6週未満 0
6週以上 1
  • 大関節とは肩、肘、股、膝、足関節を指す。
  • 小関節とは手関節、2-5指PIP・MCP関節、母指IP関節、2-5趾MTP関節を指す。
  • 2-5指DIP関節、母指CM関節、母趾MTP関節は評価対象から除外する。
  • RFと抗CCP抗体は正常上限以下を陰性、正常上限以上で正常上限値の3倍以下を低値陽性、正常上限値の3倍以上を高値陽性として採点する。

【情報更新】令和4年10月