1.非ステロイド抗炎症薬(消炎鎮痛薬)
2.副腎皮質ステロイド(ステロイド)
3.抗リウマチ薬と免疫抑制薬
4.生物学的製剤

5.JAK阻害剤薬

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4.生物学的製剤
 

生物学的製剤とは化学的に合成したものではなく、生体が作る物質を薬物と使用するものです。現在日本で関節リウマチに使用できる生物学的製剤は7剤あります。腫瘍壊死因子(TNF)という分子と結合してその作用を抑制するもの5剤あり、キメラ型抗TNFモノクローナル抗体(マウス蛋白を25%含有)であるインフリキシマブ、可溶性TNFレセプターとヒトIgGとの融合蛋白であるエタネルセプトおよび完全ヒト型抗TNFモノクローナル抗体のアダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブで、それぞれレミケード、エンブレル、ヒュミラ、シンポニー、シムジアという商品名で使用されています。もう1剤は、IL-6のレセプターに対する抗体製剤であるトシリズマブ(商品名:アクテムラ)で、2008年4月に承認され使用されています。

レミケードはメトトレキサート(MTX;商品名リウマトレックス/メトレート)が無効ないし効果不十分な患者様にMTXと併用することになっています。通常開始して1~2週間で炎症反応(CRPなど)が改善し、痛みや関節の腫れも引いてきます。また骨破壊の進行も止めることが分かっており、将来の関節の変形を予防できることが期待できます。また、改善した後で中止しても良い状態(寛解)が維持できる場合があり、ほぼ治癒に近い状態に導ける可能性もあります。投与方法は、点滴静注(2時間以上かかる)で、2回目は2週後、3回目はその4週後、4回目以降は8週毎になります。

エンブレルは皮下注射製剤で、週に2回皮下注射します。はじめは医師が行うことになっており、週2回の通院が必要です。以後は訓練して自己注射ができるようになれば、通院は2週に1回で済みます。レミケードと異なるもう一つの点は、MTXと必ずしも併用しなくてもよいことです。MTXが何らかの事情で使用できない場合でもエンブレルを使用できますが、効果を期待するならば併用する方が望ましいとされています。

ヒュミラも皮下注射製剤ですが、エンブレルと異なり注射の頻度は2週間に1回となっています。エンブレルと同様MTXとの併用は必須ではありませんが、やはり併用した方が有効性は高いです。

アクテムラは点滴製剤で、1回の点滴時間は約1時間とレミケードよりやや短いですが、4週間に1回点滴します。MTXとの併用は特に必要はありません。最近、皮下注製剤が承認されました。

これら生物学的製剤にはいくつかの注意すべき副作用がありますが、特に重要なものは感染症とアレルギーです。中でも結核は重要で、ツベルクリン反応陽性など結核感染の既往があると思われる方は抗結核薬をのみながらこの治療を受けるべきとされています。これにより結核は防止できます。結核以外では、種々の病原体による肺炎が約3%(100人に3人)に起こります。咳や発熱などの症状があればすぐに主治医に連絡し胸部レントゲン撮影をするべきです。インフルエンザや肺炎球菌のワクチンはなるべく受ける方がよいと思います。アレルギー反応については、特にレミケードでは製剤中にマウスの蛋白を含みますので強いアレルギー反応が起こることがあります。これを抑えるためにレミケードではMTXを併用します。一方のエンブレルはヒトの蛋白でできているので、重篤なアレルギーは少ないと言われています。軽度の注射部位反応(注射部位が赤くなったりかゆみがでたりすること)がしばしば認められますが、通常抗アレルギー薬を併用するなどしてエンブレルを継続できます。ヒュミラについてもレミケードやエンブレルと同様の注意が必要と思われます。アクテムラも感染症とアレルギー(まれにアナフィラキシーという重篤なものもある)には他の製剤同様注意が必要です。それ以外ではIL-6を抑制するということから、他の3剤にはない有害事象がみられます。最も特徴的なものは血清コレステロール値の上昇です。これによって心血管系の疾患(脳血管障害や虚血性心疾患など)の増加が将来懸念されており、スタチン系薬などによるコントロールが必要となることがあるかもしれません。あとは白血球の減少が時にみられますが、ほとんど臨床的に問題にはなることはありません。
これら生物学的製剤は、他の従来の抗リウマチ薬にあるような臓器障害(血球減少、肝障害、腎障害など)はほとんどなくその点ではむしろ安全ともいえます。

 

 

 

アダリムマブ (商品名:ヒュミラ)
  アダリムマブ(商品名:ヒュミラ)はTNFαという分子と特異的に(TNFαとのみ)結合し、TNFαの作用を阻害するモノクローナル抗体です。TNFαは関節リウマチ(RA)の関節炎や骨の破壊に関係している重要な分子です。したがって、この働きを阻害すれば、関節の痛みや腫れが軽くなり、さらに骨の破壊が抑制されて、将来関節が変形するのを防いでくれる画期的な薬物です。TNFαを阻害するRAの治療薬としては、日本でもすでに2003年7月にインフリキシマブ(商品名:レミケード)、2005年3月にエタネルセプト(商品名:エンブレル)が発売され、使用されています。ヒュミラは3番目のTNFα阻害薬として2008年4月に承認されました。いずれの薬剤も関節炎を抑える効果は抜群で、RA治療の基本的薬剤で、強力な抗リウマチ薬であるメトトレキサート製剤(以下MTXと略します;商品名でリウマトレックス、メトレートなどのことです)でも効果が不十分な患者様に、これらの抗TNF製剤のいずれかを併用すれば、関節炎の症状が治まるだけでなく、骨の破壊を抑えることによって将来の関節の変形も防止できることが言われています。

表1 RAの治療に使用されるTNFを標的とした生物学的製剤
 
インフリキシマブ
(レミケード®
エタネルセプト
(エンブレル®
アダリムマブ
(ヒュミラ®
標的分子
TNFα
TNFα/β
TNFα
製剤
キメラ型
モノクローナル抗体
可溶性TNF受容体とIgGのリコンビナント融合タンパク
ヒト型
モノクローナル抗体
作用機序 ・TNFαの中和
・TNFα産生細胞傷害
・TNFα/βの中和 ・TNFαの中和
・TNFα産生細胞傷害
用法
点滴静注
0,2,6週目と
以後1回/8週
皮下注
2回/週
皮下注
1回/2週
MTXとの
併用
必要
しなくてもよい
しなくてもよい
1回の用量
3 mg/kg
25 mg
40 mg
国内での状況
2003年7月発売
2005年3月発売
2008年6月発売

これら3剤の違いについて解説します(表1)。
レミケードは、キメラ型モノクローナル抗体で、TNFαと結合する部位のみがマウスの蛋白質からなり、その他はヒト由来の蛋白で、遺伝子工学によって2種の蛋白を合体したものです。全体の25%がマウス蛋白なので、ヒトにとっては本来の体にはない異物と認識されるために、アレルギー反応がおこることがあります。このためアナフィラキシー(急性のアレルギー反応で血圧の低下やショック状態を起こす)と呼ばれる、生命にも関わる可能性がある強いアレルギー反応も、0.5%程度ですが、起こりえます。また連用しているとレミケードに対する抗体(抗キメラ抗体)ができて、効果がうすれてくることがしばしばあります。このアレルギー反応や抗キメラ抗体の産生を抑えるためにMTXと必ず併用します。したがって、MTXがどうしても服用できない患者様はレミケードも使用できません。

エンブレルは、TNF受容体という蛋白とヒトの免疫グロブリンという蛋白の一部を人工的につなぎ合わせたもので、すべてヒト蛋白でできています。マウス蛋白がないので抗キメラ抗体はできないため、MTXとの併用は必ずしも必要ではなく、単独でも使用できます。アナフィラキシーはほとんどありませんが、局所の発赤やかゆみなどの軽いアレルギー反応は多くみられ、時に全身のかゆみやじんましんなどの強いアレルギー反応や効果の減弱がみられます。MTXとの併用で、アレルギー反応も抑えられ、RAに対する効果も強くなることが知られていますので、できればMTXと併用で使用した方がよいでしょう。またレミケードと異なり、皮下注射で使用します。半減期(体内での薬の濃度が半分になる時間)が4日と短いため、1週間に2回の注射が必要で、多くは患者様自身がトレーニングを受けて自己注射で使用します。

ヒュミラはレミケードと同様のモノクローナル抗体製剤なので、エンブレルとは異なり、TNFβとは結合(中和)せず、TNF産生細胞上の膜型TNFαと結合し、その細胞を壊す作用があります。レミケードとの違いは、マウス蛋白を含まないことと、皮下注製剤であることです。このためMTXは併用不要で単独での使用が認められています。しかしマウス蛋白を含まなくても、中和抗体(抗アダリムマブ抗体)が欧米では17%、国内の治験では約40%の患者にみられたと言われており、効果の減弱やアレルギー反応がみられる可能性があります。したがって、他の製剤と同様にMTXとの併用が推奨されます。ヒュミラの投与方法は皮下注ですが、エンブレルと異なり半減期が長いため2週間に1回でよく、エンブレルの週2回と比較して使用しやすいと思います。注射した部位に発赤やかゆみなどが時々みられますが、通常軽度で、使用を継続することは可能です。

有害事象では、3つの抗TNF製剤に共通して結核などの感染症(特に肺炎)が多いことに注意が必要です。ニューモシスチス肺炎という特殊な真菌(かびの1種)による肺炎が、レミケードやエンブレルを使用した患者で報告されており、ヒュミラについても市販後注意が必要です。発熱や咳などの症状がつづく場合は、早めに主治医にご相談ください。

 
  トシリズマブ (商品名:アクテムラ
  2008年4月16日、我が国で開発されたヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体のトシリズマブ(商品名:アクテムラ)の適応追加が承認されました。この生物学的製剤は「従来の治療で効果不十分な、関節リウマチ、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎全身型若年性特発性関節炎」への適応が追加承認されました。  今回、「関節リウマチ」に対して追加承認されたトシリズマブは、炎症を引き起こす物質であるIL-6(インターロイキン-6)の活性を抑制することで関節の炎症を改善し、全身症状(関節変形・破壊から生じる機能障害、疲労、貧血、骨粗鬆症など)を緩和します。国内の臨床試験では、関節リウマチの主要薬であるメトトレキサート(商品名:リウマトレックスほか)の使用で効果が不十分な症例に対して、トシリズマブは、単独投与でも有効性を示しました。また、骨・関節破壊の進行抑制効果も確認されています。  今回の適応追加で、トシリズマブの使用頻度は増えるものと予想されます。主な副作用は、鼻咽頭炎や血清コレステロール増加など、軽度のものが多いのですが、注意すべき重篤な副作用として、第一に感染症があげられます。血液検査所見上、感染症が起こっても、CRP値の上昇がみられないことから発見が遅れることが危惧されているのです。その他の重篤な副作用として、アナフィラキシーショック、腸管穿孔、好中球数減少および心不全などが報告されています
   
 
  ゴリムマブ (商品名:シンポニー)
 

関節リウマチでは、TNFという免疫に関連する物質が過剰につくられ、炎症や関節の破壊を引き起こす主要な原因となることが知られています。このTNFを標的として直接その働きを抑えるTNF阻害薬は、生物学的製剤のひとつで、もともとヒトのからだに存在する抗体や受容体などのタンパク質を生物学的な手法を用いて人工的に作った薬物です。TNF阻害薬はすでに関節リウマチ治療に用いられ、関節症状を抑えるだけでなく、骨や軟骨破壊の予防作用があり、高い有効性が認められています。

ゴリムマブ (商品名:シンポニー)は、インフリキシマブ(商品名:レミケード)、エタネルセプト(エンブレル)、アダリムマブ(ヒュミラ)に続く国内で4番目となるTNF阻害薬です。表にそれぞれのTNF阻害薬の特徴をまとめしました。レミケード、エンブレル、ヒュミラの違いについてはヒュミラの項に記載されていますので、ここではシンポニーについてお話します。

シンポニーは、メトトレキサート併用時は1回50mgを、メトトレキサートが併用されていない、あるいは併用していても50mgで効果が不十分なときには100mgを、4週に1回皮下注射で投与します。他のTNF阻害薬と同様に、メトトレキサートと併用したほうがより強い効果がみられます。皮下注射は医療機関で行われ、エンブレルやヒュミラで行われている自己注射はできません。シンポニーの溶解液は中性で刺激が少なく、注射時の痛みが強くないとされています。国内の治験(承認前の臨床試験)では、注射をした部位が赤くなったり腫れたりする注射部位反応が少ない傾向がみられました。シンポニーは、レミケードやヒュミラと同じ抗体製剤ですが、新しい生物学的手法でヒトの抗体と同じ構造になるよう作られています。抗体製剤はしばしばヒトの体にとって異物とみなされるため、これを排除するために中和抗体というものが身体のなかで作られてしまい、効果が弱まってしまうことがあります。しかし、シンポニーの治験では、中和抗体はほどんど認められませんでした。さらに、投与開始1年後も85%の患者さんでシンポニーが継続されていたことから、効果がよく持続する薬剤と考えられています。その他の副作用に関しては、治験の結果からは他のTNF阻害薬と大きな違いはなく、特に感染症に対しては十分に注意が必要です。

 

   
 
  バタセプト(商品名:オレンシア)
 

2010年7月23日、関節リウマチ治療薬のアバタセプト(商品名:オレンシア点滴静注用250 mg)が製造承認を取得しました。適応は、「関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)」で、1回当たり500 mgから1 g(患者の体重によって異なる)を、初回投与後は2週目と4週目、以後は4週間ごとに点滴静注します。

関節リウマチの治療目標は、関節炎による疼痛の軽減、関節破壊の防止、関節機能の維持によって、患者の身体的、精神的、社会的な生活の質の向上を図ることとされています。そして、治療の中心となるのは薬物療法であり、免疫抑制薬を含む抗リウマチ薬、非ステロイド抗炎症薬、副腎皮質ステロイドなどが使用されます。また近年では、インフリキシマブ(商品名:レミケード)などの腫瘍壊死因子(TNF)α阻害薬や、インターロイキン-6(IL-6)受容体抗体であるトシリズマブ(商品名:アクテムラ)など、生物学的製剤の有用性が認められています。

今回、承認されたアバタセプトは、既存薬とは異なる新しい作用機序を有する生物学的製剤です。抗原提示細胞とT細胞間の共刺激シグナルを阻害し、関節リウマチの発症に関与するT細胞の活性化を抑制することから、「T細胞選択的共刺激調節薬」と呼ばれています。従来の生物学的製剤と比べ、より上流で作用するのが特徴で、その作用機序から、従来薬では十分に効果が得られなかった症例にも有効なのではないかと期待されています。海外では、2005年12月米国で承認されて以降、2010年7月現在、世界50カ国以上で承認されています。米国では生物学的製剤の第一選択薬として用いられていますが、欧州では第二選択薬として使用されています。

 国内の臨床試験では、約80%の症例に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められています。主な副作用は、上気道感染(34.1%)、上気道の炎症(10.8%)、口内炎(9.0%)、発疹(6.7%)、高血圧(5.8%)などであり、臨床検査値異常は、リンパ球減少(12.6%)、血圧上昇・白血球増加(各11.7%)、ALT増加(9.0%)、血圧低下(6.3%)、尿中白血球陽性(5.8%)などでした。重大な副作用としては、重篤な感染症や過敏症、間質性肺炎などの報告があります。

 

 

【情報更新】平成25年7

  セルトリズマブ・ペゴル (商品名: シムジア )
 

セルトリズマブ・ペゴル (商品名: シムジア Cimzia )は、関節リウマチ(RA)に対して適応となった5番目のTNF阻害薬です。2012年12月25日に製造販売承認を得て、2013年3月8日に発売され、メトトレキサート(MTX)などの既存治療で効果不十分なRAが適応となります。

一般に抗体分子は結合する相手となる抗原と結合する部位を含んでいるFabと補体が結合するFcという二つの部分が合わさった構造をしています。

シムジアは、ヒト化TNFモノクローナル抗体のFab’断片(抗体分子のFc部分を切り離したもの)をポリエチレン・グリコール(PEG)という化学物質と結合させた(PEG化した)特殊な製剤です。すなわちシムジアは、今までのTNF阻害剤と異なる3つの構造上の特徴があります。①PEG化、②Fc部分がない、③1価(1分子の抗原とのみ結合可能)の3つです。

まずPEG化によって、生体内での分子としての安定性を高め、抗原性や免疫原性を低下させ、糸球体濾過を減少させることなどにより、血漿消失半減期が延長し、より長い時間薬物が血中に留まる(効果の持続性)。また、皮下投与時の吸収を高め、病変局所に薬剤が移行しやすい、などの特徴ももたらすため、投与後の速やかな効果発現が期待できます(即効性)。

次に、Fcがないため、いろいろな反応に変化が出ます。まずTNFを産生する細胞の傷害をきたさないため、従来の抗TNF抗体製剤とは異なり、薬剤フリー寛解(薬剤を止めても寛解が続くこと)が得られにくいかもしれません。一方でFcが無いことで胎盤を通過することができないので胎児にはほとんど影響がないこと、さらに乳汁移行性も低いと言われており、妊婦や授乳婦にも胎児や新生児への影響がなく投与できる可能性があります(しかし、その安全性はまだ立証されていません)。

またFcの部分は補体の他、アレルギーを起こす肥満細胞の表面とも結合しますが、このFcがないことから肥満細胞からの脱顆粒も理論的に起こらないはずですので、投与部位反応の緩和につながると期待されます。

シムジアを承認用量(0週、2週、および4週に400 mg)で皮下投与した後、ピーク血漿濃度の平均値(Cmax)は5週目で43~49 μg/mL、生物学的利用率は約80%(76~88%)と高く、即効性を期待させる成績です。

シムジアの排泄経路は、主として腎臓から尿としての排泄であると考えられています。この薬が体内に留まることに影響を与える因子としては、体重および抗シムジア抗体が言われています。臨床試験の1509例中105例(7%)で抗シムジア抗体が認められ、そのうち39例(3%)が中和抗体(効果減弱をきたす抗体)であることが確認されています。MTX(メトトレキサート)の併用は抗シムジア抗体産生を低下させるため、シムジアの血漿濃度レベルを高く維持して効果を高めると期待されます。

臨床的な有効性については、多くの臨床試験で証明されています。中でも、海外で実施された、MTXで効果不十分なRA患者を対象としたRAPID1とRAPID2という臨床試験では治療開始1週よりACR20、DAS28(ESR)およびHAQ-DIスコア(それぞれリウマチの重症度の判定法)で有意な改善を示し、効果発現の早さが注目されました。関節の破壊の進行の抑制効果も16週時点からみられました。さらに、有効性の長期維持効果についても、同じ試験で52週時のACR改善率が高く維持されることが示されています。海外で行われたREALISTIC試験では、MTX使用歴やTNF阻害薬での治療歴の有無、また罹病期間(2年未満または2年以上)にかかわらず、同様に有効であることがわかりました。また、先のRAPID1試験では、職場や家庭の労働生産性の改善効果が示され、患者の労働損失による間接的コストの削減につながることが示唆されており、高価な薬剤費が問題となる中で、総合的にみて医療経済的効果はあると言えそうです。 

安全性では、やはり感染症が最大の問題です。感染症の発現頻度は臨床試験のデータからは0.91/患者・年(プラセボ(偽薬)投与群で0.72/患者・年)と有意に高かったようです。重篤の感染症の発現頻度は0.06/患者・年(プラセボ投与例で0.02/患者・年)でした。他の生物学的製剤同様、結核やB型肝炎の事前スクリーニングを実施し、感染症合併例やB型肝炎キャリア、非結核性抗酸菌症には投与しないこと、投与中はニューモシスチス肺炎などを含めた感染症合併に注意することが重要です。

 

 

【情報掲載】平成25年12月

 

 

 

バイオシミラー

 

バイオシミラーとは?

 

 遺伝子組換え、細胞融合、細胞培養などのバイオテクノロジーを応用して製造されたタンパク質性医薬品であるバイオ医薬品(生物学的製剤)は、人体が自然に産生する分子と化学構造が似ています。これらは、多くの病気においても高い治療効果があると同時に,病気の診断にも役立っています。

 関節リウマチに対しては2003年から国内での使用が開始され、2016年11月現在8剤があります。バイオ医薬品の恩恵により,多くの患者がより健康的な生活を送ることができるようになってきています。
 これらバイオ医薬品の特許が切れた後に、別の会社が先行品(先行バイオ医薬品)と同等/同質の品質、有効性、安全性が確認され、先行バイオ医薬品と「類似」のものとして承認された医薬品を、バイオ後続品と言います(薬食発第0304004号通知、平成21年3月4日)。欧州では、生物を意味する「バイオbio」に、「類似の」を意味する「シミラーSimilar」をつけて、「バイオシミラー」(biosimilar products)と呼ばれ、現在日本においてもこれが一般的な呼称となっています。
 バイオシミラー(バイオ後続品)は、化学合成医薬品のいわゆる「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」とは異なります。バイシミラーは、分子量が大きく構造が複雑であることから、化学合成医薬品と異なり、先行バイオ医薬品との有効成分が全く同じであるとはいえません。そのため、品質、安全性、有効性において、先行バイオ医薬品と同等、同質であるかの検証が求められます。

 バイオシミラーは、先行バイオ医薬品と完全に同じでないため、①最終製品として有効性・安全性に問題がなく、また、先行バイオ医薬品と同等/同質であることを証明するための臨床試験を行なうこと、②独自の製造工程を確立すること、③安全性の確認のため、製造販売後に安全性プロファイル等について引き続き調査を行なうことが義務付けられています(薬食審査発第0304007号通知;平成21年3月4日)。

 バイオシミラーの一般的名称は、先行バイオ医薬品の末尾に「後続1(2、3、・・・)」を括弧書きで追加し、販売名は、先行バイオ医薬品の一般的名称の末尾に、バイオシミラーであることを示す「BS」を記載し、これに剤形、含量および会社名(屋号等)を付すことが原則となっています。(薬食審査発第0214第1号通知;平成25年2月14日)

  先行品 一般的名称:インフリキシマブ(遺伝子組換え)製剤
  後続品 一般的名称:インフリキシマブ(遺伝子組換え)[インフリキシマブ

            後続1]製剤
  後続品 販 売 名: インフリキシマブBS点滴静注用100mg「○○」

 2014年11月に関節リウマチの治療薬として、国内で初めて承認されたバイオシミラーは、TNF-αという物質の働きを阻害するインフリキシマブのバイオシミラーです。 インフリキシマブのバイオシミラーの効果は、先行品とほぼ同じであることは日本で行われた臨床試験で確認されています。投与方法は、先行品と同じように、8週間に1回、2時間以上かけて点滴、また、抗リウマチ薬のメトトレキサートを必ず併用します。

 バイオ医薬品は治療効果の高い薬ですが、医療費が高額となり患者さんの負担が大きくなります。治療を継続するために経済性に目を向けたとき、価格が先行バイオ医薬品の約70~77%であるバイオシミラーは、選択肢のひとつになります。バイオシミラーで治療ができるかは医療機関により異なります。詳細は主治医に相談するようにしてください。

 

【情報掲載】平成29年1月

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