1.非ステロイド抗炎症薬(消炎鎮痛薬)

2.副腎皮質ステロイド(ステロイド)
3.抗リウマチ薬と免疫抑制薬
4.生物学的製剤
5.JAK阻害剤薬

6.骨粗鬆症治療薬

 

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5.JAK阻害薬   

 

 

JAKとは

 

 細胞の外から様々な刺激を細胞内に伝えるために働く酵素群はキナーゼと呼ばれ数多くの種類が存在しますが、JAKはこのうちのひとつであるヤヌスキナーゼ(Janus kinase)の略称で、JAK1、JAK2、JAK3、TYK2の4種類があります。
関節リウマチでは、炎症が起きている関節内に白血球など免疫に関与する細胞が多数みられますが、サイトカインという物質がこれらの細胞を活性化して炎症を引き起こしています。サイトカインは細胞の表面にあるサイトカイン受容体に結合することにより細胞に刺激を与えますが、その刺激は細胞内に伝わって細胞の中心にある核に到達します(図を参考にしてください)。その結果、核内ではDNA合成が盛んに行われ、細胞が増えたり炎症を起こす様々な物質をつくったりするようになります。JAKは細胞のなかでサイトカイン受容体に結合し、サイトカインによる刺激を下流に伝える重要なキナーゼです。

 

 

 

 

  1. 生物学的抗リウマチ薬とJAK阻害薬はどう違うか

 

 

 

 生物学的抗リウマチ薬は、例えばエンブレル(エタネルセプト)はTNF、アクテムラ(トシリズマブ)はインターロイキン(IL)‐6といったようにそれぞれの薬剤が1種類の特定のサイトカインを細胞の外でブロックすることにより、細胞に炎症を起こす刺激が入らないようにします。これに対して、JAK阻害薬は複数の種類のサイトカインに対して、サイトカイン受容体からの刺激を細胞のなかで遮断して炎症を抑えます。また、生物学的抗リウマチ薬が注射剤で週1回など間隔を空けて投与されるのに対して、JAK阻害薬は毎日内服する経口薬です。

 

 

 

 

  1. どのようなときに使用するか

 

  メトトレキサートなどの抗リウマチ薬が効果不十分な場合には、生物学的抗リウマチ薬、もしくはJAK阻害薬が用いられます。また、生物学的抗リウマチ薬が効果不十分な場合にも用いられ、TNF阻害薬が効果不十分な患者さんで有効であることが報告されています。JAK阻害薬開始前には、現在および過去の結核やウイルス性肝炎などの感染症の有無、肝臓や腎臓の機能などについての検査を行います。副作用を明らかにするため、これまでに発売されたすべてのJAK阻害薬で全ての患者さんに対する市販後調査が行われていますが、日本リウマチ学会によるJAK阻害薬の全例市販後調査のためのガイドラインでは、十分量のメトトレキサートを3カ月以上継続しても効果が十分でない活動性の関節リウマチに対して投与することが推奨されており、感染症の危険性が高い、腎機能障害・間質性肺炎などで安全性の面からメトトレキサートが使用できない場合には原則として投与しないことが望ましいとされています。

 

  1. JAK阻害薬の特徴

 

 

JAK阻害薬は、関節リウマチによる関節の腫れや痛みなどの炎症を抑える作用があり、その効果は生物学的抗リウマチ薬とほぼ同等かそれ以上とされています。また、関節破壊の進行を抑える作用も生物学的製剤と同様に認められています。副作用としては、感染症(結核、帯状疱疹、肺炎、敗血症などの重篤な感染症を含む)、肝機能障害、白血球の減少、貧血、消化管の穿孔、血液中のコレステロール値の上昇などがみられることがあります。感染症が起こる率は生物学的抗リウマチ薬と同じ程度とされていますが、帯状疱疹に関してはJAK阻害薬治療中に特に起こりやすいことがわかっているため注意が必要です。帯状疱疹では、皮膚のビリビリする痛みや小さい水疱の集まりがみられますので、これらの症状があれば早めに医療機関を受診する必要があります。また、これまでのところ関節リウマチでJAK阻害薬により悪性腫瘍が増えるとの報告はありません。JAK阻害薬の種類による効果や副作用の大きな違いはないと考えられています。

 

 

  1. JAK阻害薬の種類
  2.  

 

  1. ゼルヤンツ(一般名トファシチニブ)
 
 2013年7月に発売された最初のJAK阻害薬です。JAK1,JAK2,JAK3のすべてを阻害します。ゼルヤンツは、過去の治療においてメトトレキサート(リウマトレックス、メトレートなど)をはじめとした少なくとも1剤の抗リウマチ薬による適切な治療を行っても効果が不十分な場合に、1回5mgを1日2回内服します。中等度又は重度の腎機能障害や中等度の肝機能障害がある患者さんでは5mg1日1回とします。

 

  1. オルミエント(一般名バリシチニブ)
 
 オルミエントは2017年9月に発売された2番目のJAK阻害薬です。オルミエントはJAK1とJAK2を特に強く抑えるところが作用としてゼルヤンツと異なる点です。通常はオルミエント錠4㎎を1日1回内服しますが、効果が認められた場合には2mg1日1回に減量することがあります。また、この薬剤は腎臓から排出されるため、腎臓の機能が低下している場合には1日1回2mgに減量する必要があり、また腎臓の機能が高度に低下している場合には使用することができません。

 

  1. スマイラフ(一般名ペフィシチニブ)
 
 スマイラフは日本で創製、開発され、2019年7月に発売された3番目のJAK阻害薬で、JAK1、JAK2、JAK3およびTYK2の全てのJAKファミリーを阻害します。通常はスマイラフ錠を150mg1日1回服用しますが、患者さんの状態によっては100mgで使用することもあります。また、腎機能障害患者さんに対する用量の制限はありませんが、中等度の肝機能低下が認められる場合は50mgに減量する必要があり、重度の肝機能低下が認められる場合には使用する事ができません。

 

 

 

 

 

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