国際学会報告書

 

 

日本リウマチ財団ニュース157号に掲載しております「小児リウマチ欧州協会2019 速報」のロングバージョンです。

 

小児リウマチ欧州協会2019

 


 

山口 賢一 

聖路加国際病院 Immuno-Rheumatolory Center 医長

責任編集:岡田 正人

医療情報委員会委員
聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center センター長


1.本学会の特色

 2019年6月12日から15日にかけての4日間,スペインの首都マドリードにて小児リウマチ欧州協会(PReS:Paediatric Rheumatology European Society)が開催された。7年ぶりの欧州リウマチ学会(EULAR)との共同開催であり,例年行われる小児リウマチ医を中心とした学会と比較し,とても規模の大きなものになった。オープニング・プレナリーセッションに登壇したPReS会長の B.プラッケン 教授(オランダ ユヒレヒト大学メディカルセンター 小児免疫学教授、Eureka トランスレーショナル医療センターCSO)(写真)は,小児リウマチ領域におけるトランスレーショナル医療(科学的技術を活用して臨床的意義の高く患者さんの役に立つ医療を発展させる)の重要性に触れ、一例としてシンガポールのアルバーニ教授のグループが進めている CyTOF(cytometry by time-of-flight)を用いた小児の正常免疫系の発達及び疾患による影響の研究成果について紹介した。患者家族会(ENCA: European Network for Children with Arthritis)が主体となり,小児リウマチの患者さんが本学会に発表者として複数のセッションに参加し,移行期医療について,疾患による容貌の変化や学校生活で直面する課題について問題提起をしたことは画期的であった。「病気の自己管理の方法について教えて欲しい」「医師は私たちに話をする前に、まず私たちの話をよく聞いて欲しい」という言葉が印象的であった。若年性特発性関節炎(JIA)の治療を続けている子供たちによる座談会の様子や、様々なスポーツに挑戦する姿を映すビデオクリップが会場で放映されていたので,印象の残った参加者も多いのではないだろうか。

 

2.薬物治療に関する新しい知見

全身型JIA(sJIA)に対するアナキンラの有効性:57例のsJIAにアナキンラが投与された。発症2ヶ月未満に治療を開始された症例では高い有効性(90%以上)を示した反面,2ヶ月以上経過してから治療を開始された症例での有効性は およそ50%にとどまった。1)

 

インターフェロノパチーに対するJAK阻害薬の有効性:18例のインターフェロノパチー患者(CANDLE 10例,その他 8例)にバリシチニブが投与され,CANDLEでは50%の患者で寛解を得た。それ以外の症例では有効性は低かった。2)

 

マクロファージ活性化症候群(MAS)に対する抗インターフェロン-γ抗体の有効性:sJIAの経過中にMASを合併した6例の患者にエマパルマブが投与された。4週後の時点では半数例が、8週後の評価では全例が完全奏功(complete response)を得ることが出来た。3)

 

3. ワクチン接種に関する新しい知見

自己炎症性疾患を有する児へのワクチン接種の安全性:EUROFEVER レジストリ―に登録されている 3783例を対象にワクチン接種後の有害事象について検討した。多くの疾患において接種を契機に原疾患の増悪を高頻度に認め,とくにメバロン酸キナーゼ欠損症(高IgD症候群)では70%と顕著であった。4)
 

引用文献 or 引用口演
1) Manuela Pardeo, Claudia Bracaglia, Anna Tulone et. al. Early Treatment with Anakinra in Systemic Juvenile Idiopathic Arthritis. PReS-EULAR 2019 OP 0057, 2019
2) Gina A. Montealegre Sanchez, Adam Reinhardt, Suzanne Ramsey et.al. JAK1/2 inhibition with baricitinib in the treatment of autoinflammatory interferonopathies. The Journal of Clinical Investigation ;128(7):3041-3052, 2018
3) Fabrizio De Benedetti, Paul Brogan, Alexei  Grom et.al. Emapalumab, an Interferon Gamma (IFN-γ)-Blocking Monoclonal Antibody, in Patients with Macrophage Activation Syndrome (MAS) Complisating Systemic Juvenile Idiopathic Arthritis (sJIA). PReS-EULAR 2019 OP 0204, 2019
4) Sara Signa, Caterina Matucci Cerinic, Enrica Tonilo et.al. Vaccination Safety and Coverage in Italian Cohort of Autoinflammatory Diseases. PReS-EULAR 2019 OP 0260, 2019

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