リハビリテーション(リハ)の目的は、筋力増強・関節の動きの維持・破壊された関節の修復・関節の保護・失われた機能の代償にあります。このために理学療法(物理用法・運動療法)、作業療法、装具療法、その他(在宅ケアなど)が行われます。また自分で出来るものと医療機関で行うリハに分けることも出来ます。

近年関節リウマチの発症年齢も高齢化し、パワーリハもリハ治療の一つとして導入されはじめました。パワーリハとは、マシンを用いて筋力や姿勢を改善させるリハで、フィットネスクラブにある筋力アップと異なり、利用者に楽な姿勢で軽い負荷を少しずつ反復して増やしていく高齢者支援向きトレーニングです。機種として簡易型のものから専門的なものまで多種あります。発症早期の程度の軽い関節リウマチ患者さんが適応となりますが、開始時期やプログラムについては主治医と相談して下さい。

A. 理学療法(物理療法・運動療法)

理学療法は物理療法と運動療法からなりたっています。物理療法とは温熱や光線などの物理的エネルギーを利用して治療を行う手段です。運動療法と併用して行われることが多く、疼痛や腫脹の軽減を目的に行われます。

A-1) 物理療法

物理療法は大きく温熱療法・寒冷療法・光線療法・水治療・その他に分類することが出来ます。

温熱療法は筋肉の緊張緩和や局所血流の改善により疼痛や腫脹を改善します。寒冷療法は熱感のある急性炎症状態の関節に対し、局所的な治療として用いられます。光線療法には温熱作用と組織修復作用があります。温水プールなどに代表される水治療は全身浴と過流浴などの部分浴に分けられます。全身浴では温水による温熱効果とバランスの良い運動療法が可能で、部分浴では温熱効果とマッサージ効果が期待出来ます。その他に牽引・マッサージ・鍼などのリハがあります。

A-2) 運動療法

運動療法は、関節可動域(ROM)の獲得、筋力増強、傷んだ関節の修復のために行われます。傷んだ関節があるのに運動負荷をかけることは逆効果のように思われますが、関節軟骨の新陳代謝に必要な栄養は関節を運動させることによってはじめて関節へ届けられる仕組みになっています。したがって傷んだ関節を修復させるためには運動が必要となります。しかし関節運動負荷が過度であった場合、弱って強度を失った関節の破壊はむしろ進行してしまいます。疲労や痛みが翌日も含めて残らない程度の運動量でなければいけません。運動療法の後にかえって痛みが増したという訴えを耳にすることもありますが、これは負荷量が多すぎることが原因です。適切な運動について主治医とよく相談しましょう。

関節に痛みがあると動かすことが億劫になり、これを繰り返すといざ動かそうとしても動かなくなってしまいます。特に関節が伸びにくくなり(末期には関節破壊のため曲げ伸ばしともに障害されます)体全体がうずくまるような形になります。関節を伸ばすストレッチ運動を習慣づけるようにしましょう。

絶対安静の状態で筋力は1日約5%の割合で低下し、骨塩量も週当たり0.9%の割合で失われることになります。関節リウマチでも痛みの誘発や疲れが出ない範囲で筋力増強訓練が必要と言われる所以です。しかし、アスリートトレーニングのような関節に負荷をかける運動や鉄アレイを用いた過度な運動ではむしろ関節破壊が進行してしまいます。枕や紐を用いて関節の動きを最小限としたまま力いっぱい筋肉を収縮させこれを繰り返す運動が推奨されます。

自分に無理がない範囲であれば負荷をかける運動も可能です。例えば、浮力により負荷を減らしたプールでの運動は痛みの誘発もなく関節も保護もされます。股関節の体重負荷は首までつかって9割、胸で6割、臍で5割まで下げることが出来ます。プールの水温は一般に33-36度ですが、この温度で水中歩行すると末梢血管が開き血圧を下げることも出来ます。また温水プールには鎮静効果があることも知られています。軟式テニスボールなどの柔らかい素材による握力訓練も有用です。電気刺激による筋の収縮訓練も関節リウマチの筋力増強効果があることが明らかにされました。

B.作業療法

作業療法は作業訓練を通じて社会復帰を図るためのものです。絵画やパソコン指導などが行われますが、作業療法の一つである手工芸(クラフト)は手指に負荷をかけるため勧められません。

症関節リウマチでは自助具や家屋改造により最低限の身の回り動作の獲得を目指します。代表的な自助具であるリーチャーやマジックハンドは体から離れた物を取ったり、靴下を楽な姿勢で履いたりする時使います。ボタンエイドは不自由な指でもボタン賭けを楽にしてくれます。この他、日常生活を楽にするための様々な自助具があります。

杖は歩行を楽にしてくれます。病態に応じて各種あるので自分にあったものを選ぶ必要があります。症状の軽いうちは一般的なステッキタイプやT字杖が使われますが、下肢の術後には松葉杖も用いられます。握力のないヒトでも持ちやすく握りの部分を手の形にしたのがフィッシャー杖です。VADOチップは杖の先端を吸着式にして滑りにくく工夫してあります。ロフストランド杖は手首の負担を軽減します。前腕プラットフォーム杖は手首に加え肘関節の負担も軽減します。四点支持杖は安定性を要求される時に用います。この他、携帯用の折りたたみ式のものや、材質をアルミやチタンなどの軽量タイプしたものなど様々あります。

C. 装具療法

低下した関節機能の代償や疼痛関節軽減を図る治療的目的や、壊れやすくなった関節を保護する予防的目的のため装具療法が利用されます。ただしせっかく装具を購入しても一人での着脱が困難・外見が悪い・重すぎる・ズレ落ちやすいなどの理由から人によっては日常ほとんど利用していないケーもしばしば見られます。これでは装具を作った意味がないので自分勝手に使用を止めたりせず、具合が悪い点はどこかについて主治医とよく相談し装具を改良してみて下さい。皮製では蒸れるため、金属製では冷たい感じが耐えられないなど人によって不具合な点は様々です。このような場合は素材を変える対応だけで継続使用が可能となる場合も数多くあります。装具の使用感は各人で異なるので、自分にあった装具を用いることが大切です。

C-1) 頸椎

関節リウマチでは第一、第二頸椎間が脱臼しやすく、下位頸椎では階段状変形が出現しやすいので神経症状や痛みの原因となります。慢性的に圧迫された脊髄は、軽微な外力や過度の頸椎運動で損傷され易いことから頸椎の過度の前屈運動を制限し急な外力から頸を守るため頸椎カラーが使われます。形状や材質は通常タイプから蒸れにくいフレーム型にしたもの、不自由な上肢機能でも自分で着脱出来るようにした前開式のものまで様々あります。

C-2) 肩・肘・手関節

肩では疼痛緩和のための保温用サポーターが、肘では動揺性(ぐらつき)や疼痛が著しい場合に支柱付きサポーターや保温用サポーターが利用されます。関節リウマチのため二次的に肘の外側上顆炎を起こした場合はエルボーバンドによる固定が有用です。

手関節装具には安静による疼痛腫脹の軽減を目的とした装具と、尺側偏位(小指方向への指の傾き)の矯正を目的とした装具があります。形状には手関節固定用装具(軟性・硬性)とバンドによるもの等があります。

C-3) 手指

母指のCM関節(先端から3番目で手首の上の関節)に痛みがある時は、一部手首にかかる軟性の装具が使われます(CMバンド)。また母指のZ状変形にサポーター形状の軟性装具が使われることがあります。

手指のスワンネック変形やボタン穴変形には指輪型装具が使われることが多く、変形の予防に効果があります。指輪型装具は整容に優れますが、指の変形が矯正されたり腫脹が軽減したりするとサイズが合わなくなる欠点もあります。

C-4) 股関節・膝関節

股関節装具として股関節にかかる体重負荷を減らす装具があります。着服すれば外見上も目立ちませんが排泄が困難などの理由から常時で長期間の装着は困難です。手術までの待機あるいは術後特定期間の使用は可能です。

膝関節装具には保温により疼痛を緩和させる目的のサポーター、動揺性を抑える目的の支柱付き装具、変形の矯正を目的としたプラスチック装具など用途や病態に応じて様々な形状があり、これらの幾つかの目的を組み合わせたものもあります。関節リウマチの不自由な手指でも自分で装着出来るようにした前開き式のものもあります。

C-5) 足・足趾

足関節が壊され靭帯が緩むと動揺性が増し痛みの原因となるので支柱の付いた足関節サポーター用いることがあります。後足部では踵の骨が外に向き着地部が踵でなくなるため、足の裏にタコや魚の目が出来ます。足裏にクッションの役目をする足底板をつけて対応したりします。

前足部では外反母趾や内反小趾に加え、その他の足趾が屈曲変形(槌趾変形)するため全体としてつま先が三角形状の変形を呈します。足裏の靭帯も弛緩するため扁平足にもなります。これらの変形も足裏のタコや魚の目の原因になります。変形の早期では足袋や5本趾の靴下を利用しますが、進行期では専用足装具や足底にクッションパッドを入れた足底板が使われます。

外出時には柔らかい素材で出来た靴にフェルト加工した中敷をいれたリウマチ靴を利用するのも有用です。リウマチ靴は各人の足の形状に合わせて作ることも可能で、最近ではファッション性のあるものも作られています。多くの場合保険も適応されます。

【情報更新】平成25年7月
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